批評・感想
もとは盟友関係でやがて非難し合い、いまはまた共著を出したりするようになった佐高信と田原総一朗。ふたりには冠婚葬祭をめぐる共通点がある。
三谷幸喜と西村雅彦(西村まさ彦)との関係が、再度ぎくしゃくしたのがシリーズ第3作『古畑任三郎』(1999)の時期である。西村はレギュラーの今泉役を演じていたが、三谷は「今泉のおもしろさが行き着くところまで行った」として退場させて、西村が全く無関…
舞台『笑の大学』(1996)の映像をふと見返していて、西村雅彦(西村まさ彦)の好演に改めて感嘆した。この戯曲を手がけた三谷幸喜と西村とは名コンビであったが、やがて袂を分かつような…微妙な形に至っている。
「白い夜があった……」 1975年に発表された藤子・F・不二雄「どことなくなんとなく」は、同じ会社や同じ家族でも何かが違う…という恐怖短篇である(『箱舟はいっぱい』〈小学館文庫〉所収)。主人公は不思議な「白い夜」の夢を見て以来、日常に違和を覚える…
「この数年、地道にやってきた仕事に少しずつ評価がついてくるようになった一方で、鋭くこちらを揺り動かしてくれる放送批評にめぐり逢いたいと切実に思うようになった」(「新潮45」1999年2月号)
テレビ『眠れる森』(1998)は全11回かけて謎を解くミステリードラマとして、当時大きな話題を呼んだ。かつての大映ドラマや近い時期の『家なき子2』(1995)など数か月の放送期間を経て犯人を突きとめるスタイルはあったが、謎解きを前面に謳うのは画期的だ…
テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)、映画『シン・ゴジラ』(2016)などによって不動の地位を確保している庵野秀明監督は、天賦の表現力を駆使して世態を描いてきた。
71)シナリオでは華子の死は直接的には描かれない。
26)横浜の舞の技工室に披露宴の招待状があった。日取りは「平成四年十二月二十四日」。
20)テレビ局の前のシーンは書き割り。
11)華子の控室に尚也が豆腐のプレゼントを持参する。
セシールの提供により制作されたオムニバス映画『結婚』(1993)。鈴木清順・恩地日出夫・長尾啓司の三監督がそれぞれ45分程度の中編を撮った。
『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003)での監視システムのシーンが物議を醸したせいか、公開後の本広克行監督のコメントはニュアンスがやや変わっている。
テレビ『踊る大捜査線』(1997)の映画版『踊る大捜査線THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003)が大ヒットしたとき、かまびすしい議論を呼んだのが劇中に登場する監視カメラであった。
ガイド本『NHK大河ドラマストーリー 花の乱』(NHK出版)には『花の乱』(1994)の出演俳優のインタビューが多数掲載されている。三田佳子など主演級は自身の役柄について所見を述べているけれども、あまりなじみのない室町時代が舞台ということもあってドラ…
1994年に放送されたNHK大河ドラマ『花の乱』(1994)。室町時代を舞台に応仁の乱を描いた異色作で、幼い筆者はこの作品を面白く見ていたのだが、放送直前に出演者の島田陽子が降板するアクシデントがあった。四半世紀を経たいま、改めてこの問題に触れてみた…
何年も前のことだが首相経験者の遊説を見かけたことがある。さすがに知名度があるので人だかりもできていたけれども、アンチの多い御仁であるせいか、強面のSPが周囲を厳重に警護している……ように見えた。筆者は特にじっくり拝聴したいとも思わなかったので…
「休刊6ヶ月前から開始した休刊宣言のカウントダウンで、『噂の真相』編集部は創刊以来、最高に忙しい日々を送る事態になり、休刊して以降も筆者自身の単行本の執筆やテレビでのレギュラーの仕事が続いていたので、この本の企画が潰れたことすらもすっかり忘…
『A』(角川文庫)や『職業欄はエスパー』(同)、佐村河内守を描いた映画『FAKE』(2016)などで知られる森達也。その森が佐高信・岡留安則編著『100人のバカ』(七つ森書館)をかつて書評で取り上げた。編者の佐高は「『噂の真相』に連載された「7人のバカ…
『紳士同盟』(1986)の原作の小林信彦と那須博之とは意気投合したようだった。
最近、不評の映画がネットで炎上し、罵倒の中に「令和の『デビルマン』」という文句があった。那須博之監督の映画『デビルマン』は2004年に公開されてすさまじい悪評が立ち、以後は不出来な作品を非難する際に「〇〇版デビルマン」などいう惹句が出てくる始…
評論家の森卓也が作家の小林信彦を攻撃した(「映画論叢 59」)。 両者は50年以上のつき合いで、小林の最新エッセイ『日本橋に生まれて』(文藝春秋)にも森の名は登場する。筆者は双方の著作を読んできて、てっきり気の置けない間柄だと思っていたので困惑…
『ずっとあなたが好きだった』(1992)の最終話のラストシーンも蝶で、DVDソフトにも蝶が無気味にデザインされて作品のキービジュアルだが、演出家でも脚本家でもなく現場の美術スタッフ(島田孝之)の発案だったという。
90年代から2000年代にかけて多数のヒット作を送り出した、TBSの貴島誠一郎プロデューサー。その代表作として知られる『ずっとあなたが好きだった』(1992)と『青い鳥』(1997)との共通項について振り返ってみたい。
2011年3月。大地震に襲われた福島の原子力発電所では吉田昌郎所長(渡辺謙)や師長(佐藤浩市)らが暴走する原子炉に立ち向かう。だが電力会社本店の無能な上層部(篠井英介)や首相(佐野史郎)などが所長たちの足を引っ張るのだった。
「あの本多記者はどこに行ってしまったのだろうか。アラスカとニューギニアにつづいてベトナムでも本多記者は「足で書く」記者であったはずである。もちろん『戦場の村』の内容や方法についても批判は多い。しかし本多氏は現場に行って事実を確かめたうえで…
かつて朝日新聞記者(当時)の本多勝一と文藝春秋とが裁判で争った。本多は1964年に文春の主宰する菊池寛賞を受賞しており、当初の関係は良好であったが、月刊誌「諸君!」1981年5月号に本多批判が掲載されるなど両者の対立は深まっていく。やがて本多は文春…
監督映画『記憶にございません!』(2019)は大ヒット、2021年には初のネット配信ドラマ(『誰かが、見ている』)に挑戦、2022年度の大河ドラマの脚本を手がけることも発表され、変わらずヒット作を送り出している三谷幸喜。
幼いころに読んだ東君平の詩に「五月の海」というのがあった。東君平の作品はかわいらしいイラストや幼年向け絵本、青春の哀歓をつづった詩など多岐にわたり、筆者は小学生のころによく読んでいたが、対象年齢が少々上のものはあまり理解していなかったかも…
「映画すら追い抜かれるのでは」という言を見るにやはり高倉健にとって、映画がテレビより格上というのが “常識” なのだろう。