
オリジナルビデオ『ウルトラマングレート』(1990)と『ウルトラマンパワード』(1993)がブルーレイ化されるとのことで、マニア間で話題になっている(その後、配信もされた)。
1990年に『グレート』が登場した際、幼い筆者は再放送でなく初めてリアルタイムに接するウルトラマンに色めき立った(オーストラリアを舞台にした異色作だったが)。そして『グレート』のビデオを繰りかえし見て愉しんだ。そのビデオには新作映画の予告編も収録されており、それが『ロボ・ジョックス』(1986)だった。
『グレート』のついでにしつこく見た筆者は、『ロボ・ジョックス』の予告ナレーションをいまも暗記している。25、6年前のことで、ビデオにはカビが生えて破棄してしまったゆえ、正確でないだろうがいくばくかの資料的価値はあるかも。
「構想11年、制作期間3年、総制作費1000万ドルの巨大実写ロボットムービー、遂に日本上陸。
監督に『ミクロキッズ』の鬼才スチュアート・ゴードン。ロボットデザインに『エイリアン』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のロン・コッブ。視覚効果に『ニューヨーク東8番街の奇跡』『ゴーストバスターズ2』の×××。ハリウッド実力派スタッフが贈るSFXムービーの決定版。
人類の未来と愛をかけた壮絶な戦いが、いま始まろうとしている。
『ロボ ジョックス』!!!」

勇壮なテーマ曲と無骨な映像に「うわ、面白そう♡」とときめいた。暇なとき、どんなに血湧き肉躍るSFアクションなのかな…とネットも普及していない時代の子どもは夢想した。と言うか情報があふれていないからこそ、短い予告編に鮮烈な印象を植えつけられたのであろう。
それから評判を聞くことなく幾星霜。約20年の時を経て、CSで見る機会があり、夢想は夢想のままにしておけばよかったのかもしれない。
そもそも先述のナレーションが、出演者や興行成績でなくやたらスタッフ推しなところからして何だかおかしい。「監督は『ミクロキッズ』の鬼才スチュアート・ゴードン」と言うが、そもそも『ミクロキッズ』(1989)は肩の凝らないファミリー向け娯楽作で、あれに関わったから「鬼才」と形容するのはいかがなものか(ちなみにゴードンは『ミクロ』の脚本担当。『ミクロ』の監督はジョー・ジョンストンが務めた)。また「制作期間」が3年もかかったというのは、どうも制作会社が中途で倒産したかららしい。
いささか支離滅裂なストーリー展開、地味な俳優陣の間ぬけなアクション、意味のない宇宙戦、股間からミサイル発射するロボット…『ロボ・ジョックス』は、まごうことなきバカ映画であった。とりわけロボが大破して砂漠に放り出されたパイロットふたりがつかみ合った末に「生きるんだ!」などと言って、唐突にハッピーエンドに持ち込まれるラストには爆笑を禁じ得ない。
この作品の情報をまるで聞かなかった(情弱の筆者に限った話だが)のは、単純に商業的に失敗したからであるようだ。

さらに月日は流れ、ロボット映画『パシフィック・リム』(2013)が大ヒット。その先取りとして『ロボ・ジョックス』は久々に静かな注目を集めた。筆者もハイライト映像を動画サイトで見直す機会があり、その重量感・臨場感に目を見張った。かっこいいじゃないか…。
『ロボ・ジョックス』の特色は屋外でアナログ撮影されたロボの戦闘シーンであり、さんさんと光の降りそそぐ中での「壮絶な戦い」には、改めて胸が躍る(余談だが、予告が入っていた『ウルトラマングレート』も屋外のセットで撮影された特撮がユニークだったな)。ごつごつしたロボットの人形アニメーションも、なめらかで優美。そして何だか勇気が湧き、笑いもこみ上げてくるようなテーマ曲にも聞き惚れる。落ち込んだときには、そっと心でつぶやこう。
「生きるんだ!」


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