私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

浦沢義雄 トークショー レポート・『TVオバケてれもんじゃ』『激走戦隊カーレンジャー』『ふしぎ遊戯』「寿司の森」(3)

【不思議コメディーシリーズについて (2)】

 『ペットントン』(1983)がヒットした時期に、夜の時間帯で番外編的な『TVオバケてれもんじゃ』(1985)も放送された。クラッシュ・ギャルズや羽賀研二など著名なゲストも多数登場する。

 

浦沢「『てれもんじゃ』は禁句になってる。朝の時間で当たったから、前田和也が夜の時間も取れたって。おれは厭だった。ゴールデンになると前田和也じゃなくて、局の違う人(プロデューサー)が入ってきて「こういうのを入れてください」とか。こりゃ当たんねえなと思った。(ゲストを投入できたのは)制作費が高くなったから。でもきっとおれたちは安いの(予算)でやるほうが合ってたんだね。ゲストが来ると面白くないんだよ。ゲストも嫌いな奴ばっかりだった(一同笑)」

 

 『てれもんじゃ』は3か月で終了し、同じ枠で始まった『スケバン刑事』(1985)が大ヒット。浦沢義雄先生は『スケバン』に関わっていないが、不コメとスタッフは重なっている。

 

浦沢「終わった後にその時間枠に『スケバン刑事』が入って、つくってるのは同じ(東映)だからさ。おれたちがやってたのは東映東京制作所っていうきたない掘立て小屋で、恥ずかしくなるような。『スケバン刑事』がヒットして初めてトイレができたんだ。それまでトイレもなかった。女の人は来なかったんじゃないかな」

 

 不コメの最中にバブルが巻き起こり、多忙な浦沢先生は旅館にこもっていた。

 

浦沢「中野の旅館に2年ぐらいいた。金曜日には帰って、また月曜日に行く。料金(の支払い)は東映。もうなくなっちゃった。マルイのちょうど真裏にあった。バブルのときはいちばん忙しかったから、遊ぶ暇もなかった。バブルみたいにみんなが大騒ぎしてるのはあまり好きじゃないんだ」

スケバン刑事

【カーレンジャー】

 不コメの終了後に同じ東映制作のスーパー戦隊シリーズ『激走戦隊カーレンジャー』(1996)に登板。主演の岸祐二は印象深いという。

 

浦沢「岸さんは役者の人では珍しくて懐いてくるんだ。そういう役者は岸さんだけ。真面目だし。

 仕掛けて大失敗したのはフレーズで「戦う交通安全」。全く流行らなかった(一同笑)。バンダイは無視してきて、それをおもちゃに絶対書きたくないって。おれは気に入ってるんだけど。(内容は)めちゃくちゃで自分でも何書いてたんだか判らなかった。

 視聴率は取れなくて、おもちゃも全然売れなかったらしくて、バンダイはすごく怒ってたらしい。みんながいいと思うのは、おれはダメなんだ」

 

 敵の怪人は芋羊羹を食べて巨大化する。

 

浦沢「芋羊羹は大嫌いだった。甘いもの好きなんだけど、芋羊羹だけは何がいいんだと。(生まれ育った)北千住はやたら芋屋が多いんだ。うちのおふくろはしょっちゅうどっか行ったら芋羊羹を買ってきて仏壇に供えてた。北千住は好きじゃないから(一同笑)。厭な人がたくさんいるから(笑)」

 

 いまでも続編の要望があって、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズや『シン・ゴジラ』(2016)などの庵野秀明監督も『カーレンジャー』のファンだという。

 

浦沢「ファンの人は多いね。高寺(高寺成紀)って奴がプロデューサーで、彼がいないと(続編は)できないんだよ。問題児なんだけど(一同笑)。

 庵野さんって名前しか知らない。『エヴァンゲリオン』も見てない。人気あるものは絶対見ないようにしてる(一同笑)。面白ければ腹立つし、つまんなくて腹立つし、見てもいいことないんだ」

【アニメーションについて (1)】

 『ルパン三世』シリーズや『忍たま乱太郎』(1993)などアニメの仕事も多数手がける。

 

浦沢「いちばんギャラがよかったのは『ふしぎ遊戯』(1995)。印税が入ってきて多かった。おれは、印税は少ないほうで周りの奴のほうがもっと多いんだけど。暮れに入ってきたんだ。それまでは印税いらないと思ってんだけど。普通に仕事やってて、印税なんてはずかしいと思ってた。『ルパン』とか大した印税もなくて、入ると貯金してた。東映のも印税になってない。『ふしぎ遊戯』の印税はすごかった。おれの夢は、浦沢直樹の印税が間違えておれのところに来ること(一同笑)。ずっと狙ってるんだけど。高橋秀樹って放送作家がいてさ、その人には高橋英樹のギャラが入ったことがあるんだって(一同笑)」

 

 1993年にスタジオぴえろ制作の予定でアニメ映画の脚本「金魚姫のシャーベット」を執筆したが、実現していない。不コメ的にバス停や冷蔵庫が活躍するという。

 

浦沢「(企画開発だけで)もう2億ぐらい使ったんだよ。スタジオぴえろで布川(布川ゆうじ)さんとやってたけど、そのころ儲かってたんじゃないかな」

 

 掌編アニメ「寿司の森」(2007)はOHRYS BIRD制作で、YouTubeなどで見られる。飛騨国際メルヘンアニメーション映像祭にて「子どもメルヘン賞」を受賞した。

 

浦沢「このアニメーターがせこい人で、おれの名前を書かないんだよ(一同笑)。賞を取った後で電話してきて「すいません、名前入れるの忘れました」。よくあるんだよ。(報酬は)もらってあるけど」(つづく