私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

浦沢義雄 トークショー レポート・『忍たま乱太郎』『はれときどきぶた』『練馬大根ブラザーズ』『ごぞんじ!月光仮面くん』(4)

【アニメーションの仕事 (1)】

 浦沢先生はアニメーション作品の脚本も多数執筆している。

 

浦沢「木村京太郎は有名なアニメのプロデューサーだから、仕事を引っ張ってくる。スタジオぴえろに布川(布川郁司)さんっていう人がいて、ぴえろの仕事をするようになった。

 (80年代は)すごく忙しくて、1日で締め切り1個(を仕上げる)くらいの割合かな。儲かった(一同笑)。ずっと2年ぐらい缶詰で旅館にいた。作家の入る旅館が中野にあって、そこに2年ぐらいいたよ。だからバブルの記憶があんまりないんだよ。旅館にいたのがバブル。

 でも書く内容は同じだから。番組で使ったのを他の番組で平気で使い回すから(一同笑)。

 シリーズ構成もしない。(クレジットが出ていても)おれは人のホンは読まないから(構成代の)お金だけくださいって(一同笑)。プロデューサーは読む専門家だから、構成とプロデューサーと読み手がふたりいると、直しが面倒。会議でも面倒だから、ひとりが読んで、その人の直しの意見でいく。聞くほうもらくじゃない? ふたりぐらいに違うこと言われるとさ…。昔、プロデューサーが何人かいて、勝手なこと言うわけ。じゃあお前が直せってほんと頭きて(笑)喧嘩になりそうなこと何回もあったよ。木村京太郎は読むのが得意で、おれの会議のときは彼に全部。フジテレビの石原(石原隆)くんも優秀なプロデューサーだけどもうアニメに関しては「木村さんにお任せします」って。フジテレビの人はドラマとかのついでに30分の番組をやってるから、どうでもいいんだよ。評判になったりしてくれればいいや、みたいに」

 30年以上継続する、NHKの『忍たま乱太郎』(1993)は代表作のひとつ。他にもNHKのアニメに参加している。

 

浦沢「『忍たま』のギャラは『名探偵コナン』(1996)ほどじゃない。ただNHKだから長いこと(長期間)できる。『忍たま』はいちばん最初のプロデューサーの久保田(久保田弘)さんって人に呼ばれた。『忍たま』はオンエアを見てないからわかんないんだけど、おれのホンを大分直すんで、気にするとむっとくるからどうぞ好き勝手に直してくださいと。久保田さんは直すの得意で、おれは「直してください」って言われたこと1回もない。全部自分で直しちゃって、そういう人。らくでいい(一同笑)。どんどん書いてくださいって言われて。他の作家も何人かいたんだけど、全部切っちゃって、おれひとりに。(NHKは)視聴率のことをあんまり言わないから。ジャニーズの歌とか、馬飼野(馬飼野康二)さんが。最初は音楽のことわかんないからどうでもいいと思ってたけど、馬飼野さんはすごいヒットメーカー。(アニメ版自体を)馬飼野さんがつくったんだよ。新聞に出てた尼子(尼子騒兵衛)さんのマンガを見て、これをアニメにしたら面白いんじゃないですかってNHKに勧めた」

浦沢「『カラオケ戦士マイク次郎』(1994)もNHKで、『忍たま』の3年目ぐらい。芝山さん(『忍たま』の芝山努監督)に呼ばれた。全然わかんない、何でこんなのやるんだ?(一同笑) 歌も好きじゃないし。でも芝山さんはすごく愉しんでたよ、「これ面白いな!」って。ほんとかよ(一同笑)。『はじめ人間ゴン』(1996)もNHKだけど、みんなで(複数の脚本家で)書いてっからおれあんまり記憶にないんだ」

 

 テレビ東京系の仕事もある。

 

浦沢「『はれときどきぶた』(1998)のナベシンワタナベシンイチ監督)は問題児(一同笑)。アニメのおたくみたいな。普段からルパンの格好してる。会社のプロデューサーの勝俣(勝股英夫)さんが、ナベシンでいくって決めたんだ。よく決めたよな。(原作は)絵本で、あの原作者の矢玉(矢玉四郎)さんもすごく面白い人で変わり者。ナベシンのテンションが高かった。ああやってテンション高いとつづかない。何本かに1本テンションが高いとかそういうふうにすればいいのに、本人は器用なことできないんだ。最後は、本人も言ってたけどおかしくなってた。そうなっちゃうんだよ。

 『練馬大根ブラザーズ』(2006)はナベシンのテンションが低かった(一同笑)。最初は高いテンションでできるけど、2本目ではできやしない。ナベシンを使うほうが悪いとおれは思ってた。

 『ごぞんじ!月光仮面くん』(1999)は大失敗した(一同笑)。ひどかったよ。あの当時(制作環境が)まだ裕福でさ、失敗してもたくさん(話数を)つくるって決まってた。原作者の川内康範さんはすごくいい人で何も言わないんだけど、こっちの狙いが外れた。ああいうふうにしちゃいけないんだ。川内さんのラインじゃないと」(つづく