私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

井上敏樹 × 海津亮介 × 若松俊秀 トークショー レポート・『光戦隊マスクマン』(1)

 テレビ『仮面ライダーアギト』(2001)や『仮面ライダー龍騎』(2002)、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(2022)など代表作多数の脚本家・井上敏樹。『光戦隊マスクマン』(1987)の海津亮介、『超人戦隊ジェットマン』(1991)の若松俊秀と井上氏とのトークイベントが2023年4月に行われた(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。

 

【『マスクマン』について (1)】

 『マスクマン』は地底帝国チューブの襲来に地上の若者が立ち向かう。海津氏はリーダーのレッドマスク/タケル役。チューブでありながらタケルと恋するイアル姫(浅見美那)と怒りを燃やすイガム王子(浅見)とをひとりの役者が演じ、長官役は谷隼人で、地底帝国の不気味なビジュアルなど意欲を感じさせる。井上氏はメインでなくサブの作家として参加。

 

海津「こないだ30年以上ぶりに井上さんとサシ飲みしてめっちゃ愉しかったから、公開飲み会じゃないけどやろうかなということで。じっくり井上敏樹を掘り下げていこうと。(出会いは)『マスクマン』の飲み会だったかな」

井上「そうだろうね。じゃなきゃ会わないもんな」

海津「大泉のどっか。帰りがバスでいっしょの方向だったんだよね。大泉学園から吉祥寺まで行って。ここで終わっちゃうのもなってことで、どちらからともなく飲みに行くことになったんですよね。井上さんもあのころはこんなじゃなかった」

井上「少年だよ」

海津「少年は言い過ぎだろ(笑)」

井上「ピリピリしてたね。お前なんかに負けないぞ、みたいなのがあった。感じてたよ」

海津「お互いね」

井上「おれはねえよ、お前ごときに(一同笑)。いや、確かにあったな。当時結構飲んだよね。吉祥寺あたりでな」

海津「意気投合しちゃって。『マスクマン』やってるときは少なかったかな。終わった後ぐらいがいちばん飲んでたのかな。多いときは週1ぐらいで飲んでました」

井上「歳も近かったしね」

海津「あのとき、おれはふたつ下だった」

井上「サバ読んでた(笑)」

海津「いまちょっと歳上になったんだけど(一同笑)」

井上「成長が早い。いまでもおれのほうが歳上。いまさらね(笑)」

海津「(呼び方も)井上さんだしさ。

 『マスクマン』はおれが29。(公称は)26になってたけど(一同笑)。あのときの顔で29って言っても」

井上「ガキっぽかったもんね」

海津「29歳ぐらい対象のオーディション言っても逆に受かんないわけ。見た目年齢で。いまみたいに調べれば判るわけでもないし」

海津「いろんなところに飲みに行きましたね、立川とか」

井上「お前がおれを案内したんだよな」

海津「そこをやってるのが、私の尊敬する先輩の舞台俳優さん。アデランスなんかのコマーシャルにも出てたんだけど、その人に対して井上さんが上から目線で言うのよ」

井上「当時は態度が悪かったの」

海津「いまだってじゃん(一同笑)」

井上「いまは年齢が態度に追いついてきた」

海津「有名な話があるよね。テレビ朝日の宇都宮(宇都宮恭三)プロデューサーが」

井上「おれがまだ20代なのに、妙に態度がでかいと。東映の鈴木さん(鈴木武幸プロデューサー)が「井上くんも飲めばいい子だから」って(一同笑)。宴会を設けてくれたんだ」

海津「テレ朝のプロデューサーのほうが、決定権とか上なのかな」

井上「そうだね、立場上は。ただ主導権は制作会社が握ってるからさ」

海津「宇都宮プロデューサーがあいつはどうしようもないみたいに言ってたのを」

井上「そこまでは言ってない(一同笑)」

海津「鈴木さんが上手くなだめて。

 そういえばアニメ出身なんだよね。学生のとき?」

井上「23歳だね。親父(伊上勝)の借金を返すために厭々始めた。厭々始めて売れっ子になったのはおれぐらいじゃないか(一同笑)」

海津「いつもこうだからな。前は年下だからはいはいと」

井上「いまでも年下だろ(笑)」

 

 井上先生は『マスクマン』の前年の『超新星フラッシュマン』(1986)の第14話「恋?! ブンとスケ番」が戦隊シリーズの初執筆。海津氏も井上脚本の第27話「ダイ友情のパンチ」でのゲストとして戦隊に初出演した。

 

井上「『フラッシュマン』は鈴木さんが呼んでくれた。鈴木さんのおかげだよ」

海津「鈴木さんはおれたちの恩師ですよね。中学校の校長先生みたいな感じ、ありません? すごくいい先生だったんだみたいな。

 おれも戦隊に出たのは『フラッシュマン』が初めて」

井上「鈴木さんは(『フラッシュマン』で)お前を試したんだろうな」

海津「もちろんそうだと思ってる。特撮に関して一切知識はなかったんですよ。事務所からこういうの決まりましたからって言われて「えっ、特撮!?」」

井上「地位が低かったね」

若松「ジャリ番って言われて」

海津「こういう世界があるんだとは思った。着ぐるみでナパームやって。初めて知った」

井上「また(俳優の)ギャラが安かったからな。聞いてびっくりしたもん」(つづく