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高田文夫 × 伊藤克信 × 三沢和子 トークショー “森田芳光70祭” レポート・『の・ようなもの』(1)

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 23歳の落語家(伊藤克信)は風俗嬢のエリザベス(秋吉久美子)に「アル・パチーノに似てる」と言われて親しくなる。女子校の落研のメンバーや先輩(尾藤イサオ)と団地の天気予想クイズを行うと大好評で、そのメンバーのひとり(麻生えりか)ともつき合うようになった。しかし彼女の両親(芹沢博文加藤治子)の前で落語をやってみせると呆れられてしまう。

 『家族ゲーム』(1983)や『(ハル)』(1996)などで知られる森田芳光監督のデビュー作『の・ようなもの』(1981)は、若い落語家の日常をシュールな演出で描いた傑作。コミカルな展開に笑いつつ、ラストではもの淋しさも感じさせて森田監督の天才ぶりを軽やかに示す。

 2021年は没後10年で森田監督の特集が渋谷など各地で行われており、9月にはリバイバル上映に加えて森田監督と親交のあった放送作家高田文夫、主演の伊藤克信、妻の三沢和子プロデューサーのトークショーユーロスペースであった(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。

高田「有村崑です(一同笑)。マニアのみなさんこんにちは」

三沢「森田の妻でプロデューサーの三沢です」

伊藤アル・パチーノです(一同笑)」

高田「きみが主演の映画。生涯1本だけ?」

伊藤「まだありますよ。嬉しいね、これだけ集まっていただいて」

三沢「1週間前からきょうまで8ミリ作品を上映して」

高田「毎日8ミリ。熱海のエロ映画みたいだな(一同笑)」

 

【少年のころと青年時代 (1)】

三沢「このすぐ近くの料亭が森田の実家で」

高田「目と鼻の先ですね」

三沢「8ミリの中には50年前のこのへんの坂とか街並みが映っていたのもあり、初期のものから『の・ようなもの』まではユーロさんでやっていただきましょうと」

伊藤「いまは〇〇っていうラブホテル」

高田「そこが森田くんの実家だったんですよ」

三沢「まだ芸者の置屋さんもあって」

高田「「円山・花町・母の町」っていう歌がありますけど。もともとは色町のことは花街(かがい)って言ったけど、あの歌から花町って言うようになったな」

三沢「毎日芸者衆が家の中にいて、お客さんの悪口言ったりするのを子どものころから聞いちゃってます。道一本隔てた百軒店には私も知ってるジャズ喫茶があって。森田が子どものころは映画館があって、近所の子だから好き勝手に入ってた。そういう環境が、本人は映画監督になるには最高だったと」

高田「小学校になるまでに色っぽいことも覚えた」

三沢「小学校はいまの東急本店で、おおむかい小学校。朝起きて、坂を転げ落ちれば学校で1分で行くと」

高田「ぼくも渋谷生まれなんですが飛ケ谷っていう高級住宅街(笑)。いまのNHKの裏ね。お坊っちゃんだったからこっちの道玄坂のことはよくわかんなくて、大人になってから泊まりに来ましたけどね(一同笑)」

伊藤「お坊っちゃんの香りがしないねえ」

高田「お前は絵にかいたような田舎者(一同笑)」

伊藤「おれは熱海の旅館の坊っちゃん。森田監督の小学校の修学旅行はうちですから。環翠楼 古橋旅館といって。後で調べたら判って、うちじゃねえかと」

高田「日大の芸術学部落語研究会の2年生のとき、彼が入ってきたんですよ。そのころのぼくはスーパースターですからね(一同笑)。そこへあいつがぼんやりと。『の・ようなもの』と同じヴァンを着てきました。部室で夜にちびちび飲んでるとあいつが入ってきて「ここでいいんですか」と。話聞いていると小さいころから歌舞伎とかお芝居とか見てるんだけど、落語だけは全然ダメ」

三沢「落語より歌舞伎のほうが上手かったですよ(笑)」

高田「子どものときから舞台踏んでるんですよね。ぼくが落語教えたりしてたんだけど、当時は昭和43~44年で学園紛争に入りまして。ぼくらのころは使途不明金の古田(古田重二良)を倒せって言ってたけど、今回また日大の理事長はつかまりそうですけど(一同笑)。大学中がロックアウトでみなてんでばらばら。おれは、森田は芸事やってもだめだろうという感じで、つくるほうに回ったほうがいいよって言って。4年くらいになって卒業するときに、森田が8mm回してるって噂を聞いた」

三沢「私は、大学のときに森田の映画を見たんですよ。早稲田でジャズをやってたんですけど」

高田「早稲田だから日大をちょっと下に見るでしょ。じゃんけんで入ったみたいに。試験はあったよ。裏口なのは××だけ(一同笑)」(つづく

 

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