『ウルトラマンガイア』の終了後、原田昌樹監督がメインディレクターとして手がけた『ブースカ!ブースカ!!』(1999〜2000)。ブースカの声の高戸靖広、ゲンツキ役の北岡龍貴の両氏が登場。撮影の倉持武弘、脚本の右田昌万の両氏も引きつづき登壇。
北岡「やくざVシネが原田監督との出会いだったんですけど、怖くて近寄れなかった。ひとことも喋らず(殺陣の)二家本辰巳さんを介して話して。でも東宝ビルトでは、めちゃくちゃ笑顔で怪獣と写真撮ってて。この前、鎖に繋がれた裸の女性を撮ってたのに(一同笑)。優しい人だなと」
北岡氏は『ティガ』や『ダイナ』では怪獣のスーツアクターを務めている。
北岡「『ティガ』の後の海でのバーベキューで、初めてお話ししました。「この貝、焼けてるよ」とか(笑)。ウルトラではいっしょにならなかったですね」
(終了後に切通理作氏から連絡をいただいたのだが、北岡氏は「バーベキューで初めて原田監督とちゃんと話せて」その後で原田監督が『ブースカ!』のゲンツキ役に北岡氏を指名したのだという。)
ブースカの声の高戸靖広氏は、『ウルトラマンティガ』(1997)や『ウルトラマンダイナ』(1998)にもゲスト出演している。
高戸「原田さんと初めてお会いしたのは『ティガ』の特番(『ウルトラマンティガ大百科』)で紹介役をやったとき。レナ隊員との掛け合いで『ティガ』を紹介する役でした。その次が『ダイナ』(第32話「歌う探査ロボット」)でのラブモス。
『ブースカ!ブースカ!!』で初めて長いスパンで関わらせていただきました。『ブースカ!』では(アフレコでなく)現場で声をあてるというつくり方で、画面に写っていらっしゃる役者さんたちと現場にいて声を出す。距離感とか、どうしたらいいかなって思いました。初日にあまりダメ出しがなくて、監督は口数少なく「うん」ぐらいしか。子どもたちとブースカの空気感をつくっていたのかな」
北岡「自分にもそうでしたね」
高戸「あんまり事前に決めると、演技の膨らみがなくなる。役づくりをした感覚がないですね。第2話では、ラーメン屋のカウンターに隠れて声を出してました。声はブースカからではなくて、別のところから出てるけど、子どもたちはこっちを振り向いたりせずにブースカに向かって喋ってる。感性のいい子たちでしたね」
『ブースカ!』のメインは、子役たちである。
北岡「トイレで主役の雄作(立澤真明)に「ちんこ見せて」って言われて、見せなかったら「バーカバーカ」って(一同笑)。でも松浦亜弥さんの『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』(2008)の現場で雄作に会ったら、がらっと変わってイケメンになってましたね。言葉遣いもちゃんとしていて、びっくりした(一同笑)」
高戸「女の子ふたりがぼくに「休憩時間だから、ボブさん、あやとりしよう」って(笑)。ボイス・オブ・ブースカで、ボブさんと。
雨でロケができなくて(メインのロケ地の)向ケ丘遊園で朝解散ってなったとき、温泉行きたいと思って、箱根まで行っちゃおうと。そしたらオサムくん(伊藤栄治)が「うちと方向いっしょだから、江ノ島来てよ」って。途中までいっしょに行きました」
第12話「冬の国ものがたり」のゲストは、冬の国の住人・ルルー。演じるレベッカ・レイボーンは、いまのベッキーである。
北岡「「冬の国ものがたり」で、オサムはベッキーにマジで惚れてた。別れのシーンでは、超絶落ち込んでましたよ(一同笑)」
倉持「役とプライベートがごっちゃに。幸せですね。本人はきつかったかもしれないけど(笑)。原田監督は、芝居がうまくなくても個性のある子どもを選んでる。雄作とさやか役の斎藤麻衣ちゃんはキャリアが長くてそつがないから、脇はそうでない子にしようって。いまどんな大人になってるのかな」
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ブースカ役のスーツアクターは、横尾和則氏。横尾氏はテレビ『ウルトラマンメビウス』(2006)、映画『ウルトラマンサーガ』(2012)など多数の作品にてスーツアクターを務める。
倉持「炎天下で、子どもたちが熱中症にならないように気をつけなくちゃいけない。スーツアクターは、ギャラリーがいると暑くても休めない。円谷だけでなくて他社の作品でもそうだけど、スーツアクターには頭が下がります」
高戸「いちばん大変なのが、駅前の撮影。人がいて英語教室の幼児クラスもあって、みんなの視線がブースカに集まって全然脱げない。横尾くんもほんとにきつそうで」
倉持「帰るときは脱水症状で、10歳くらい年とったみたいでしたね」
右田氏は脚本だけでなく準レギュラーで出演。大滝氏、増田由紀夫氏など『ティガ』の出演陣も登場する。
右田「『ブースカ!ブースカ!!』では、大滝さんと自分とキャラがかぶってて、これは出番が減るなと思いました(笑)」(つづく)
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