
【『マスクマン』について (2)】
海津「(『超新星フラッシュマン』〈1986〉では)どういう注文だったかは覚えてますか?」
井上「「ダイ友情のパンチ」はダイをフューチャーしてくれってことだけだったかな。それでゲストにお前のボクシングの青年をつくったんだよ。でもあんまり思い入れはない。お茶を濁したというか」
海津「なんかカチンとくるんだけど(一同笑)」
井上「当時は仕事より人生を愉しむことのほうがさ」
海津「『光戦隊マスクマン』(1987)でX1マスクが出てくる回(第39話「復活!謎のX1マスク」)は、私が遊び人みたいになるんだね。プールバーに行ったり」
井上「おれがプロットで出して、お前らのプロトタイプがいるって話にしたら、鈴木(鈴木武幸)さんが文字通りプロトタイプのマスクがあるって出して来て使ったんだよ。ああいうのは定石で書きやすい」
海津「鈴木さんのオーダーじゃなくて、井上さん発信だったの」
井上「鈴木さんも白倉(白倉伸一郎)も発信はめったにしないよ。ロボット出してくれとかぐらい。白倉は最近ロボットも言わなくなって、自分で書くからあんたは自由に書いてくれと(笑)」
海津「『マスクマン』は一応熱いレッドで「ロミオとジュリエット」が底辺にある」
井上「(恋愛は)あんまり話題になんなかったよね」
海津「話題になんなかった。恋愛の部分は最初と最後しかないから」
井上「他は昔ながらの戦隊だった。お前の芝居が下手だからじゃないの(笑)」
海津「こら(笑)」
第34話「愛と殺意のブルース」では食い逃げの場面がある。
海津「食い逃げは、当時は問題なかった?」
井上「当時は規制がゆるかったね。いまはダメだろうね。ヒーロー番組だろ。ヒーローが基本的に食い逃げしちゃいかんよ。ヒーローがしちゃいけないって言われると、おれはさせたくなる(一同笑)。食い逃げぐらいいいじゃねえかと。
『超光戦士シャンゼリオン』(1996)で料理の内容を指定したんだけど、全然違ってたからね。そんなのつくれねえって(笑)」
若松「食事のシーンはだいたい東映の食堂にあるやつ。井上さんのホンで「満漢全席」って。(現場で)ザリガニが出てきて、うまかったけど満漢全席じゃないな(笑)」
井上「そりゃそうだろ(笑)。猗窩座エビ(の代用)だな。食材のザリガニなんてよく出したな。安いもんだけど」
海津「おれが井上さんに(当時)アドバイスしたのは、その洋服はないだろと」
井上「そうそう、お前に影響受けた。服装とか全く興味なかったのよ。いま思えばダサい格好してたよな」
海津「もったいないと思ったよ。まずタッパがあるし、あのころシュッとしてた。いまみたいに強面じゃなくて。しわくちゃのジャケットにコットンパンツみたいなの履いてて。どんなにダサかったか。それで、おれの言うこと聞いてくれたと思ったら、でもいまは違う方向に」
井上「いまはやくざふうに(一同笑)」
海津「そういうつもりで言ったんじゃないんだけどな(笑)」
井上「(最近は)新宿歩いててもね、おれには客引きが寄って来ない。おれ180あるんだけど、2メートルぐらいある黒人がひとりだけ「社長さーん」って寄って来た。そいつだけ(一同笑)」
【『ジェットマン』について (1)】
『鳥人戦隊ジェットマン』(1991)では井上先生がメイン脚本に就任。遊び人で無頼の結城凱/ブラックコンドルを若松氏が演じている。
偶然「バードニックウェーブ」を浴びた若者たちが次元戦団バイラムとの戦いを強いられ、三角関係など愛憎も描かれる。バイラムの権力闘争も壮絶で、当時としては衝撃作だった。
井上「『ジェットマン』で初めて戦隊のメインだった。戦隊内恋愛をって言ったら、鈴木さんは「どうかな?」と嫌々オッケーした感じだったな。おれは強引だったし、鈴木さんもメインライターの言うことは聞くんだよ。
オーディションは、鈴木さんがとりあえず呼んでくれたんだよ。5人ぐらい並ぶじゃない? おれの台詞を(ひとりずつ)読むんだけど「きょうはお前の最期の日だ」って台詞を最初の役者が「サイキの日だ」って言うわけ。するとみんな「サイキ」「サイキ」「サイキ」って(一同笑)。お前ら、どういう教育を受けてきたんだ。緊張してるからな。あと、あんだけ人に会うと疲れる。
昔『キューティーハニー THE LIVE』(2007)っていうのやったんだけど、そのハニー役のオーディションは行った。原(原幹恵)さんっていうアイドルになったんだけど、1日に300人ぐらいの女に会うんだよ。気持ち悪くなってきて、女ばっかり300人見てると。下手な演技をするわけ、痛々しくてさ。一生懸命だと痛々しいことあるじゃん。つらくなってきて(笑)」
海津「頑張ってると痛々しいってことあるよね。女の子でも男の子でも」
井上「特に若いころはね。
若松は(オーディションで)殺気があったね。おれが推したのは若松と田中(田中弘太郎)。絶対田中はレッドで若松はブラック。あとはどうでもいいから決めてくれと(一同笑)。そしたら「いやいや若松はレッドでしょ」っていう見る目のない奴がいるわけよ」
若松「だからおれは何回も行かなきゃいけなくなった。最後まで行きました。うちのマネージャーが言ってたのは「レッドでも見たいって言うから行ってくれ」」
井上「よかったね、レッドにならなくて(笑)」
海津「若松のどこがよかったんですか?」
井上「雰囲気、オーラがあったね」
海津「オーラ!? オーラマスク(一同笑)」(つづく)



