上田耕一氏はゴジラシリーズの常連で、大森一樹監督の『ゴジラvsビオランテ』(1989)以降は、『ゴジラ FINAL WARS』(2004)まで12作品すべてに出演。
大森「『ビオランテ』では自衛隊の幕僚長。これが受けて、その後のゴジラ映画には全部出てるんですね。『ゴジラvsキングギドラ』(1991)では、屋台の親父でした」
上田「恐竜島の生き残りの親父です。あれは面白い役でしたね」
『継承盃』(1992)は、『キングギドラ』の翌年である。
大森「(『継承盃』では)上田さんが(継承式を)全部つぶしてしまったから(笑)」
上田「若かったですね。元気に暴れてました」
大森「途中で上田さんが病院に運ばれて、その日(の撮影)は中止になっちゃったからね。ガラスもバンバン割って、あぶないなあって」
上田「監督の要求ですよ(一同笑)」
大森「(『継承盃』の)最初のナレーションは、ぼくですからね。(きょう見ていたら)始まっていきなり自分の声で、ぞっとしたね(笑)。タイトルは “継承式” はどうかと東映から言われたんだけど “けいしょうさ・かずき” って自分の名前が入ってるんで、押し通しました(笑)」
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大森「『満月』(1991)の役は覚えてます?」
上田「易者だったかな。あまり覚えてないですね」
大森「『わが心の銀河鉄道 宮澤賢治物語』(1996)を見直したら、うわ上田さん出て来たって驚いて。宮澤賢治をいじめる悪い校長先生ですね。油断してると出てくる(笑)」
上田「いつもたくさんのシーンで出ているわけじゃないんだけど、強烈な印象を遺せたんですね。監督の演出の力です。俳優をそんなふうにさせてしまうという」
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上田氏は『マルサの女2』(1988)、『あげまん』(1990)、『ミンボーの女』(1992)など、故・伊丹十三監督の作品にも頻繁に出演している。
上田「ぼくは悪役、嫌われる役がセールスポイントで(笑)。『マルサの女2』が悪役の集大成みたいなつもりでした。それ以後は、年代的にあまりパワーがないんで。悪役はパワーがいりますので。いい人役とか政治家とかもやりますけど」
大森「いい人と言っても、どこかに何かあるいい人というか(笑)。こう言うと何ですけど、上田さんはいろいろいじれるというか、面白いですね」

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上田氏は、大森監督と同世代の金子修介監督の作品にも、『恐怖のヤッちゃん』(1987)、『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001)など多数出演している。
大森「金子修介も上田さんが好きなんです。金子組とぶつかることが多くなって。どっちが多いか、そんなことでお互い意地を張り合って(笑)」
上田「監督が変われば、芝居も変わりますね」
大森「(初主演作『友だちと歩こう』〈2014〉の)緒方(緒方明監督)のを見ても、金子修介のを見ても、違いますね」
上田「緒方さんのにも、ほぼ出ていますね。ぼくの姿勢としては、監督のカラーに染まるという。白紙で入っていくというか」
大森「上田さんはいつも謙虚ですね。誠心誠意やっていただいて、その成果が20年経って出ていますね」
200本以上の映画に出演してきた上田氏だが、主演は『友だちと歩こう』が初めてであるという。
上田「初めての主役ですね。年とってからどんな姿勢で生きていくかという。高橋長英さんとコンビでやりました。映画っていいなと思っていただけるといいですね。
(大森監督の)『トットチャンネル』(1987)でも高橋さんとふたりで共演しています。長いこと映画をやっていると、いろいろな組み合わせがありますね。
(『友だち』は)大手の映画会社ではやらないような企画で、充実した時間を過ごさせてもらいました」
上田氏は、大森監督より10歳以上年上なのだけれども、監督への感謝を謙虚に語っていた。作り手と役者の信頼関係が伺えて、好ましいトークショーだったと思う。