私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

浦沢義雄 発言(インタビュー)録(2)

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 あんまり怠けてるから、荒戸源次郎さんが映画撮らせようとして、大和屋(引用者註:大和屋竺さんのためにホン二本書いた。その時も大和屋さん意気地がないからダメになったけど。内容? 説明するとバカみたいだから。一本は犯罪者モノ。カッコ悪く、農協襲う話。もう一〇年くらい前。結構二本ともさ、荒戸さんのOKは出たし、資金も低予算で、大和屋さんもヒマで遊んでんだから、普通やると思うでしょ? やんないの。自分の方から行くってのがない。大和屋さん口じゃスラップスティックやりたいって言うんだけど、いざ撮るとなると向いてないんだよ。素養あると思えないよ。ギャグなんて。

 ナントカ論とか、映画観て批評したりするのが好きだった。そういうの優れてたんじゃないの。映画観てもっともらしく言うタイプ。

 悠然と構えて、歌もピアノもうまくて、男に好かれるタイプ。ちょっと弱さもあって、いい加減さみたいな、そういうのも良かったし。こういう人がいれば気が楽でいいよ。尊敬してもしなくてもいいし。以上「映画芸術」No.368より引用)

 

 同じ1993年に「宇宙船」に掲載されたインタビュー。1981年からつづいていた東映 × フジテレビの不思議コメディーシリーズが終了する直前であった。

 

Q:フジ/東映のこのシリーズに参加されたいきさつは?

 

A:『ロボット8ちゃん』に大和屋さんが入ってたんで、最初から参加した。バラバラマンて俺が作ったんだもん。あの歌も書いたし。でも最初の脚本が東映から総スカンくって、しばらく外されちゃった。平山(引用者註:平山亨)さんと植田(引用者註:植田泰治)さんが強引に押してくれたんだと思いますよ。

 

Q:それで、翌年はもうメインですね。

 

A:『(バッテン)ロボ丸』でシリーズ構成になったの。『ペットントン』はもう俺一人で書く、俺の世界だけでいくって。本数たくさんこなしてきて、書ける自信がついてきたから。それに大体視聴率が15%くらいいけば好きなこと書けると思ってた。 

Q:そうしていわゆる浦沢世界が確立して例の無生物のドラマなどが前面に出てきますが。

 

A:俺、役者嫌いだから(笑)。(卓上の砂糖入れを指して)こういうほうが愛着がある(笑)。別にそんなことはないんだけど、こういうのってドラマになりやすいでしょ。俺ドラマって恥ずかしくなっちゃうんだけど、こういうのだと恥ずかしくないから。

 

Q:主役のキャスティングに意見を出したりされるんですか?

 

A:オーディションはこいっていうから行ってるけど、わかんないですよ。そういうセンスないもの。演技とかわからないから一番きれいな娘選ぶしかないでしょ。自分が恋人にしたいようなタイプ。『トトメス』(引用者註:『不思議少女ナイルなトトメス』)の娘もいい子だったよね。性格もいいし。本当普通の奴だから、こんなことやらせてかわいそうだなって思っちゃう(笑)。花島(引用者註:『美少女仮面ポワトリン』の花島優子)だけだよこんな奴やだなって思ったの(笑)。

 

Q:実に楽しそうに演じてましたもんね。

 

A:変だったもん(笑)。普通の女の子だったら俺の作品なんかやりたくないでしょ。 

Q:昨年の『うたう!大龍宮城』は毛色の変わったものでしたが。

 

A:俺はどっちかっていうと音楽嫌いなんだよ。詞を書くのは得意なの。得意そうでしょ? 『カリキュラマシーン』の時からやってるからね。好きなの。内容も結構面白かったんだけど、視聴率は駄目んなっちゃった。視聴率上げるのには、ミュージカルとSFはやっちゃいけないと思ってたんだよ。土壌がないでしょ、作るほうにも。龍宮城もファンタジーっていうかSFのほうに行きすぎて、見るほうがよくわかんなくなっちゃう。それで歌なんか歌われちゃったらね(笑)。

 

 以上、「宇宙船」Vol.65より引用(つづく