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私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

石井隆監督 × 佐藤浩市 トークショー レポート・『GONIN』(1)

石井隆 映画

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 もう16年も前、1995年にバイオレンス映画『GONIN』が発表された。 

 ディスコのオーナー(佐藤浩市)、ゲイの男性相手のコールボーイ(本木雅弘)、リストラされたサラリーマン(竹中直人)、元刑事の用心棒(根津甚八)、元ボクサーのチンピラ(椎名桔平)という、はみ出し者の5人。 彼らは暴力団の事務所から大金を強奪することに成功するも、暴力団の放った謎のヒットマンビートたけし)にやがて追いつめられていく。 

「世紀末、極限のバイオレンスが弾ける」 

「キレたらとまらない」 

というキャッチフレーズの予告編がかっこよくて、興味を惹かれた。あいにくR指定で、この当時中学生であった筆者は見ることがかなわず、それから数年後に高校生になって見てみると、全般にウェットなタッチだったり、登場人物の変態性や情けなさが強調されていたりで、事前のイメージとはやや距離がある異色作であった。竹中直人演じる人物が帰宅するシーンクエンスなどは、1990年代末のホラーブームを数年先取りするかのような気味の悪い場面で、メジャーな映画とは思えないようなカルトな演出が忘れ難い。  

 『天使のはらわた 赤い眩暈』、『ヌードの夜』(1993)など多数の石井作品に出演した竹中直人は、石井監督に惚れ込み、「(石井に)メジャー展開してもらおうってことでいろいろ考え」た。インディペンデント系の作品では、男女のドラマが主だったので、「今回、女を出さないで男だけの話にしたら、今までの石井作品とはずいぶん違うカラーが出るんじゃないかな」という意図もあったという(『シネマでヒーロー 監督編』〈ちくま文庫〉)。

シネマでヒーロー 監督篇―武藤起一インタヴュー集 (ちくま文庫)

シネマでヒーロー 監督篇―武藤起一インタヴュー集 (ちくま文庫)

 

 竹中の尽力もあって発表された『GONIN』は、売上げはともかく注目を集め、翌96年に『GONIN2』が製作された。今度は女5人が主人公で、1作目で命を落とした男5人は別の役柄でゲスト出演するという趣向。その後は、Vシネマでシリーズ化されている(石井監督はタッチしていないらしい)。 

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 2011年2月12日、“銀座シネパトス”にて『GONIN』のリバイバル上映と石井隆監督 × 主演・佐藤浩市トークショーが行われた。その際にメモしてまとめておいたのだが、約5か月、震災などもあって手がつかず、いまさらの記事化である。 

 “銀座シネパトス”に行くのは約10年ぶりで、ほとんど変わっていない(かに見える)昭和っぽい劇場である。場末の(失礼)飲み屋に挟まれた映画館の前で待っていると、目の前にいきなり浩市氏登場で驚いた。周囲の人はサインしてもらっていたが、まさかこんな間近に現れるとは思っていなかったので適当な紙を持っていなかった私はあたふたしていると、浩市氏は楽屋へ去ってしまい、サインはもらえなかった(笑)。 

 トークは『GONIN』の上映前に、映画批評家樋口尚文氏の司会で始まった。佐藤浩市氏がこのようなトークの場に出てくることは稀なので、ものすごい拍手が湧き起こる。(メモと怪しい記憶頼りなので、実際の発言とは異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承下さい) 

 

樋口「まず佐藤さんと言えば、デビュー作のテレビドラマ『続・続事件 月の景色』(1980)が強烈なのですが」 

佐藤「あれを撮ったのは19歳の夏でした。(母親と)近親相姦して、それを目撃した少女を殺すという役で(一同笑)、もうデビュー作からいきなり石井隆ワールドに近いような内容でしたね」 

 

 『続・続事件』と石井隆監督は、特に関係ないようである。念のため。 

 

佐藤「ぼくは神楽坂で育って、中学生のときがいちばんよく映画を見ていた時期です。神楽坂の○○っていう名画座。 そこで日活ロマンポルノをよく見ましたね。田中登さん、パキさん(藤田敏八監督)。その切符で、18禁を見たぜ~って自慢しました(一同笑)。そのあと東映の『仁義なき戦い』(1973)とか実録もの、ATGに進みました。

 で、映画関係の仕事をしようと、(多摩芸術学園)映画学科で撮影係をやってみたんですが、つまらなくて。そんなときにたまたまオーディションを受けたのが『続・続事件』だったんです。この作品はまあ、内容も内容だったし、あまり色のついてない新人の俳優を使おうってことだったんだと思います」(つづく)

 

【関連記事】諦観のやすらぎ・『天使のはらわた 赤い眩暈』(1) 

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