私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

浦沢義雄 発言(インタビュー)録(5)

——それで、『あんみつ姫』や『おそ松くん』で、再びアニメの仕事をする事になったわけですね。

 

浦沢 『あんみつ姫』は楽しい仕事だったような気がする。あれは設定に縛られるような作品じゃなかったから。『あんみつ姫』という世界があるだけで、後は自由にやっていい。それから、きっと自分の子供の頃から『あんみつ姫』の世界が好きだったんです。

 

——『あんみつ姫』でも、アンドロイドの奥さんが酒屋の店員と駆け落ちして、UFOが出てきて、みたいな話をおやりですよね。

 

浦沢 そうそう。前から時代劇にUFOが出てくるとか、そういうアイデアは頭の中にあったから。時代劇をやることになったら、すぐやっちゃおうと思ってた。 

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——その後のお仕事の中で印象的なものは何になりますか? アニメでも実写でも、いいです。

 

浦沢 『うたう!大龍宮城』かな。

 

——ミュージカル仕立てのやつですね。

 

浦沢 作詞もいっぱいしたし、楽しかったですね。

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——『はれときどきぶた』はいかかですか?

 

浦沢 『はれぶた』は印象的ですね。あれは監督が印象的だったな。

 

——ナベシン(引用者註:ワタナベシンイチさんですね(笑)。

 

浦沢 熱心な人ですよね。純粋な人だし、なんでも自分でやりたがる。声優までやりたがるんですよね(笑)。 

Chapter.2  

Chapter.2  

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——『忍たま乱太郎』はかなり長いシリーズですね。これは浦沢さんにとってはどんな作品なんですか?

 

浦沢 一番書きやすいんだけどね。別に不思議な事をやるわけじゃないけど、あれは、監督の芝山努さんの世界ですね。

 

——あ、なるほど。

 

浦沢 僕は芝山さんを尊敬してるんですよ。仕事の姿勢とか。仕事にかける時間の長さとか。憧れるんですよ。なんであんなに仕事ができるんだろうなって。

 

——浦沢さんも、沢山仕事をしたいですか?

 

浦沢 したいんですけど、体力がないんです。僕、1日に3時間くらいしか仕事できないんですよ。 

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——浦沢さんは、朝型だって聞いたんですけど。

 

浦沢 朝型です。日の出の頃に起きます。

 

——朝、仕事するんですか?

 

浦沢 朝8時くらいから始めて。

 

——3時間というと、11時くらいまでですね。

 

浦沢 その辺でもうダウン。それでペラ20枚ぐらい書くんです。

 

——1日分の仕事を午前中にまとめてやっちゃうんですね。その後は何をやっているんですか?

 

浦沢 打ち合わせとか。

 

——ああ、なるほど。夜は早く寝ちゃうんですね。

 

浦沢 できれば、8時に寝たいんだけど。8時じゃ寝れないから、10時です。でも、9時ぐらいには布団に入りたい。

 

——浦沢さんが『ふしぎ遊戯』をおやりになった時は、凄く驚きました。

 

浦沢 自分では、スタジオぴえろの本間道幸さんから話をもらって、なんの不思議にも思わずやってたんだけど。

 

——シリアスな少女ものですよね。自分に向いてない企画とは思わなかったんですか?

 

浦沢 そうは思わなかった。ただ、人にそう言われると「そうかな」と思うんです。原作はしっかりしてるし、面白いんだから。それを崩すのは嫌だなあと思って、原作に忠実にやりましたよ。 

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——最近だと『デジモン(引用者註:『デジモンアドベンチャー』)がありますよね。これも最初は「え〜、アクションものに浦沢さん!?」と思ったんですが、やっぱり、わりとコミカルな話をおやりですよね。

 

浦沢 コミカルな話を振られるんです。

 

——そうなんですか。

 

浦沢 うん。最初、それがよく分からなかった。

 

——シブヤ系デジモンの話なんかは、話題になりましたよね。

 

浦沢 あれもね、何気なく書いていたんだけど…。あの後で、自分はああいうのが望まれてるんだなって、初めて気が付いた。

 

——(笑)なるほど。

 

浦沢 この世界でこういう事を書けば、喜ばれるんだなって。

 

——浦沢さんが自分のポジションが分かってきたのは、最近なんですね。

 

浦沢 戦いの話になると、なかなか来ないんですよ、僕の順番が。

 

——ああ、つまり、シリーズが佳境になると。

 

浦沢 だから、2回目のシリーズ(引用者註:『デジモンアドベンチャー02』)からはもっと書かせて欲しいってお願いしたんです(笑)。 

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——今の『ぐるぐるタウンはなまるくん』はいかがですか?

 

浦沢 これはね、好きな事を描いていますよ。前にも『ノンタンといっしょ』っていうのをやっていて、あれも凄く楽しかったんですよ。要は、アイデアだけの作品なんですよ。

 

——ああ、なるほど。アイデアを膨らませない。

 

浦沢 純粋にアイデアだけ。そういうのが好きなんです。それができる機会ってあまりないんですけど、『ノンタン』の時は結構できた。

 

——『ノンタン』も充実したお仕事だったんですね。

 

浦沢 短ければ短いほどいいんですよ。キャラクターを書かなくていいから。

 

——キャラクターを掘り下げなくていい。

 

浦沢 うん。アイデアだけ。それこそ昔の『カリキュラマシーン』も、ただアイデアだけを書いていた。ホントはそれがやりたいんですよ。キャラクターはあんまり興味がないというか、興味があるのはアイデアの方だから。

 以上、「アニメージュ」2001年3月号より引用。(つづく  

たまご和尚

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  • 作者:浦沢 義雄
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