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ひし美ゆり子 × 三輪ひとみ × 中堀正夫 トークショー(実相寺昭雄 特撮オールナイト)レポート(3)

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【『ウルトラセブン』12話】

 『ウルトラマン』(1966)や『ウルトラセブン』(1967)など初期ウルトラ作品でデザインを一手に手がけた成田亨は、後年に円谷プロと対立した。

 

ひし美「円谷さんからひし美さんのツイッターに上げてって言われたのが、クラウドファンディングで青森にエレキングのお人形(ねぷた)をつくると。何の気なしにメールを開けたら、円谷が成田亨さんのことをこんなふうにお書きになるなんてって、涙があふれて。いろんなことがもろもろあって、係争にもなって、成田さんのお葬式では葬儀屋さんが円谷プロ(関係者)は入れず、お花も返して。私はおそるおそる行ったら、特別に私だけ入れていただいたんですよ。お経も、字も読めないのに上げて。あれから15年。金城さんも同じ日が命日で、2月26日。キリヤマ隊長(中山昭二氏)のお誕生日です」

三輪「重なりますね」

ひし美「金城さんとアマギ隊員(古谷敏氏)の誕生日もいっしょ」

三輪「数字にお強い(笑)」

 

 実相寺昭雄監督の撮った『ウルトラセブン』(1967)の第12話「遊星より愛を込めて」は抗議を受けて欠番となっている。話題はその12話に及んだ。

 

ひし美「実相寺さんの12話、あれは25年も前から日の目を見さそうって。12話の最後(の台詞)に“判り合える日が…”って。成田亨先生と円谷プロもやっと判り合える日が来たのかな。

 (12話の公開は)いまでしょ! 50年だし。私、ネット長いんですよ。たまに書くんですけど、4月1日に『セブン』のコンプリートブルーレイが出ますって。後で4月バカだよってやったことある(一同笑)」

樋口「怖いもの知らずですね」

ひし美「見てるのよ、12話。ハワイ版とか、ファンの方から送られてきて。内容は全部覚えてる」

三輪「私も実は、ファンの方からいただきまして。“多分三輪さん、見てないと思います”と」

ひし美「実相寺さんも没になってるって知らなくて。キリヤマ隊長からも電話あって“アンヌ、12話って何だ?”って。亡くなる2、3年前かな。12話がなんか没になってるって。まだビデオ時代で、マニアの間(の貸し借り)で映像がかすかすになってる。見づらくてもよかったらダビングします、出所はないしょですよって言われて。

 亡くなった高野宏一さんから聞いたの。(12話も)綺麗にしてあるんだよって。ここ(のスクリーン)で12話やりたいね」

中堀「みんなきたないのしか見てないからね」

ひし美岩井俊二さんが、あれって実相寺さんですよねってメールくださったんですよ。Facebookに綺麗なの(動画)があるよって」

 

 高野宏一氏は、『封印作品の謎』(だいわ文庫)のインタビューでは12話の公開に否定的なコメントをしていただけに、12話のリマスターを施していると言ったというのは意外だった。

【ちな坊たちの想い出】

 実相寺監督はクマのぬいぐるみを溺愛していた。長男のちな坊は、映画『ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説』(1990)や『ウルトラマンティガ』(1997)の「花」にも出演。

 

ひし美「年賀状いただいたとき“ちな坊が元気だよ”ってあって、何!? かなりクレージー

中堀「元町で買い物してたとき、ショーウィンドーのちな坊がおれを見てるって思ったらしい。三男までつづく」

三輪「私、「花」で(ちな坊と)共演までしてますからね」

 

 次男は窮朔、三男は権助という。

 

中堀「その3匹、でなく3人。毎年お正月に行くと、お年玉をこいつらにあげないやつはダメだと。

 外国へCMのロケに行くと、窮朔をかばんの中に入れて、寝るときもいっしょに。ウィーンで帝国ホテルみたいなところに、照明の牛場(牛場賢二)さんといて、おれらがお守りして。窮朔がベッドに寝てて、それにおやすみって言わなきゃお前ら帰さないと。逃げ出すと、こっちはまともなかっこだけど、本人はパンツとシャツで帝国ホテルの中を追っかけ回す。怖いから壁にぴたっとふたりで。10分や20分、向こうはさぐってる。真夜中で誰も通らないからいいけど、パンツとシャツのおじさんが執念深く…(一同笑)。そういう人でしたね」

ひし美「かわいいと言うか…」 

 

 樋口尚文氏が1993年に発表した『テレビヒーローの創造』(筑摩書房)は、『怪奇大作戦』(1967)や『シルバー仮面』(1971)の魅力に触れた先駆的著作で、読んで初めて『シルバー』のことを知った。オールナイトで眠い明け方に、図々しくも樋口氏に近づき、サインしていただいたのだった。 

 

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