私の中の見えない炎

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飯島敏宏 × 古谷敏 × 桜井浩子 トークショー レポート・『ウルトラマン』(1)

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 2016年は『ウルトラマン』(1966)のスタートから50年。いまだに絶大な人気を誇る『ウルトラマン』第1作の飯島敏宏監督と初代ウルトラマンスーツアクターを務めた古谷敏氏のトークショーが、8月に鶴川にて行われた。トーク前に『ウルトラマン』と『ウルトラマンマックス』(2005)の上映があった。

 飯島敏宏氏は『ウルトラマン』のバルタン星人のエピソード(第2・16話)の脚本・演出を担当。他にウルトラマンスペシウム光線のポーズを考案するなど、初代ウルトラマンのイメージを大きく規定した。『ウルトラマン』から数十年を経て、映画『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』(2001)やテレビ『マックス』(第33・34話)を撮った(両作にバルタン星人が出てくる)。他に『金曜日の妻たちへ』シリーズの演出・プロデュースなどでも知られる。

 古谷敏氏はスーツアクターとしてウルトラマンを演じて、次作『ウルトラセブン』(1967)ではレギュラー・アマギ隊員役で出演。その後、会社経営などを経て、最近は俳優復帰(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。

飯島「ぼくもね、間に40年空いててね。いちばん最初は16mmフィルムで、CGも何にもなかったんで、自分でもいま見ていて…。

 40年経って、また撮れと言われて嬉しくて。CGだの何だの何でもできるんで、いろいろやりたくて、この『マックス』の前後編を撮ったわけです。久しぶりに見て胸がいっぱいになってしまって。最後まで見ていただいて、ほんとにありがとうございました。あれから10年経って、いまは更に進歩して小中(小中和哉)くん、庵野庵野秀明)くん、後輩たちが素晴らしいものをつくっていますので、応援してください。

 びんちゃん、びんちゃんって言ってますけど “ふるや・さとし” さんです。ウルトラマンは彼です。顔も似てるでしょ(一同笑)。成田亨さんが彼に似せてデザインして。いまのウルトラマンと違って、ほんとに火の中水の中。怖かったと思います」

 

 つづいて、今回は派手なモーニング?姿の古谷氏が。

 

古谷「台風の中で来られないかと思いましたが、たどり着きました」

 

 放送前の記者発表ではウルトラマンのスーツに入った古谷氏が、前が見えず、手を引かれて現れたという。

 

飯島「記者会見では手を引かれて目が見えない。足下だけでしょ。どうやって格闘させるか」

古谷「撮影会が終わって、これだと動けないから目を大きくしてくださいとお頼みして、やっと少し見えるように。でも(前を)直線的にしか見えない。横を見るときは体を動かして、ああいう姿勢に」

飯島「私は(特撮でなく)お芝居の監督ですけど若かったし、いろいろ言って、スペシウム光線の動きを考えたりしましたけど。目(のぞき穴)が瞳みたいに見えて、哀愁もあるし。猫背で、感情のこもったいい芝居でしたね」

古谷「(笑)子どもたちが弱々しいウルトラマンを助けようと思うようにやってました」

飯島「あんまり強いとはらはらしない。だから弱そうじゃないといけない。そういうところがよく出てた」

古谷「飯島監督は、ウルトラマンはボクシングではないからファイティングポーズはやめようと。手を構えよう、そういう話をしました」

飯島「当時殺陣師がいなくて。ぼくは時代劇のチャンバラやアクション専門の監督だったんで。『月曜日の男』(1961)とか。古くさいですけど。はらはらどきどきが大好き。

 (シリーズ)全体のリズムをつくったけど、撮ったときは自信がなくて、通用するかなって。完成して初めて札幌の公会堂で子どもたちの前で上映して、拍手してくれたときは(脚本の)金城哲夫と泣きましたね」

 

 撮影現場での苦労は、古谷氏の著書『ウルトラマンになった男』(小学館)でも語られている。

 

飯島「ぼくはチャンバラで育ってますから、時代劇撮ってるみたいで。昔は金粉ショーがあって、踊子さんたちは金粉をつけてるから皮膚呼吸ができなくて、ほんとに苦しい。昔のスーツは同じで、皮膚呼吸できない。

 怪獣は(スーツアクターの)頭の上に(怪獣の)頭があって、だから見える。でもウルトラマンは、ウルトラマンの目の位置に古谷くんの目が合って、電球もあるから何も見えない。そんな状態で火の中水の中。要求するのも怖かった」

古谷「仮面をかぶってスーツを着て、遮断されて孤独で。監督の顔を見ると、監督もすまなそうな顔で「用意、スタート」と。大変だと思ってくださってるみたいですけど、カメラの佐川(佐川和夫)さんは「おい、もっとちゃんとやれよ」って。とても複雑な気持ちでした(笑)。

 (水を使う撮影では)目から水が入って、口からも水が入って、それで水が外へ出ない。溺れそうな感じで、(特殊技術の)高野(高野宏一)さんに頼んで「水は死にます」と。それで水は少なくなった」

飯島「現場は過酷で、消防隊も待ってて。ダッと燃えると、監督は怖くなって「カット」と。でもカメラマン「待て」。消そうとすると、カメラマンは消すなって火の中へ入って行って、ウルトラマンも出られない。監督はよく見えるけど、でもウルトラマンは見えない。

 円谷英二さんは神さまだから、特技監督(のクレジット)は英二さんだけ。あとの人は特殊技術と呼んでました」(つづく

 

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