黒沢清
【『共想』と心理学】
【映画と演劇】 黒沢「『SHARING』(2014)のときもですが(『共想』〈2018〉の)主要な登場人物が演劇をやっている設定ですね。演劇を持ち込むのはどういう狙いで?」 篠崎「自分の学科が映像や舞台、ダンスをやってる人たちがいて。映画をつくることに関し…
【『共想』の撮影現場(2)】 黒沢「(『共想』〈2018〉)2回同じ場所でインタビューされて、後ろは白いがらんとした空間で、それが何かを表現しているようにも見える。不穏な感じもあって、単に喋ってるだけとは言え、工夫されてるなと。
幼なじみの女性ふたり(矢崎初音、柗下仁美)。東日本大震災を境にすれ違うふたりだが、互いに思い合っていた。
【『空に住む』 (2)】
両親を亡くした主人公(多部未華子)は、叔父夫婦(鶴見辰吾、美村里江)の気づかいでタワーマンションの高層階に猫と移り住む。同じマンションには謎めいたスター俳優(岩田剛典)もいた。職場とマンションを往復して漂うように暮らす主人公の生活に、やが…
伊丹十三が逝って、昨年12月で丸20年を迎えた。伊丹自殺の報が流れた朝のことは、筆者はまだ幼かったが何となく思い出せる。筆者は伊丹の存在をリアルタイムで感じた中では、おそらく最年少の世代だろうか。ただ当時の伊丹の評価は芳しいものではなかった。
黒沢「(『悪魔のいけにえ』〈1974〉を)見た当時は品格という言葉は思わなかったんですけど。静かな時間を爆音でどう表現するか(笑)。聞きどころでしょうか。判る人には判るというか。何も起こってない時間が、実に心地いい。それが映画の基本だと思いま…
吉祥寺バウスシアターなど各地で行われてきた爆音映画祭。今年は丸の内でも開催され、『悪魔のいけにえ』(1974)の上映と黒沢清監督のトークショーがあった。
黒沢「メインの長澤(長澤まさみ)さんと松田(松田龍平)さんでない、長谷川(長谷川博己)さんと高杉(高杉真宙)くん、恒松(恒松祐里)さんの3人が笹野(笹野高史)さんに追われて対決する。3人は警察組織や軍事組織が本気で出てきたら、ひとたまりもな…
突如行方不明になった夫(松田龍平)が別人格となって帰ってきて、妻(長澤まさみ)はとまどう。住宅街で起きた一家殺人事件を取材するフリージャーナリスト(長谷川博己)の前には、奇妙な若い男(高杉真宙)が現れる。ふたつのできごとは、恐るべき地球侵…
【脚本執筆について (2)】 黒沢「(脚本の執筆のときに)カット割りを考えて書いているということはないです。カット割りは別な頭を使っていて、ロケハンや俳優と話してるときにできてくるもので。
【過去の原作つき作品 (3)】 黒沢「キャスティング的にも、もしその(原作通りの)構成でつくったら、重要そうに出てくるけど途中でどうでもよくなるって人に誰をキャスティングすればいいのか。一流の人だと見ている人は拍子抜けで、無名の人だとそりゃそう…
【過去の原作つき作品 (2)】 黒沢「(『楳図かずお恐怖劇場 蟲たちの家』〈2005〉)粛々と取り組んだんですけど(原作に)絵があると難しい。キャスティングは絵の通りにいかないですが、蜘蛛の巣など美術はマンガに似せてつくるけど、マンガ通りではない。…
9月から新作『散歩する侵略者』(2017)が公開中の黒沢清監督。その黒沢監督の対談・エッセイ、蓮實重彦や阿部和重の評論などを収録した『黒沢清の全貌』(文藝春秋)も刊行された。
アルフレッド・ヒッチコックにフランソワ・トリュフォーが迫ったロングインタビュー『定本 映画術』(晶文社)は、映画技法の教科書?として知られる古典的名著である。映画のつくり手やマニアはみな読んでいると言われる著作だが、そのヒッチコックとトリュ…
【ダゲレオタイプと映画 (2)】 9月に、新井氏が『ダゲレオタイプの女』(2016)の主演のタハール・ラヒムと黒沢監督をダゲレオタイプで撮影した。
『CURE』(1997)や『岸辺の旅』(2015)、『クリーピー』(2016)などの巨匠・黒沢清監督が全編フランス語で撮った最新作『ダゲレオタイプの女』(2016)。
【『クリーピー』について (2)】 黒沢「西島くんにも何度も言ってるんですが、かつてだったら(『クリーピー 偽りの隣人』〈2016〉の高倉役は)役所さんで、役所さんでないと思いつつも役所さんならこうだろうなと、どこかで基準、ぼくなりのモデルがあって。
過去の失踪事件の謎を追う犯罪心理学者(西島秀俊)。その隣人(香川照之)は奇妙で怪しげな男である。隣人を不審がる主人公だが、妻(竹内結子)に魔の手が迫っていた。
【『蜘蛛の瞳』(2)】 篠崎「『蜘蛛の瞳』(1998)は大胆な映画で。娘が殺されている設定は同じで、復讐は冒頭で終わって不可思議なことが起こる。寺島進くんは死んだのか、白い布につつまれたものは何か、とか。
10月公開の最新作『岸辺の旅』(2015)により、カンヌ映画祭の「ある視点」部門の監督賞を受賞した黒沢清監督。黒沢監督は1990年代にはVシネマも多数撮っているが、哀川翔主演の『蛇の道』(1998)、『蜘蛛の瞳』(1998)の二部作(特に前者)はVシネマの皮…
スピルバーグの代表的な失敗作である『カラーパープル』(1985)や『太陽の帝国』(1987)もこの時期です。『カラー』は黒人の奴隷問題、『太陽』は第二次大戦を扱っている。『太陽』は傑作だと思うんですけど(世間では)スピルバーグは背伸びしてこういう…
閉館が決まった吉祥寺バウスシアター(爆音映画祭)にて、スティーブン・スピルバーグ監督『フック』(1991)のリバイバル上映が行われた。『フック』は、巨額の制作費や豪華キャストで公開当時は話題を集めたけれども、いまはあまり顧みられることのないフ…