私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

小中千昭 インタビュー(2014)・『恐怖の作法 ホラー映画の技術』(2)

――本編(引用者註:『恐怖の作法 ホラー映画の技術』〈河出書房新社〉)でちょっと気になったんですけど、憎しみについて、言及を避けたなという印象があったんですけど。

 

小中 言及を避けたんではなく、論旨の主題と離れてるのです。ここも読み方が浅いですね。恐怖が主題なのだけれど、脳の器質的な相関性に於いて憎悪を恐怖をいう、一般的には相反する要素が一つの根源から生成されている、ということであって、憎悪そのものはこの本で語れる主題ではない。そのことをより知りたかったらスピノザ辺りを読んでくれ、ということです。

 

――直接攻撃できない人の手段が呪いっていう分析がすごい面白いなぁと思いました。

 

小中 弱者の。

 

――弱者の手段だっていうのがすごいなぁと思って。

 

小中 かといって推奨しているわけでは決してないので。

 

――はい(笑)

――本書内でも記述があるのですが、こだわりが強いなぁと。自分でフォトショップを使ったりとか、アフターエフェクト触ったりとか、あとは最初のその特撮のを作ったりとか、全部自分でまず手を動かすところから始めてるなという印象だったんですけど。それは昔からそうなんですか?

 

小中 そうですね、まぁ我々というか、自主映画あがりの監督とか、脚本家は当然自主映画やってるんで、だからまぁそこの、他ではないっていうところで、全部自分でやるっていう。まぁいわゆるほんとに脚本家を目指す人とか、大家の人たちとかとはやっぱりカルチャーが違って。

 

――あぁ、全部自分でやらないといけない環境だったからやってきた?

 

小中 そうですね。まぁもう、別にそのときはそれが必要だったので。あるいは予算がないっていうところで、でも予算だけからしか発想できないことの貧しさを何とかしたいっていう、まぁ若気の至りでもあります。

 

――あとホラーなんですけど、昨日のニュースで柳川高校の女子高生が20人バタバタ倒れた事件があったと思うんですけど、ああいうものって脚本にやはり影響を与えたりしますか?

 

小中 よくあるんです。でも決して神秘的な事象ではないとも思っています。私の捉え方は、『恐怖の作法』のシンボルについて記したくだりに書いていま す。あの変な話なんですけど、本に書いた『神霊狩-GHOST HOUND-』ってあぁいうのをやったんですが、あれは舞台がほぼ山なのね。

 

――あっ、そうなんですか。不勉強ですみません。

 

小中 で、しかも山に行って呪われるっていう。まぁあの子たちは、柳川高校の人は見てる可能性は低いと思うんですけど、まぁちょっといろいろ…廃墟があって、あとダムに行ったって言ってた。

 

――ダムですね。はい。

 

小中 それがもうアニメとまったくおんなじなんで。

 

――えっと、英彦山でしたっけ。修験者の山でしたよね。

 

小中 まぁそれがまったく同じなんで。まぁレンタルで見てください(笑)。

 

――はい、わかりました(笑)。

――90年代末から、実話怪談系では「耳袋シリーズ」が話題になりました。原因が分からない、日常の中の非日常といったテーマが近いように思うのです が、どのように思われましたか?

 

小中 私がホラー・ビデオのシナリオを書き始めていた直後に、扶桑社版が発売となり当然読んでいました。確かに既存の怪談に対して近いスタンスだったと思いますが、直接影響を受けたということはなかったです。『恐怖の作法』では「山の怪談」について言及してますが。

 

――ライブお疲れ様でした。ライブ後に、映画美学校の生徒にサイン攻めにあっていました。先生としても人気なのですね!! 教師をやってみて思ったことありましたら、お願い致します。

 

小中 教師ではなくあくまで講師です。人に教えることは本来したいことではなかったのですが、自分自身が脚本を書くことから距離を置いたのと同時期に誘われたので、これも因果なのかと始めました。始めてみると、これはなかなか意味のあることだと改めて思うようになりました。

 

――教師と小説に活動のフィールドを移したいとおっしゃっていたのですが、今後描いてみたい、既に取り掛かっている作品などありますか?

 

小中 講師はまあ、特にそれをやり続けようという強い意思はあまりないです。あく まで文章を綴ることに今後は拘りたいというだけで。オリジナルのフィクションはまだ少し先に発表しますが、特撮関係の本は近々出せると思います。その後は短編集を出したいと考えています。あと、「浅田真央試論」というブログをやっています。浅田真央という存在について論考しているので、興味があれば見てください。

 

――貴重なお話をありがとうございました。新作のほうも期待しております。

(以上、ひかりTVのサイトより引用。