私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

批評・感想

国際派と大河ドラマ・島田陽子(2)

ガイド本『NHK大河ドラマストーリー 花の乱』(NHK出版)には『花の乱』(1994)の出演俳優のインタビューが多数掲載されている。三田佳子など主演級は自身の役柄について所見を述べているけれども、あまりなじみのない室町時代が舞台ということもあってドラ…

国際派と大河ドラマ・島田陽子(1)

1994年に放送されたNHK大河ドラマ『花の乱』(1994)。室町時代を舞台に応仁の乱を描いた異色作で、幼い筆者はこの作品を面白く見ていたのだが、放送直前に出演者の島田陽子が降板するアクシデントがあった。四半世紀を経たいま、改めてこの問題に触れてみた…

暗殺と走馬燈

何年も前のことだが首相経験者の遊説を見かけたことがある。さすがに知名度があるので人だかりもできていたけれども、アンチの多い御仁であるせいか、強面のSPが周囲を厳重に警護している……ように見えた。筆者は特にじっくり拝聴したいとも思わなかったので…

森達也と『100人のバカ』(佐高信・岡留安則編著)(2)

「休刊6ヶ月前から開始した休刊宣言のカウントダウンで、『噂の真相』編集部は創刊以来、最高に忙しい日々を送る事態になり、休刊して以降も筆者自身の単行本の執筆やテレビでのレギュラーの仕事が続いていたので、この本の企画が潰れたことすらもすっかり忘…

森達也と『100人のバカ』(佐高信・岡留安則編著)(1)

『A』(角川文庫)や『職業欄はエスパー』(同)、佐村河内守を描いた映画『FAKE』(2016)などで知られる森達也。その森が佐高信・岡留安則編著『100人のバカ』(七つ森書館)をかつて書評で取り上げた。編者の佐高は「『噂の真相』に連載された「7人のバカ…

那須博之の志と死・『ビー・バップ・ハイスクール』『紳士同盟』『デビルマン』(2)

『紳士同盟』(1986)の原作の小林信彦と那須博之とは意気投合したようだった。

那須博之の志と死・『ビー・バップ・ハイスクール』『紳士同盟』(1)

最近、不評の映画がネットで炎上し、罵倒の中に「令和の『デビルマン』」という文句があった。那須博之監督の映画『デビルマン』は2004年に公開されてすさまじい悪評が立ち、以後は不出来な作品を非難する際に「〇〇版デビルマン」などいう惹句が出てくる始…

森卓也と「本音を申せば」(小林信彦)

評論家の森卓也が作家の小林信彦を攻撃した(「映画論叢 59」)。 両者は50年以上のつき合いで、小林の最新エッセイ『日本橋に生まれて』(文藝春秋)にも森の名は登場する。筆者は双方の著作を読んできて、てっきり気の置けない間柄だと思っていたので困惑…

奪う男と貴島誠一郎・『ずっとあなたが好きだった』『青い鳥』(2)

『ずっとあなたが好きだった』(1992)の最終話のラストシーンも蝶で、DVDソフトにも蝶が無気味にデザインされて作品のキービジュアルだが、演出家でも脚本家でもなく現場の美術スタッフ(島田孝之)の発案だったという。

奪う男と貴島誠一郎・『ずっとあなたが好きだった』『青い鳥』(1)

90年代から2000年代にかけて多数のヒット作を送り出した、TBSの貴島誠一郎プロデューサー。その代表作として知られる『ずっとあなたが好きだった』(1992)と『青い鳥』(1997)との共通項について振り返ってみたい。

若松節朗監督『Fukushima 50』の浅薄を批判する

2011年3月。大地震に襲われた福島の原子力発電所では吉田昌郎所長(渡辺謙)や師長(佐藤浩市)らが暴走する原子炉に立ち向かう。だが電力会社本店の無能な上層部(篠井英介)や首相(佐野史郎)などが所長たちの足を引っ張るのだった。

本多勝一と文藝春秋・殿岡昭郎『体験的本多勝一論 本多ルポルタージュ破産の証明』(2)

「あの本多記者はどこに行ってしまったのだろうか。アラスカとニューギニアにつづいてベトナムでも本多記者は「足で書く」記者であったはずである。もちろん『戦場の村』の内容や方法についても批判は多い。しかし本多氏は現場に行って事実を確かめたうえで…

本多勝一と文藝春秋・殿岡昭郎『体験的本多勝一論 本多ルポルタージュ破産の証明』(1)

かつて朝日新聞記者(当時)の本多勝一と文藝春秋とが争った、裁判があった。本多は1964年に文春の主宰する菊池寛賞を受賞しており、当初の関係は良好であったが、月刊誌「諸君!」1981年5月号に本多批判が掲載されるなど両者の対立は深まっていく。やがて本…

三谷幸喜と “成長物語”・『記憶にございません!』

監督映画『記憶にございません!』(2019)は大ヒット、2021年には初のネット配信ドラマ(『誰かが、見ている』)に挑戦、2022年度の大河ドラマの脚本を手がけることも発表され、変わらずヒット作を送り出している三谷幸喜。

春にして君を想う・東君平『はちみつレモン 君平青春譜』『くんぺい魔法ばなし』

幼いころに読んだ東君平の詩に「五月の海」というのがあった。東君平の作品はかわいらしいイラストや幼年向け絵本、青春の哀歓をつづった詩など多岐にわたり、筆者は小学生のころによく読んでいたが、対象年齢が少々上のものはあまり理解していなかったかも…

チロリアンワールドへようこそ・『チロルの挽歌』(2)

「映画すら追い抜かれるのでは」という言を見るにやはり高倉健にとって、映画がテレビより格上というのが “常識” なのだろう。

チロリアンワールドへようこそ・『チロルの挽歌』(1)

定年を前に自分を変えたくて、北海道でのテーマパークの仕事に志願した鉄道技師(高倉健)。炭鉱閉山で人口が減った町の再生を図るプランだった。彼はその地で、別れた妻(大原麗子)と奪っていった男(杉浦直樹)に再会する。

実相寺昭雄の晩年をめぐる証言 2004 − 2006(2)

実相寺昭雄監督が撮った『ウルトラマンマックス』(2005)のエピソード(第24話「狙われない街」)は円谷プロの倉庫で撮影され、俳優で怪獣のメンテナンスも行う打出親五が出演している。夕日の差し込むシーンは印象的。

実相寺昭雄の晩年をめぐる証言 2004 − 2006(1)

2006年、『ウルトラマン』(1966)などで知られる実相寺昭雄監督が逝去したときはショックだった。亡くなる数年前に自ら率いるプロダクションの経営が危機に瀕した実相寺は、次々とオファーを受諾している。その矢継ぎ早な仕事ぶりを見ていて、80歳くらいま…

山田太一原作(森崎東監督)『藍より青く』をめぐる批評

1972年、山田太一脚本の朝の連続テレビ小説『藍より青く』が大ヒット(当時は朝ドラなどという呼称はなかったかもしれない)。翌1973年には松竹で映画化された。

本多勝一と岡留安則・上級国民とゲリラの戦い(2)

一方で岡留安則は「著名人の私生活を暴露することは公的利益と合致する」という信念?により、盗み撮り写真を「噂の真相」に多数掲載してきた。

本多勝一と岡留安則・上級国民とゲリラの戦い(1)

数々の攻撃的な毒舌記事を放ったスキャンダル雑誌「噂の真相」。

小沢一郎ブームの憂鬱な想い出・本多勝一、岡留安則、小林信彦ら(2)

小沢一郎ブームの憂鬱な想い出・本多勝一、岡留安則、小林信彦ら(1)

2009年に誕生した民主党政権は2012年に崩壊した。この時期に学者やジャーナリストなどのリベラル陣営がこぞって、政権の中枢にいた小沢一郎支持を表明していた。

松任谷由実と「中庸」

シンガーソングライターの松任谷由実が、安倍晋三前首相の退任に際してラジオで「私の中ではプライベートでは同じ価値観を共有できる、同い年だし、ロマンの在り方が同じ」「辞任されたから言えるけど、ご夫妻は仲良しです。もっと自由にご飯に行ったりでき…

山田洋次と横尾忠則・『男はつらいよ お帰り 寅さん』

「山田洋次映画に横尾忠則の名前が混じっては困ると彼が本能的にガードしてるんだなって。それでも、どこかで山田さんから「あのアイディア、とてもいけると思いましたから使わせてください」と挨拶があるはず、と期待してました」(「週刊ポスト」2020年1月…

「怪獣使いと少年」についての二、三の事柄・橋本洋二と東條昭平(2)

「ウルトラマンではチャランポランはできない。後に東映の戦隊ヒーローを監督しましたが、あっちの方はもっとコミックにしたり、崩していい世界なんですね。ウルトラマンは、やはり他のヒーローに比べれば一段も二段も上の存在ですね、僕にとって」(『怪獣…

「怪獣使いと少年」についての二、三の事柄・橋本洋二と東條昭平(1)

2020年1月初旬、脚本家の上原正三が逝去した。『ウルトラセブン』(1967)や『怪奇大作戦』(1968)、『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)、『宇宙刑事シャリバン』(1983)など幾多の傑作・ヒット作を送り出した巨匠だが、代表作として語り継がれたのが『帰っ…

土井たか子の晩年の一瞬

社会党委員長、女性初の衆議院議長などを歴任した故・土井たか子。その土井が表舞台を去る直前に筆者は顔を合わせる機会が何度かあった。

井上ひさしと財津一郎・『薮原検校』『小林一茶』(2)

「小説で食えるのに、何も芝居にまで手を出すことはないじゃないか、と陰口をたたかれる世界である。