私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

『バッテンロボ丸』第13話「地球さいごの大みそか」(1982年、脚本:浦沢義雄 監督:坂本太郎)(1)

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 昨今はテレビの特撮と言えば、仮面ライダーのようなヒーローものという位置づけになってしまったが、かつて1980代から90年代にかけて日曜日の朝に不思議コメディーシリーズと称して、ホームコメディ特撮が放送されていた。幼かった筆者の目から見ても実に安っぽかったのだけれども、奇抜なストーリーと安い特撮が笑いを誘う独特な魅力があったシリーズである。

 その初期の一本『バッテンロボ丸』(1982)がYouTubeの公式サイト(http://www.youtube.com/user/TOEIcojp)にて毎週二話ずつ配信されている。この作品は未見だったゆえ気軽な気持ちで見ていたのだが、その第13話「地球さいごの大みそか」は思いのほか筆者の胸を打ったのであった。『ロボ丸』は一度もDVDなどソフト化されておらず、配信も終わってしまったので、本欄にてレポートしたい。

 

 ロボ丸(声:曽我町子)は、宇宙から来た正義の味方を生業とするロボットで、海野写真館に居候している。その町は、人間のみならずロボット、恐竜、宇宙生物などが住んでいる。

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 みなが餅つきなどで忙しい大晦日、ロボ丸たちの前にカンチャン星人と自称する謎の男(石井喧一)が現れた。彼は、公園に超メガトン爆弾を仕掛けたので今夜12時に地球は爆発、この星にもうお正月は来ないと断言。爆弾は地球の表面をくすぐり、マグマを刺激して爆破するのだという。ロボ丸が居候する写真館の海野夫妻(朝比奈尚行、榊原るみ)と娘のナナコ(富岡香織)は愕然となった。

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 噂が広まり、小百合婦警(鈴木美司子)は「地球は爆発する、しない、する、しない」と花びら占い。

 博士(市川勇)は「爆発する、しない」とティッシュペーパー占い。

 町内会会長(佐渡稔)は「爆発する、しない」と白菜をむしって、白菜占い。 

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 なぜかアイスを食べながら、雑踏(ロケ地は吉祥寺のサンロード)をふらふらしているカンチャン星人。彼は、自分が脱出するためのロケットにあとひとり乗ることができるぞと、ロボ丸を誘う。ロボ丸の仲間の宇宙生物・ネクラゲ(声:上田敏也)は「まだ死にたくない」とロケットに乗りたがり、ロボ丸を呆れさせる。

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 海野夫妻は、ふたりで想い出を風船にこめて、暖炉を介して煙突から空へ飛ばしていた。

「今度は何の想い出だい?」

「パパと初めてキスしたときの想い出。パパは?」

「ママと初めて喧嘩したときの想い出」

 このあたり、迫り来る死を前にみなが冷静で、叙情すら漂うのがちょっと怖い。(つづく)