私の中の見えない炎

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古谷敏 × 桜井浩子 × 稲垣涌三 × 田中敦子 × 小中和哉 トークショー(飯島敏宏追悼上映)レポート(1)

 『ウルトラQ』(1966)、『ウルトラマン』(1966)などで監督・脚本を務めた飯島敏宏。2021年に逝去した飯島氏を追悼する上映とトークイベントが2022年12月に鶴川にて行われた。

 『ウルトラマン』などでスーツアクターを務めた古谷敏、『ウルトラQ』『ウルトラマン』に出演した桜井浩子、『ウルトラマン』などを撮影した稲垣涌三、記録の田中敦子の各氏が登壇。司会は小中和哉監督が担当(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回した整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。

 

【『ウルトラQ』での出会い】

 古谷氏は『ウルトラQ』ではケムール人(第19話「2020年の挑戦」)とラゴン(第20話「海底原人ラゴン」)を演じた。ケムール人のエピソードは飯島氏が監督・脚本を務めている。

 

小中「着ぐるみで演じるというのは、このケムール人の前にあったんですか」

古谷「ないですよ、初めてでした。だまされて(笑)。同期の新野悟さんという人が演技事務に回って「古谷ちゃん、いいのがあるよ。ギャラもちょっといい」と言われて。ただギャラは結局いくらだったのか判らない。東宝の社員で月給(固定給)は東宝からもらっていたから」

桜井「ギャラのことをそんなに掘り下げなくていいですよ(一同笑)」

小中「それまでは普通に芝居をされていたわけですが、着ぐるみを渡されてどうでしたか」

古谷「重かったですよ。機械も入ってた。昔の機械は重いのばっかでね、電池とか。稲垣さんはあのときは?」

稲垣「まだいない。ぼくがやったときは、もうケムール人は撮影が終わってましたね。カメの回とかクモとか」

 

 桜井氏は『ウルトラQ』ではレギュラー・江戸川百合子役。

 

小中「桜井さんはいかがですか」

桜井「(当時は)古谷ちゃんが入ってるというのも知らなかったし、着脱してるところも見てない。古谷ちゃんが入ってたのもつい最近知ったの。ラゴンは古谷ちゃんが入ってるの判ってたけどね」

小中「ラゴンの撮影はケムール人よりずっと後ですね」

古谷「ラゴンは後。野長瀬さん(野長瀬三摩地監督)でしたね」

小中「ケムール人は手をひらひらさせたり大股で走ったり、アクションが特徴的ですね」

古谷「飯島さんが(演出を)全部やってくれた」

小中「特撮班が撮る前に、飯島さんが撮ってたんでしょうか。特技監督は有川(有川貞昌)さんですね」

古谷「本編の現場にいたのは飯島さんだけだったね。実写でロケやって。有川さんはいたかな」

桜井「ケムールが出た夜のロケーションには、有川さんはいない」

 当初はケムール人がスケートを滑る予定だったという。

 

古谷「ケムール人のときは台本もくれなかったし、現場行って(着ぐるみだけでなく)これをはいてとスケートを渡されて。でもローラースケートはできたんではいたけど、着ぐるみの頭が重くて滑れない。それでケムール人が走ることになったわけ。ジェリー・ルイスっていう俳優さんの真似をして。若いから足も伸びた(笑)。軽快にはできたと思う。いまはちょっとね」

小中「スクリーンプロセスでケムール人が走る合成シーンもありますね」

古谷「あのシーンは飯島さん(演出)じゃないかな」

小中「飯島さんは宇宙人の仕草とかポーズとか、そういう演出の好きな方だったですね」

古谷「愉しんでやってたな。TBSではそういうことをやったことないわけでしょ。現場に来て愉しんでましたよ。最初にお会いしたとき、飯島さんはブルゾンのジャンパーを着てたんですけど、東宝で見る監督さんは泥くさいんですよ。スタジオのほこりの匂いのする監督さんや助監督さんばっかり。着てるものもはいてるものもね。飯島さんはTBSの赤坂の匂い(笑)。え、この人監督やるのかなっていう感じでした。撮影所の人は泥くさいんですよ」

桜井「二度も言わなくていい(一同笑)」

古谷東宝のセットは泥。TBSは綺麗でね」

桜井「『ウルトラQ』のときは、飯島監督は怖かった。シャープな感じがして。若いときは目が吊り上がってたので、見られると芝居が下手だってばれるかなって。やってるうちに10円玉がいっぱいの芝居とか、全部カットしてない。カットしてないところは飯島監督らしいな」

古谷「本編でもいっしょ。飯島さんは冗談を言わないしね」

桜井「監督は真面目。本人は冗談を言わないけど、画面で冗談を言ってますからね。クレージーゴン(『ウルトラセブン』第38話「勇気ある戦い」)でも台詞で「てやんでえ」とか何でこんな芝居を子どもにさせるんだろうって(笑)。あれがギミックになる冗談かな。

 ケムール人でも最後に柳谷(柳谷寛)さんが消えるの(落ち)は「それでいきましょう」って現場で採用。その場(ロケ地)に水たまりがあって。すぐ思いついちゃう。普通はああいうのって尺の関係でカットしちゃうんだけど(完成作品に)全部入ってる」(つづく)

勇気ある戦い

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