【俳優について (2)】
井上「『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(2022)では2~3回は飲んだね。お前らとは違って、向こう(若い俳優)からはさ、おじいちゃんだよ(笑)。おれは大学の先輩ぐらいの気持ちなんだけど、向こうはそうは思わない。あんまり仲良くなれないね。犬塚翼(柊太朗)とはお前頑張ったなって飲んだ。誰にも言うなよって。北海道出身の朴訥な少年だった(笑)。料理が趣味で。
昔は若松とも飲んでたけど、いまは昔ほど飲まなくなったね。(最近の)俳優って金持ってないんだよ。おれがいつも払うじゃない?(笑)」
海津「おれのときはおごってくれなかったね」
井上「まだ金持ってなかった(笑)」
若松「井上さんと話すのが愉しくて飲む。高い店どうのこうのじゃない」
井上「おれが行きたいんだよ。うまいもの食いたい。おれは別にお前と話したくない(笑)」
海津「ひとりで行けばいいじゃない?」
井上「ひとりは淋しいんだよ(一同笑)。ひとりで食ってもうまくねえ」
【その他の発言】
若松「吉祥寺の店で正式名称は知らないんだけど」
井上「あったね」
若松「黒松の盆栽の上に鯛のお造りが乗っかってるんですよ。それを見て感動した」
井上「あの店、よかったよな。オーナー死んじゃったけど」
海津「おれと井上さんが飲んでたころは、そんなに食にこだわってなかったですよね」
井上「そうだね、金もなかったしな。お前そんなに強くないよな」
海津「覚えてるのは井上さんがふぐひれ酒に凝ってて、いっしょに飲んで。ライターで火をつけてすぐに蓋。一時期飲まされて、うまかった」
井上「でもいま飲まないね」
若松「以前は男の料理パーティーを井上さんのアトリエで」
井上「よくやってたね。金がかかる」
若松「長火鉢があるんですよ。岩魚とかもね」
井上「鮎もな」
若松「九州出身の田舎者ですから」
井上「おれは浦和市の田舎者だよ。沼と森しかなかった」
若松「浦和の競馬場の目の前。実家にも遊びに行って花火を見て」
海津「実家まで行ってんの」
若松「競馬場で花火大会があって、寝ころんで」
井上「いまは火事になるからってやってない。厳しくなって、世の中はつまんなくなるね」
海津「若松がアテンドしてくれて30年ぶりに飲んだときに、おれと井上さんの話が弾むわけよ。するとこいつが関係ない話で入ってくる。井上さんが「若松、おれと海津が話てんのが判らないのか」って怒り出して(一同笑)。それで若松は黙るんだけど、10分後にはまた関係なく入ってくる。そのふたりの関係性が面白いのよ。
ちょっと時間空くとどっか行こうとか、お酒飲むことしか考えてないね。でも井上さんってさ、いつから食にうるさくなったの?」
井上「ガキのころは食が細くてさ、何で人間って食事するんだろう、こんな面倒なことなければいいのにって思ってた。ガキのころはプリンの黒いところだけ食ってた(笑)」
海津「きょうはプリン食べてたね。飲み明けにはいいと。何時まで飲んでた?」
井上「覚えてないね。朝起きたら財布は空っぽだった。ろくなことなかったんだろうね。しまった、きょうは海津との大事な日なのに顔がぱんぱんに腫れて。でもおれ俳優じゃないから、お前らがいればおれは後ろにいればな。
ある日突然LINE来てさ、トークショーでもやりましょうよって。判ったって言ったらどんどん進んでく」
海津「井上さんにメールしても返事は「いいよ。」だけしか返ってこない。
でも井上敏樹を過大評価してた。もっとチケットが売れると思ったら、売れねえ売れねえ(笑)」
井上「チケット代高いよね」
海津「「もっと売れると思った」って本人にメールしたら「そんなバカな!」って」
井上「1万円って反対したんだよ。3500円ぐらいでいい、こんな与太話(一同笑)」
『仮面ライダー龍騎』(2002)について質問があった。
井上「テレビはほぼ半分書いたんじゃないかな。靖子(小林靖子)と共作だな。龍騎はおれも大好きだよ。北岡弁護士(小田井涼平)には愛着がある」
若松「その時代、井上さんがライダー書いてたとき、段ボールいっぱいのおもちゃが届いて(笑)」
井上「息子のためにな。集められるおもちゃを全部、若松に送ってくれって言ったの。(龍騎も登場する)『仮面ライダージオウ スピンオフ RIDER TIME』(2019)は見てないんだよ。
(他の)ライダーだと釈由美子が出るやつ(『仮面ライダージオウ〈2018〉)。あれ好きだった。めっちゃ叩かれたらしいけどね(笑)。でも釈は、いまマンホール大使だもんね」
好きな作品について質問があった。
井上「映画だと『ゴッドファーザー』(1972)とか好きだね。小学生のときに見た『ローマの休日』(1953)。あと『風と共に去りぬ』(1939)はいまでも傑作だと思うね。『エイリアン』(1979)とか『ジョーズ』(1975)もびっくりした。基本的に恋愛映画は嫌いだね(笑)。戦隊の中の恋愛ならいいけど、恋愛だけやるのは好きじゃない。人の恋愛なんか見ても仕様がないからな(笑)。恋愛は書くんじゃなくてするもの。
『ザ・ボーイズ』(2019)っていうアメリカのテレビシリーズがあってさ、正義の超能力者を管理してる会社があるわけ。事件が起きるとそのヒーローを派遣するんだけどそのヒーローがみんな変態なんだよ。麻薬中毒だったりさ、衝撃的だった。Huluでやってて、おれなんかまだまだだと思ったね」
最後にメッセージ。
井上「60歳なんてまだガキみたいなもんだからね。これから50年ぐらい書こうと思ってる(一同笑)。よろしくな。
いま時代劇の歴史小説みたいなの書きたいんだけど、準備が大変なんだよ。資料ばっかりたまってる。茶道と香道、ロマンチックな儚い感じ(笑)」
海津「こう見えてロマンチックで涙するようなの大好きだもんね。泣かせてやろうと思って書いてない?」
井上「本能的に(笑)」