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大島渚 インタビュー “新選組はボク自身だった!”(1999)・『御法度』(1)

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 『青春残酷物語』(1960)、『太陽の墓場』(1960)、『愛のコリーダ』(1976)、『戦場のメリークリスマス』(1983)などの作品で知られる世界的巨匠・大島渚監督。以下に引用するのは、その大島監督が13年ぶりに撮った『御法度』(1999)の公開の際に受けたインタビューである。

 1980年代から90年代にかけて、主にテレビのバラエティや討論番組、CMに出演していた大島監督は、1996年に奥山和由プロデュースで『御法度』に取り組むことを発表するが、直後に脳出血で倒れてしまう。その3年後、病を乗り越えた大島はようやく『御法度』を完成にこぎつけた(結果的に遺作となった)。

 このインタビューは、さほど多い字数ではないけれども、大島渚の演技観や過去の道程が語られていて、読み応えがある(聞き手:森山京子)。注釈の部分は本文中にねじ込みました。

 

――大島さんが久しぶりに映画を撮るというので、大変な騒ぎでしたね。取材陣も陣中見舞いも前代未聞の多さで。13年間撮らない間に、自分の中で変わったところがありますか?

 

大島 そういうことは自分ではわからないんですよ。(ビート)たけしさんはボクが優しくなったって言ってるらしいけど、彼は昔は緊張してたからね。昔は勝手に怖がっていたというだけ。

 

――撮り方は? 今までやらなかったけど今回は試したこととか…。

 

大島 それは全然ないです。現場でスタッフに注文出さないのも、事前の打ち合わせをしないのも、『御法度』以前からずっと同じですから。

 

――それは監督の意を汲んで自分で考えるということですか? スタッフは死ぬほど大変じゃないですか?

 

大島 そんなに大変だとは思いません。ボクがなにをやりたいのか考えないようなスタッフは要らないし、よほどの馬鹿でない限りちゃんとできるものなのです。今回の京都のスタッフはボクが想像していたよりもはるかによかった。これには感動した。クランクインして2、3日目には、ボクがこの辺で本番に行きたいと思うとすぐにわかって、さーっと寄ってくる。それがとても嬉しかった。

 

――俳優にもあまり言いませんよね。ほとんどワン・テイクでOKですし。

 

大島 一回しか撮らないのは、その俳優を殺すより生かしたほうがいいと思うからです。もう一回やらしたほうがよくなると思っても、それを我慢して元のままにしておいたほうが、最後の総合点としてはよくなる。ダメなヤツはもともとダメなんで、それは選んだ私が悪いんですから。今回はそういう失敗は、ほぼしてません。

 

――大島さんが俳優にダメというときは、何を指してるんですか?

 

大島 人生観の違いというか、人間解釈の間違いです。演技力は問題にしてませんからね。普通、俳優さんが演技力と思っているものは、まあ、邪魔ですよ。ある人間がそこにいる、それだけで常にボクは十分なんです。あとはボクが書いたセリフを喋ってくれればいいんで、それ以上つけ加えられるのは嫌なんです。ボクが一番嫌いなものは、言葉で言うと媚。“ひらひら”と言ってるんですが、そのひらひらをつけることが演技であったり、映画であったりすると思ってる人が多いんですが、ボクはひらひらが一切嫌なんですよ。

 

――ということは、俳優を選ぶときも演技力では見ないということ?

 

大島 単に人間を見てるだけです。こいつはどういうヤツなのかということを。役柄に合う合わないなんて問題じゃなくて、一個の人間としてチャーミングであるかないかということだけを見ているつもりです。

 

 10年サイクルで集団は潰れるもの

――『御法度』は、加納惣三郎松田龍平という美少年が入隊してきて、新選組が揺れ動くという話ですが、大島さんは今までも、異質の他者に魅惑されるという関係を描いてきましたよね。『戦場のメリークリスマス』をはじめ、それは何かを壊す、状況の安定を壊すということへの関心ですか?

 

大島 うん、そうねえ。でも一番興味があったのは、新選組という集団が壊れていく運命にあったということ、たった一人の少年が入ったことで集団が揺れ動くことに興味があったのかなぁと思いますね。個別の関係じゃなくて、集団のほころび――。まあボクは、ひとつの集団というのは大体10年だと思っています。例えば創造社も10年で潰れました。意識的に解散する場合もあるけど、意識しなくても、男同士の友情みたいなものは10年続けばいいんじゃないかと思う。理屈があってそう言うんじゃなくて、結果論として10年サイクルで解散していくというか。自分の映画チームも含めてそういうものじゃないかと思っている。そういう意味で、新選組の人間関係は自分が持っていたものと近い。ある意味、新選組はボク自身だとも言えるんです。

 

以上、「週刊SPA!」1999年12月15日号より引用。(つづく)

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