私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

“小林信彦プレゼンツ これがニッポンの喜劇人だ!” ビデオメッセージ レポート

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 『コラムは笑う』(ちくま文庫)や『時代観察者の冒険』(新潮文庫)などの著作で知られる作家・小林信彦。5月に代表作『日本の喜劇人』が決定版(新潮社)として刊行、渋谷では小林氏の選によるコメディ映画特集が開催されている。小林氏のビデオメッセージも上映された。

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本多勝一と文藝春秋・殿岡昭郎『体験的本多勝一論 本多ルポルタージュ破産の証明』(2)

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あの本多記者はどこに行ってしまったのだろうか。アラスカとニューギニアにつづいてベトナムでも本多記者は「足で書く」記者であったはずである。もちろん『戦場の村』の内容や方法についても批判は多い。しかし本多氏は現場に行って事実を確かめたうえで「自分はこう思う」と自己を守ることができた。しかしグエン・バン・チュー政権への抗議は美化しても、共産ベトナムへの抗議は評価しないというなら、また取材の自由がないところでは確かめようがないから何でも書くことができると考えているのであれば、これは報道記者としての堕落である。いま本多記者を「ハノイのスピーカー」と呼ぶ人がいるのも非難ばかりはできない。

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本多勝一と文藝春秋・殿岡昭郎『体験的本多勝一論 本多ルポルタージュ破産の証明』(1)

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 かつて、朝日新聞記者(当時)の本多勝一文藝春秋とが争った裁判があった。本多は1964年に文春の主宰する菊池寛賞を受賞しており、当初の関係は良好であったが、月刊誌「諸君!」1981年5月号に本多批判が掲載されるなど両者の対立は深まっていく。やがて本多は文春側を提訴し、1998年まで実に17年に渡る紛争が勃発。

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三谷幸喜と “成長物語”・『記憶にございません!』

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 監督映画『記憶にございません!』(2019)は大ヒット、2021年には初のネット配信ドラマ(『誰かが、見ている』)に挑戦、2022年度の大河ドラマの脚本を手がけることも発表され、変わらずヒット作を送り出している三谷幸喜

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山田太一 講演会 “物語のできるまで”(1997)(6)

 物語をとおして現実の自分を見つめる

 自分史を書くことが、このごろはやっております。自分のことを書くのはとてもよいことです。しかし、自分が死んだあとに、子どもが読んだり、だれかが読んだりすることを考えると、どうしても自分のことを飾ってしまいます。飾らないまでも、周りの人の迷惑も考えると、これについては書くのをやめようなどと、制約がでてきます。そうなると、自分がほんとうに求めているものが浮かびあがってこないのです。

 たくさんの人が自分史を書かれていますが、面白くないものが多いですね。きれいごとや自慢話ばかりだったり、反対に他人の悪口ばかりというものもありますが…(笑)。人格が円満な方ほど、いろいろと配慮なさいますから、現実に深く踏み込めないのですね。そういう方は、フィクションの小説を書いてみてはどうでしょうか。たとえば、私はほんとうはこういう人生を送りたかったんだという視点で書いてみる。嘘をついてみるのです。

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