批評・感想
かつて朝日新聞記者(当時)の本多勝一と文藝春秋とが裁判で争った。本多は1964年に文春の主宰する菊池寛賞を受賞しており、当初の関係は良好であったが、月刊誌「諸君!」1981年5月号に本多批判が掲載されるなど両者の対立は深まっていく。やがて本多は文春…
監督映画『記憶にございません!』(2019)は大ヒット、2021年には初のネット配信ドラマ(『誰かが、見ている』)に挑戦、2022年度の大河ドラマの脚本を手がけることも発表され、変わらずヒット作を送り出している三谷幸喜。
幼いころに読んだ東君平の詩に「五月の海」というのがあった。東君平の作品はかわいらしいイラストや幼年向け絵本、青春の哀歓をつづった詩など多岐にわたり、筆者は小学生のころによく読んでいたが、対象年齢が少々上のものはあまり理解していなかったかも…
「映画すら追い抜かれるのでは」という言を見るにやはり高倉健にとって、映画がテレビより格上というのが “常識” なのだろう。
定年を前に自分を変えたくて、北海道でのテーマパークの仕事に志願した鉄道技師(高倉健)。炭鉱閉山で人口が減った町の再生を図るプランだった。彼はその地で、別れた妻(大原麗子)と奪っていった男(杉浦直樹)に再会する。
実相寺昭雄監督が撮った『ウルトラマンマックス』(2005)のエピソード(第24話「狙われない街」)は円谷プロの倉庫で撮影され、俳優で怪獣のメンテナンスも行う打出親五が出演している。夕日の差し込むシーンは印象的。
2006年、『ウルトラマン』(1966)などで知られる実相寺昭雄監督が逝去したときはショックだった。亡くなる数年前に自ら率いるプロダクションの経営が危機に瀕した実相寺は、次々とオファーを受諾している。その矢継ぎ早な仕事ぶりを見ていて、80歳くらいま…
1972年、山田太一脚本の朝の連続テレビ小説『藍より青く』が大ヒット(当時は朝ドラなどという呼称はなかったかもしれない)。翌1973年には松竹で映画化された。
一方で岡留安則は「著名人の私生活を暴露することは公的利益と合致する」という信念?により、盗み撮り写真を「噂の真相」に多数掲載してきた。
数々の攻撃的な毒舌記事を放ったスキャンダル雑誌「噂の真相」。筆者は中学生だった90年代から2004年に休刊するまで愛読しており、その時期に連載執筆者だったジャーナリストの本多勝一と岡留安則・「噂の真相」編集長とが激しく対立した事件があった。当時…
2009年に誕生した民主党政権は2012年に崩壊した。この時期に学者やジャーナリストなどのリベラル陣営がこぞって、政権の中枢にいた小沢一郎支持を表明していた。
シンガーソングライターの松任谷由実が、安倍晋三前首相の退任に際してラジオで「私の中ではプライベートでは同じ価値観を共有できる、同い年だし、ロマンの在り方が同じ」「辞任されたから言えるけど、ご夫妻は仲良しです。もっと自由にご飯に行ったりでき…
「山田洋次映画に横尾忠則の名前が混じっては困ると彼が本能的にガードしてるんだなって。それでも、どこかで山田さんから「あのアイディア、とてもいけると思いましたから使わせてください」と挨拶があるはず、と期待してました」(「週刊ポスト」2020年1月…
「ウルトラマンではチャランポランはできない。後に東映の戦隊ヒーローを監督しましたが、あっちの方はもっとコミックにしたり、崩していい世界なんですね。ウルトラマンは、やはり他のヒーローに比べれば一段も二段も上の存在ですね、僕にとって」(『怪獣…
2020年1月初旬、脚本家の上原正三が逝去した。『ウルトラセブン』(1967)や『怪奇大作戦』(1968)、『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)、『宇宙刑事シャリバン』(1983)など幾多の傑作・ヒット作を送り出した巨匠だが、代表作として語り継がれたのが『帰っ…
社会党委員長、女性初の衆議院議長などを歴任した故・土井たか子。その土井が表舞台を去る直前に筆者は顔を合わせる機会が何度かあった。
「小説で食えるのに、何も芝居にまで手を出すことはないじゃないか、と陰口をたたかれる世界である。
戯曲に小説、評論、映画・テレビ脚本など多彩な仕事を遺した、故・井上ひさし。この偉大な作家は喜劇的な趣向やヒューマニズムあふれる作風、啓蒙精神に満ちた言動などから温厚な印象を感じさせるが、その生涯はトラブルで彩られていた。
元力士で妻を亡くし、いまはちゃんこ鍋の店を経営する主人公(浜田幸一)。七夕の日に彼は、思いを寄せていた指圧師の女性(八千草薫)に結婚を申し込む。主人公の娘たち(秋本奈緒美、近内仁子、小林恵)は再婚に猛反対。指圧師は優しげな笑顔を浮かべなが…
『軍旗はためく下に』(1972)の経緯はなかなかに意外なものだった。歳月を経て、深作欣二は新藤兼人脚本による『おもちゃ』(1999)を撮っている。
『仁義なき戦い』シリーズや『県警対組織暴力』(1975)などで知られた深作欣二監督は、新藤兼人脚本で2本の映画を撮っている。
いまから20年前、大河ドラマ『元禄繚乱』(1999)が放送された。題材は忠臣蔵で大石内蔵助役の中村勘三郎以下、東山紀之、宮沢りえ、石坂浩二、萩原健一、滝田栄、大竹しのぶ、滝沢秀明など豪華絢爛なキャストが顔を揃えている。
1980年代に過剰なまでに供給された反動か、90年代に入ると原爆を描いた作品は激減。冷戦が一応終結して核戦争の危機が去ったように思われたのもあっただろう。
広島・長崎の原爆から73年。戦争を知らない世代(筆者を含む)が跋扈?する時世になって久しい。筆者は戦後の1980年代に生まれたひとりだけれども、原爆を学ぶという触れ込みで見せられたのが80年代につくられた映画作品群だった。そこから現在へつづく流れ…
(承前)小林信彦は「これはもう、パロディ的邪劇であり、考え方によっては、ずいぶん高級な遊びと見えなくもない」とドラマ版『失楽園』(1997)を総括(『コラムは誘う』〈新潮文庫〉)。
閑職に追いやられて虚無感を覚える50代の久木は、年下の書道教師・凛子に魅せられた。家族がいる身でありながら不倫の愛にのめりこんだふたりは、情交を重ねる。
北野武(ビートたけし)が所属事務所のオフィス北野を退社し、たけし軍団が森昌行社長を非難して話題になっている。報道によれば森社長が筆頭株主となって会社の乗っ取りを企んだとのことで、北野武も冗談めかして「一番裏切る奴は、一番よく働く奴」などと…
伊丹十三が逝って、昨年12月で丸20年を迎えた。伊丹自殺の報が流れた朝のことは、筆者はまだ15歳だったが何となく思い出せる。筆者は伊丹の存在をリアルタイムで感じた中では、おそらく最年少の世代だろうか。ただ当時の伊丹の評価は芳しいものではなかった。
【第1週/第2話】