
【『帝都物語』(3)】
古林「『帝都物語』(1988)と同じころにアダルトビデオの代々木忠監督とつき合いがあって、代々木さんの作品が送られてくるんですね。代々木さんが感想を聞かせてほしいと。『帝都』のときにビジコンで撮った映像を見るためにビデオがあって、スタッフが準備に行った後で実相寺(実相寺昭雄)監督とぼくが残ってたら「こばちゃんこばちゃん」って呼んで。アダルトをビデオにかけて監督が「モザイクを消すには細目にすればいいんだよ」。ふたりして目を細めてアダルトを見ていたら、丹羽さんか誰かが帰って来て「いまステージにものすごいスモークを焚いてるんですよ。ここまで来ても目が痛いですか!?」(一同笑)。隣は吉田喜重監督の重たいスタッフルームなのに、こっちではアダルトを見てるという。
『帝都』で国際ファンタへ行ったときはフランス語でスピーチをしてましたね」
【『ウルトラQザ・ムービー 星の伝説』】
バブル期に往年のテレビ『ウルトラQ』(1966)の映画版の企画が持ち上がった。実相寺監督は、テレビ版は撮っていないが映画のオファーが舞い込む。
古林「円谷プロから円谷粲さんが独立されて、その第1作として『ウルトラQザ・ムービー 星の伝説』(1990)をつくることになって」
北浦「実相寺監督は「金がかかるだろ」って。「そこは知恵で」って言ったら「知恵も金がかかるんだよ!」(一同笑)。面白がってやっていたとは思います」
古林「実相寺監督がウルトラシリーズに戻ってくるわけで、金がかかるだろっていうのは監督もやりたいことをやるっていう意思表示だったかなと」
北浦「相当ロケしてるしね」
古林「九州全体をロケハンに行って来いと言われましたね」
清水「ぼくは北浦さんたちよりちょっと下の世代ですね。実相寺さんにいちばん初めにお会いしたのは服部(服部光則)さんに紹介を受けて、コダイに送り込まれたときですね。『ウルトラQ』の特撮班です。その後でビデオシリーズ『実相寺昭雄の不思議館』(1992)で人がいるということになって、それで実相寺さんに挨拶を。赤坂だったかで音楽の編集をしてらしたのかな。北浦さんがロビーにいて、ちょうどぼくが行ったときに実相寺監督が出て来て北浦さんが「こいつ、服部さんのところにいる助監督の清水です」と紹介してくれたんです。実相寺監督は「服部の助監督ってことは最低の助監督だな」ってそのまま歩いて行きました(一同笑)。ぼくは変わった人好きで、それからのおつき合いです」
高樹氏はキーパーソンとなる役を演じた。
高樹「いちばん最初に出会ったのは『ウルトラQザ・ムービー』の星野真弓役で、オーディションで。昔のジャニーズ、いまのスマイルアップの前にある洋食屋さんでオーディションみたいになったんですけど。そのとき宍倉(宍倉徳子)さんもいらっしゃったのかな。数名でやって。ちな坊がいたんですよ。私、監督じゃなくてちな坊に「ああ!」って言って(笑)。ちな坊と話す私を監督がにこにこ見ていたのを覚えてますけど。よくUFOを見るのでそのことを監督に喋ったら、目が点になって「何だこいつ」という。
撮影でものすごく寒い日で、衣装にホカロンを貼っても1分くらいでつめたくなっちゃう。夜になって別の衣装になったら、監督は「キャバレーの姉ちゃんみたいだな」(笑)。愛すべき人ですね。このロケ地はこの映画で有名になりましたね」
古林「そんなことはないと思います(一同笑)」
高樹「ちな坊から入っていったし、私は女優女優してないじゃないですか。それでキャバレーの姉ちゃんって言うくらい、何を言っても大丈夫な人というのが。ドアを開けたらちな坊が先にいて、監督は向こうのほうに」
北浦「『「堕落」 ある人妻の追跡報告』(1993)のときにも急遽来てもらったり、いい迷惑だったと思いますけど高樹さんには信頼感があったと思います。呼べば来ていただけるという感覚」
高樹「親戚みたいな。実相寺監督が喋らないというのは私にはなくて、めっちゃ喋ってましたね。ぶつぶつ芝居と関係ないこととか。で、モニター見ながら、私じゃない女性を見て「この角度はやらしくないな」。ときどきクラシックが頭に鳴るらしくて、モニター見ながら歌ってるときもありましたね。撮影が終わった後にコンサートへ行くって言ってましたので、そっちのほうにモードが入っていたのかもしれないです(笑)」

高樹氏のシーンが上映された。
高樹「なつかしいですね。何回か見てるはずなんですけど。実相寺監督らしいのは(演技している)後ろでクレーン車が動いてる。それに負けちゃいけない気分もあるんですけど。そうだ、クレーンがあったなと。自分なのに何を喋り出すのか判らない雰囲気。竹やぶのシーンではライトを埋めているんですよ。埋める時間がものすごく長くて、朝までかかって。3日くらいかかりましたね」
北浦「天気にやられましたね。竹やぶは照明も徹夜でやってて。実相寺監督に「あした雪だから中止にしましょう」って言ったら「バカ野郎。お前、この雪で異世界だろ。こんなにいいタイミングはないからあしたやるぞ」って言われて、朝にスタッフの車20台ぐらい出て準備してそれで監督を呼びに行ったら「バカ、こんな雪で撮れるか」(一同笑)。見事にだまされて、牛場(牛場賢二)さんと中堀(中堀正夫)さんは「だから言っただろう」。しょぼんとした記憶があります。
他でも雪にやられてスタッフ何十人で雪どけをして、高樹さんの立つ場所とかも。その日しかなかったです。田んぼの中にある看板の前で撮影するときも台風が来て看板が飛ばされたり、いろいろあった作品でした。2月、3月ですね」
高樹「寒かったですね。ものすごくなつかしくて思い出深い」
北浦「プロデューサーからはお金がないと言われましたけど、結構豪華でした」(つづく)

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