1995年夏に大ヒットした映画『学校の怪談』。旧校舎に閉じ込められた小学生たちと先生の冒険をエンタテインメント性豊かに描き、当時の子どもたちを魅了した快作で、いま見直しても意外なほど緊密に設営されたカメラワークや凝ったクリーチャーに感嘆する。
池袋にて『学校の怪談』と『学校の怪談2』(1996)のリバイバル上映と平山秀幸監督、脚本・奥寺佐渡子氏のトークショーが行われた。
平山監督は『マリアの胃袋』(1990)にて監督デビュー。『学校の怪談』と『学校の怪談2』を大ヒットさせ、『愛を乞うひと』(1998)では「キネマ旬報」日本映画ベストテン2位など高い評価を受けた。他に『学校の怪談4』(1999)『ターン』(2001)や『OUT』(2002)、『エヴェレスト 神々の山嶺』(2016)など多彩な作品がある(本人は自身のフィルモグラフィーについて「節操ないな(笑)」と自嘲気味に語る)。
奥寺佐渡子氏は、『お引越し』(1993)にてデビューし、平山監督とのコンビで『学校の怪談』シリーズや『しゃべれども、しゃべれども』(2007)などを送り出した。他に細田守監督のアニメーション映画『時をかける少女』(2006)や『おおかみこどもの雨と雪』(2012)などでも知られる。
トークの司会は「キネマ旬報」の元編集長で映画ジャーナリストの関口裕子氏が務める(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。
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奥寺「何日か前に見てきました。忘れてて」
平山「(きょう見て)エネルギーにあふれてて、途中で疲れて出てきました」
奥寺「勢いあるなあと(笑)」
奥寺氏と平山監督は、『人間交差点 雨』(1993)にて初めて組んだ。
平山「奥寺さんには『人間交差点』と『よい子と遊ぼう』(1994)というのに参加していただいて、中学生の話で子どもたちが出てくる。サンダンス・カンパニーが紹介してくれて。監督ですが、紹介されるポジションでした。
その後に(『学校の怪談』の)オファーが来て、その時点で準備稿ができてましたね」
奥寺「まず書いて、監督が決まるまで待ってくれと。誰かなと思ったら、後から平山監督と聞いて、あっそうなんですかと」
平山「多分、ほかの監督が降板した。ぼくがデビューしたのは『マリアの胃袋』っていうけったいな映画で、メジャー展開しない映画、そういうのが2、3本つづいて。東宝の夏休みのマーケットでっていうのは、初めての作品。そういう意味でひねくれた自分がメジャー展開に乗っていけるのかなと」
奥寺「『よい子と遊ぼう』が好きで、平山監督がやって下さると聞いて嬉しかったですね」
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奥寺氏と初めて会った平山監督は「目つきの悪い女」だと思ったという。
奥寺「緊張してました(笑)」
平山「『トイレの花子さん』(1995)も同じ年にあったし、子どもたちって修学旅行の夜に喜んだりする。その気持ちは、ぼくらのころもいまの子どもたちも変わらない気がしますね。
結局、自分たちの世界に子どもを寄せてない。囲いをつくって、その中で追っかける。囲いから出るなよと。こっちには寄せない」
奥寺「ある種のお祭り映画と思ったんですね。ひとりが全部じゃなくて、同じクラスにこんな子いるなとか、この子っておれに似てるとか、いっしょに冒険してる気分になってほしくて」
平山「(『学校の怪談』のラストで)自己紹介をする。活字で読んで唸りました。ここで自己紹介するかって。あれはよかった」
奥寺「打ち合わせで(平山監督が)おっしゃってたのは、いっしょに来た親御さんにも愉しんでほしい、子ども向けにすると子どもにバカにされると」
平山「スタッフの誰も(この手の映画を)やったことがない。SFXという言葉もよく知らなかった。夜まで打ち合わせしてても、言葉が判らない。
撮影はとんでもないスケジュールで、スタッフは判らないなりに朝までやってた。壮絶な記憶があります」
奥寺「(現場に)何度も行きました。でも監督とは顔を合わせない。直してって言われるから(笑)」
平山「シナリオライターが来ると、目を見つめます(笑)。
ぼくが考えつかない台詞がいっぱい出てくる。子どもの世界に関しては、シナリオライター。(現場で)生の子どもをいじることはできますけど、奥のものを出してくるのはシナリオライターですね。
『怪談2』で前田亜季と細山田(細山田隆人)が喋る会話で、お相撲さん…とか。常識的な捉え方では脈絡のない、不思議な会話があるんですね。それが持ち味というか、普通ならどういうこと?と言いたくなる。どういう頭をしてるんだろうと」(つづく)