私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

霧も雨も・谷川俊太郎『いつだって今だもん』

詩人・谷川俊太郎には、シナリオ作家としての顔がある。詩作をはじめ絵本、エッセイといった文筆の仕事は有名でも、映画や舞台にシナリオを提供してきたのはあまり知られていないかもしれない。そういった仕事の片鱗に触れることができるのが『いつだって今…

三谷ならどうする?・『三谷幸喜 創作を語る』(2)

長い年月を経たいま、三谷幸喜氏は「ファンタジー的で心温まるコメディじゃなくて、もっと “乾いた笑い” をやりた」かったのだが、やはり意思疎通ができていなかったゆえに『総理と呼ばないで』(1997)はうまくいかなかったと『三谷幸喜 創作を語る』(講談…

三谷ならどうする?・『三谷幸喜 創作を語る』(1)

今年大ヒットした映画『清須会議』(2013)の原作・脚本・監督を務めてまた注目を集めた感のある三谷幸喜。その三谷が、ロングインタビューで自らのキャリアを振り返ったのが『三谷幸喜 創作を語る』(講談社)である(聞き手:松野大介)。

山田太一講演会 “今ここで生きているということ” レポート(3)

【生きるかなしみ (2)】 勇気をもらうとか元気を出してとかテレビは決まり文句をがんがん言うけど、そういうことをしょっちゅう言ってるとその言葉が本当のような気がしてくる。でも元気じゃなきゃ生きていけないのか、不幸なのか、それは問い直していいんじ…

山田太一講演会 “今ここで生きているということ” レポート(2)

【詩の言葉 (2)】 吉野弘さんは素晴らしい詩をたくさん書いていらっしゃいます。 「日々を慰安が吹き荒れる 慰安がさみしい心の人に吹く さみしい心の人が枯れる(…)

山田太一講演会 “今ここで生きているということ” レポート(1)

12月4日、溝の口駅近くの高津市民館大ホールにて行われた脚本家・山田太一先生の講演会(川崎市立図書館の読書普及講演会)に行ってきた。山田先生は溝の口がご自宅から近いので、ここで講演されるのも初めてではないそうである。この近くの文教堂書店溝の口…

山田洋次 トークショー レポート・『二階の他人』(2)

【『二階の他人』と自らの個性 (2)】 『二階の他人』(1961)の導入部は雨降りの夕どき、妻(葵京子)が傘を持って最寄り駅に夫(小坂一也)を迎えに来るシーンで始まる。ここには山田洋次監督自身の記憶が投影されているという。

山田洋次 トークショー レポート・『二階の他人』(1)

映画『男はつらいよ』シリーズ(1969~1995)などで知られる山田洋次監督は、日本の映画監督としては最も知名度が高いひとりであろう。昨2012年には文化勲章受章。現在は新作『小さいおうち』(2014)の公開直前である。

関本郁夫 トークショー レポート・『天使の欲望』『恐怖女子高校 女暴力教室』(2)

『恐怖女子高校』はシリーズ化されていて、まだ助監督をしながら脚本を書いていた関本郁夫監督は、このシリーズで監督デビューする話もあったという。だが結局『女番長(スケバン) タイマン勝負』(1974)が初監督作品となった。 関本「見直して(場所がい…

関本郁夫 トークショー レポート・『天使の欲望』『恐怖女子高校 女暴力教室』(1)

奇天烈なテレビドラマ『天国の恋』(2013)が話題をまいている。この作品の脚本家・中島丈博は、この他にも『真珠夫人』(2002)、『牡丹と薔薇』(2004)などトンデモドラマの作家として知られるが、もちろん中島の世界はそれだけではなく、大河ドラマ『元…

山田太一 インタビュー(2002)・『彌太郎さんの話』(3)

A:「誰かを蘇らせる」ということに関して、ジョン・アーヴィングの『ピギースニードを救う話』という短篇が新潮社から出ているんですよ。少年たちがいじめの対象にしていた知的障害のあるスニードが、ある日、死んでしまうのですが、少年たちにしてみれば後…