私の中の見えない炎

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塚地武雅 トークショー レポート・『間宮兄弟』(3)

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【共演者について (2)】

塚地おもてなしで言えば蔵(佐々木蔵之介)さんは舞台出身やから(『間宮兄弟』〈2006〉の)チケットを自分で買って、一枚一枚サインして手売りするんだと。ぼくも景子(北川景子)ちゃんもエリカ(沢尻エリカ)ちゃんも常盤(常盤貴子)さんもサインして、蔵さんは多分友人とかに売る。ポスターも鞄に入ってて、いっしょに行くごはん屋さんとかでも「もしよかったら貼ってくれませんか」とか。舞台挨拶もスケジュール空いてたらやるみたいな。渋谷で仕事が終わって次まで時間が空くから、恵比寿で挨拶をしようと。劇場とアスミックさんに「いいですか」って言ったら「是非お願いします」。みなさんは普通に来るとは思ってないから、終わって「ありがとうございます」って出てったら「えっ!」。客席から「おい」って蔵さんが出て来たりして漫才したり。蔵さんに「漫才したいからねた書いてくれ」って言われて、せんでええじゃないですか。すべるかも判らんし(一同笑)」

 

 ふたりの母役は巨匠シンガーの中島みゆき

 

塚地中島みゆきさんのシーンで前乗りしてふたりで居酒屋で飲んでたらかかってて、これは何か縁があるぞ、あした頑張りましょうねと外へ出たらウミガメの産卵が見られるという看板があって蔵さんが「これ参加せえへんか」と。夜見に行ったらウミガメはいなくて、野原にパイプ椅子を置いて、もし見られてたらという上映を見ました(一同笑)。

 中島みゆきさんのボーリングのシーンではガーターとストライク、このふたつがほしいと森田(森田芳光)監督はおっしゃって、長いこと回す予定だったんですけど1発目がこけて2発目はストライク。2回で終わって、この方はスターだと思いましたね(笑)。

 アイドルや歌手の方がいたら、前室でその人の歌を口ずさんじゃうんですよ。そういう癖があって「♪空と君とのあいだにわぁぁ」ってものまね入れて歌ってたら、真後ろにみゆきさんがいらっしゃって(一同笑)。終わったと思ったら「私の歌、歌ってくれてありがとう」って」

 

【その他の発言】

 『模倣犯』(2002)では森田監督が小説を自由に改変した結果、原作の宮部みゆきの怒りを買ってしまったが、今回の江國香織は映画を誉めてくれたという。

 

塚地「(江國さんに)ご挨拶させていただいたら「よかったです」と言っていただいたんで。たらいだからまだよかったのかもしれないですね。(『模倣犯』の)ピースみたいに首飛んじゃうと(笑)」

 場内で「初めて見る人は?」と言われて7~8割の人が挙手し、塚地氏は驚いていた。

 

塚地「そうなんや!これが映画の力ですね。当時を懐かしむだけじゃなくて新たにスクリーンで見たいという人が。ありがとうございます。

 形として残って、新たに見ていただけて。いまのおれじゃないっすよ。毛も長いし、少しは痩せてるし若いし(笑)。

 森田監督がぼくを見つけてくれてキャスティングしてくれなかったら、いまのぼくはないですし。お芝居も愉しいって思わせてくれたのも森田組のみなさんのおかげ。蔵さんの言っていたようにおもてなしの精神で、現場の愉しさを見て下さる方に伝えるというのを教えていただいて、それを胸にいまもやってる感じです。初めて見る方がいるっていうのも映画のよさだと思いますので、塚地がかっこよかったよと(一同笑)SNSで拡散していただけたら、監督も喜ぶと思います」

 塚地氏の最新映画『梅切らぬバカ』(2021)が現在公開中。

 

塚地加賀まりこさんが母親でぼくが自閉症の息子です。いま公開中ですので、見ていただけたらほっこりしまう。問題提起もあってシニア層に刺さっているそうです。子どもいらっしゃる方だと、この子を遺して大丈夫かということにつながってきますので、心当たりがあるなというのがたくさん出てきます」

 

 12月発売の森田作品ブルーレイボックスを見た塚地氏は「食パンみたいやな」と漏らしたが、抱えてのフォトセッションでは「おれが持ってたらほんとに食パンやと思われませんか」と笑わせていた。