
1979年から2004年まで刊行されていた月刊誌「噂の真相」。信憑性が低い話もどんどん載せてしまって物議を醸したゲリラ誌だが、その編集長を務めた岡留安則が休刊直前(2004年4月12日)に編集者の花田紀凱、中田美香のインタビューに応じている。
花田はかつて「週刊文春」の編集長を務め、この当時は「週刊編集会議」の編集長だった。花田と岡留は親交があり、花田は自宅に「噂の真相」の全巻を保存しているという。
この鼎談はJFN(ジャパンエフエムネットワーク)のサイトに載っていたが、いまはなくなってしまったので以下に引用したい(用字・用語は可能な限り統一し、明らかな誤字は訂正した)。
月刊誌「噂の真相」が惜しまれつつ休刊に…
そこで、サングラスの似合う男。ペ・ヨンジュン…い、いや、「噂真」元編集長こと岡留安則氏を急遽ブッキング。真意のほどを聞いてみた。
雑誌休刊の真相は…? 岡留編集長の行末の真相は…?いかに!
「噂真」休刊。今のお気持ちを…。
中田「トレードマークのサングラス。今日もなさってますけど、原稿書くときもつけてらっしゃるんですか?」
岡留「自宅で書くときははずしますが、会社に居るときはやはり不意な客があったりするから、素顔を見せないという断固とした決意表明ということで…」
花田「何で見せないの? 本多勝一と一緒じゃない?」
中田「岡留さんの素顔を見たっていう方は?」
岡留「付き合っている女性ですね」
花田「サングラスは何なの、それは?…ブランドは?」
岡留「これは、バーバリィです」
花田「何で、素顔を見られるとまずいんですか?」
岡留「いや別に良いんですけど。ここまできたら徹底して素顔を見せないと。かつて野坂昭如さんとか、野末陳平さんとかサングラスしていたのが、ある日お茶の間ブラウン管の前ではずしたでしょ。それがかっこ悪かったなぁと思って。あのまねだけはしたくないと思って。これ都合いいんですよ。おしのびの時にははずしていれば、分からないから(笑)」
中田「「噂の真相」休刊から1ヶ月」
花田「生活は変わりましたか?」
岡留「こういう取材が続いているし、ほとんど変わらないですね」
花田「午後に会社に出てきて、夜はゴールデン街に行くと」
岡留「そうですね。ほとんど同じで、昨日も朝7時までゴールデン街にいて」
花田「そんなに何してるんですか?いまさらネタ集め?」
岡留「いやーこれがまたネタが入るんですね、休刊になったら。今まで僕が話し合ってきた人たちはセレクトしてしゃべってたんですね。だから肝心なことしゃべってくれなかったんですね」
中田「それは休刊になって逆に分かった真相ですね?」
岡留「新発見でしたね。エクストラ版でも作ろうかと、ひそかに考えているんですよ。仕返ししてやろうかと思って(笑)」
中田「逆に休刊後の方が忙しいんじゃないですか?」
岡留「まあ6月か7月かに沖縄に行ったら、完全にリタイアになると思いますね。今までの25年間、新聞夕刊は7誌から8誌、週刊誌・月刊誌も全誌読んでるんですよね。そういう生活が嫌になったというところもあるんですよね。新聞読んでいても切り抜いたりして、習慣って恐ろしいですよね」
花田「ちょーだいよ、その切り抜き。岡留スクラップでも作るから(笑)」
「噂真」休刊。思い出・印象に残っていることといえば…。
中田「25年、色々あったんじゃないかと思うんですが…」
花田「裁判って結局何件あったの?」
岡留「大体数えてみたら40件と、そんなに多くはないんですよね。まあ大きい雑誌ではないですから、スタッフが13件くらい抱えた時期もあったんですよね」
花田「岡留さんはすぐ謝って、すぐ和解するって言うのが手だからね」
岡留「それは鉄則です! というか雑誌を作るっていうのは、前向きでなければ駄目っていう発想なんですよ。トラブルっていうのは雑誌が出てから起こることでしょう。でも僕の中では次の号を作ることに全力投球したいことですから」
中田「でも雑誌を見る限り、「噂の真相」の編集室って殺伐としている気がしてしまうのですが、女性も多くって」
花田「そうそう美人が多いんだよ。ふざけてるよね(笑)」
中田「意外にアットホームで。女性は岡留さんの趣味ですか?」
岡留「いやいや。公私混同持ち込むと小さな会社ですからおかしくなってしまいますから、僕は女性はキャバクラで求めて、スタッフには仕事を求めるっていう、その辺は徹底してるんですよ。僕自身拘束されるのは嫌いですから、だいたい出勤は午後5時くらいですから、他の社員が何やっているかは、あまりよくわからないんですよ。結局自由な会社になってしまうんですよね(笑)。ただ僕の場合、本がきちんと出ればいいんですよ。社内規則もないですし、訓辞したこともないですし、教育したこともないですし…」
中田「じゃあみんな居心地良かったわけですね」(つづく)
以上、JFNのサイトより引用。
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