私の中の見えない炎

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浦沢義雄 トークショー レポート・『ペットントン』『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』『魔法少女ちゅうかないぱねま!』『美少女仮面ポワトリン』(2)

【不思議コメディーシリーズについて (2)】

浦沢「企画書を書いて1回目の台本ができたら持って行く。東映の近所の喫茶店で、石森(石森章太郎)さんにキャラクターの絵を描いてもらう。ホンなんかちょっと読んだだけですぐに描き出しちゃう。ろくに読みもしない。「こういうのはどう?」「こういうのはどう?」って。早いんだ、それが。見ていて驚いちゃってさ。おれは言わなかったけど、前田和也が「こういう感じにしてください」。石森さんは黙って描いて、1時間に50枚ぐらい。前田和也が「いやそうじゃない」って鉛筆で直すんだ。石森さんは「前ちゃん、上手いね」って言って、前田和也は「ぼく美術部ですから」(一同笑)。前田和也はめちゃくちゃな人だったね。

 (不コメにに思い入れは)さほど(一同笑)。オンエア、あんまり見ないから。ただ監督とか知り合った人たちとは愉しかった。プロデューサーもいい人に恵まれたから、10年以上ずっといっしょにやってた」

 

 坂本太郎監督は不コメの『バッテンロボ丸』(1982)の第13話「地球さいごの大みそか」によりデビュー。約30年に渡って組むコンビとなった。

 

浦沢「坂本さんは(なかなか撮れなくて)東映の中で不遇の助監督で、ちょっとかわいそうな感じだったらしい。デビュー作がおれの(脚本)」

 

 不コメではチャーハンやバス停、除夜の鐘、肉まん、アイスなどが活躍する無生物路線が衝撃的である。

 

浦沢「(俳優の)キャスティングができなかったんだよ、なかなか。すごくお金なくて。厭な役者が来るから、そういうのが来ると困るから、役者が出ないようになるべく物で(一同笑)。

(キャスティングに関わったことは)1回もないですよ。あんまり興味なかった(一同笑)。キャスティングは別の人がやってたから口出しちゃ悪いと思って。(役者は)めんどくさいんだよ」

 

 WAHAHA本舗、東京ヴォードヴィルショーなどの俳優が多数出演。

 

浦沢「出てる人は大体知ってんだよ、ヴォードヴィルとか。佐渡(佐渡稔)さんとかよく知ってたから。佐渡さんはヴォードヴィルでは女装してて、すごく綺麗な女装で。運動神経もすごくいいんですよ、ハードルとか綺麗に飛ぶ。そういうお母さんがいいなってことで(『ペットントン』〈1983〉では)お母さん役にするはずが東映はダメだって。だからお父さんになっちゃった。柴田理恵さんにはたくさんやってもらったんで結構飽きてる(一同笑)。出てた役者はもうみんな年寄りだからさ。見る影もない(一同笑)」

 

 不コメは、当初はロボットや異生物が主役だったが『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』(1989)以降は『美少女仮面ポワトリン』(1990)、『不思議少女ナイルなトトメス』(1991)などヒロイン物に。

 

浦沢「キャスティングにおれ関わり合ってないからさ。いちばんかわいくないと思った『ポワトリン』がいちばんヒットしたからわけわかんねえなと(一同笑)。何だこいつと。変な奴だったんだ、最初から彼女(花島優子)は。変だと言われて紹介されたから」

 『ちゅうかなぱいぱい』は主演・小沢なつきの事情?により半年で打ち切りになり、同じ世界観を引き継いで島崎和歌子主演『魔法少女ちゅうかないぱねま!』(1989)が放送された。

 

浦沢「最初の主役の娘(小沢)がマネージャーと逃げちゃったんだ。会ったことないんだ、1回も現場に行ったことはないから。いちばん綺麗だった。やってれば人気出たはずなんだけど。主役を変えるんでってことで急遽。その後に来た島崎さんは、最後のころにおれが別の番組の打ち合わせしてたら「打ち上げやってるから来てください」って言われて会った。おれの中では主役の名前が変わっただけだから(一同笑)。名前の変え方もいい加減なんだよ。フジテレビの石原(石原隆)くんっていうすごく優秀なプロデューサーにさ、次はどうすんのって言ったら「じゃあ『いぱねま』にしましょう」って。石原くんは大体そうだよ。優秀な人なんだけど、子ども番組なんかバカにしてっから、全然(一同笑)。1時間のドラマは一生懸命やっててこっちには息抜きで来てるだけだから、タイトルさえ決まれば何でもいいんだよ。フジテレビの人は何にも言わなかったからやりやすい」

浦沢「ヒロインにかわいい娘を選ぶと…。最後のほうの(作品)で落っこったのが菅野美穂なんだ。菅野美穂は上手かったんだ。上手すぎて厭だなと。まだ子どもだったけど。日笠(日笠淳プロデューサー)は(後で)入れときゃよかったって。日笠たちは菅野美穂がいい、いいって確かに言ってたんだ。(『シュシュトリアン』の)石橋(石橋けい)さんとかはいいっておれも思った。

 (この役者がいいとは)あんまり思わない。オンエアもほとんど見てないから。書くのが忙しくて、オンエア見る時間もなかった。テレビだと何時に起きて見るとか、それが面倒くさい」

 

 『ポワトリン』には浦沢先生が敬愛する鈴木清順監督が神さま役で出演。

 

浦沢「おれは清順さんとだけ仕事したいと思ってた。清順さんのためにホンを書きたいって。尊敬してたから。東映のは生活のために書いたという意識だった(笑)。佐伯(佐伯孚治)さんっていう監督は清順さんと仲良かったから。おれは出てくださいって言えないから、佐伯さんが出てくださいよって。そのころ、清順さんはテレビによく出てたから」(つづく