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私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

ひし美ゆり子 × 三輪ひとみ × 中堀正夫 トークショー(実相寺昭雄 特撮オールナイト)レポート(2)

実相寺昭雄 テレビ

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【中堀カメラマンと実相寺

 中堀正夫カメラマンは『ウルトラマン』(1966)や『怪奇大作戦』(1967)などにて助手を務め、『シルバー仮面』(1971)の第1話にてチーフカメラマンに昇進。ひし美ゆり子氏は「(歳が)同じくらいだよね」と中堀氏に声をかけていた。

 

中堀「(『シルバー仮面』は)『無常』(1970)、『曼荼羅』(1971)の後です。『シルバー』に入ってから、『哥』(1972)に入って。

 ぼく金沢文庫に住んでたんですけど、東横線二子玉川に出て美セン(東宝美術センター。その後は東宝ビルトと呼ばれたスタジオ)。それで『怪奇大作戦』が終わって仕事がなくなって、『シルバー』では畑の中にあるトタンのスタジオの現代企画(日本現代企画)へ。

 テレビやるんだけどお前(カメラ)回せって。27のときです。そんなって言ったけど、いややれと。その時代で27でカメラマンなんて夢のような話ですからね。特撮を4年やって、毎年カメラいじってて。多いときは(現場の)カメラが4、5台。撮影部は6、7人しかいないから、撮ることに恐怖はなかったですけど。ただやれと言われたときはどうしようかなと」

 

 『シルバー仮面』第1話冒頭の火事のシーンは、その暗さが語り草になっている。

 

中堀「最初の日、ライトもなくてまっくら。監督が用意しない。消防車の赤いランプ撮りゃいいんだと。走ってなくても走ってるように撮る技もあるけど、ただ監督が言うようにランプを撮って、でも途中に電柱(の灯り)があって光が入ってくる。ああ、この監督は考えてんだなと。その後が大火事で、暗くていい、火が上がってるんだからと(一同笑)。何しろ暗く撮ればっかり言われて、最初の作品からそういうことで。

 役者は何か落っこってきたら死んじゃうよって怒って、控え室で参っちゃう人も。それくらいすごかったですね」

 

 第2話ではとうとうと自説を述べていた宇宙人(岡村春彦)が、突如奇声を発し始めて農村でガスをまき散らす。

 

中堀「2話で岡村さんが煙出して走ってかわいそう。監督は遠くで見ててケケケと(一同笑)。監督が(2話の台本に)書いてるんですよ。“とことんダメだ、駄作”って。

 (第5・6話では)TBSの樋口さん(樋口弘美監督)が来て、すごくオーソドックス。ぼくは微妙に息吹き返した(一同笑)。ほんとにオーソドックスな撮り方してくれて、2本撮って落ち着いた。

 その後は佐藤さん(佐藤静夫監督)の大島組みたいな現場になっちゃって」

 

 第9・10話に登板した佐藤監督は、大島渚監督の助監督を務めていた。樋口尚文氏とは大島関係で面識があるという。

 

中堀「(第9話「見知らぬ町に追われて」は)怖かったですね。(佐藤監督は)大島組だからリアルというか、人の命なんかおれは考えてねえ!みたいな(笑)。機動隊が火の中に入っていくシーンでは、無人で撮るわけにいかないから、運転する人とおれが入って。どこで爆発するか判らない。金嬉老の事件があった後で」

ひし美「ああ、そうね」

中堀「こっちも覚悟というか」

 

  第10話「燃える地平線」では大島監督の映画『絞死刑』(1971)を想起させる

 シーンがある。クライマックスの戦闘では、その死刑場が燃え上がる。

 

中堀「セットが大爆発して、こっちはボクシングのマスクみたいなのつけて。あれは結構危険で。美術が考えてたわけではないと思うけど、(爆発した)セットの上は残って、横の壁が開いて、堂々とそれを使っちゃって。もう1回ってわけにはいかない。

 監督はあんまりきちっと修行してないやつを使いたかった。東宝のカメラマンが来ると、監督は戦ってた。××さんとかすごい人が来てるわけだけど」

 三輪氏もゲスト出演した『ウルトラマンティガ』(1997)の「花」での花見のシーンはセット撮影。当初はロケの予定だったが…。

 

中堀「ちゃんとロケは桜の時期に合わせてて。初日は成城学園前に集まって、花曇りで。でも監督は来ない。30分経って電話したら、きょうは曇りだから撮らないと。花曇りだって言っても、ダメだって。後で何も言わないけど、セットの中で桜の花を咲かせてやりたいと思ってたんですよ。確信犯ですね。毎日撮らないでいて。制作部は日本中の桜を(ロケ地候補として)オンエアに間に合うように調べる。でも結局、監督は出てこない」

三輪「待ちぼうけ(笑)。でも美しいセットでしたね」

中堀「(セットの全部が映らないように)レンズをワセリンで塗ったり。制作部が前からロケハンして調べてるから言いなりになるけど、結局曇りだからとか言って5日間ぐらい撮らなかったですね。(日程が切迫して)それで一気に撮る気分になって。

 ほんとはセットでほとんど1日で撮れて、2日で撮れてたはずですね。最初から2日でやれば、予算とか助かったはずなのに。頭から決めて、出てこない。(トンネルでの)ロケも手近で」(つづく

 

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