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私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

寺田農 トークショー(実相寺昭雄の光と闇)レポート・『おかあさん』(1)

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 テレビ『ウルトラマン』(1966)や映画『無常』(1970)、『屋根裏の散歩者』(1992)、『シルバー假面』(2006)など、実相寺昭雄監督と俳優・寺田農は多数の作品で組んだ。

 寺田氏はつい最近もテレビ『とと姉ちゃん』(2016)や『探偵少女アリサの事件簿』(2017)などで健在ぶりを示しているほか、バラエティ『笑 × 演』(2017)にてコントに挑戦。はっきり聞き取れなかったが、『笑 × 演』で榎木孝明氏と雑談している場面では「実相寺が」と話していた。

 特集上映“実相寺昭雄の光と闇”では読み切り形式のドラマ『おかあさん』の上映後に、最後尾で見ていた寺田氏が登壇し、トークが行われた。聞き手は、ディレクターの油谷岩夫氏が務める(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。 

 ふたりの出会いはテレビ『でっかく生きろ』(1964)。実相寺が初めてチーフ演出を務めた連続ドラマだった。

 

寺田「ぼくもテレビやってましたからね。デビューはフジテレビで、フジの若いディレクターもKRテレビ(TBS)に実相寺というすごい鬼才がいると言ってて、名前は知ってましたけど。

 ぼくは文学座にいて、公演をたまたま見に来てたのが久世光彦さん。終わっていっしょに飯食いに行って、ぼくの友だちが新しい番組をやる、ついては若いのをさがしてるということを聞いて。久世ちゃんの紹介で『でっかく生きろ』をやることになったんです。『おかあさん』が終わって1年後ぐらい。実相寺が26でぼくは21」

 

 きたない風体で現れた実相寺を寺田氏は胡乱な目で見てしまい、実相寺は「あの目を終生忘れない」と根に持っていたという(「フィギュア王」No.118)。

 

寺田「『おかあさん』は実相寺演出では出てないけど、他の演出家の吉川(吉川正隆)さんのときに、ぼくはやってるんですね。それを撮り終わってすぐぐらいかな。

 いまこの『おかあさん』を見てても、セットデザインは全部、モリケン(森健一)。後で演出家になって、テレマンテレビマンユニオン)で『遠くへ行きたい』を撮る人だけど、このセットはいかにも実相寺の思いを込めていて。当時のセットは9尺、3メートル弱。ところが実相寺のセットは12尺、もっと高いと。昔のマイクロフォンはいまみたいなワイヤレスでなくて、さっきのでもマイクの映り込みがありましたけど、上からしか録れないんですね。ところが12尺だと(セットが高いので)上からも録れない。当時としては珍しくマイクを下から出して、芝居やってると、それでマイクが下から見切れた。当時の演出部長にさんざ怒られて、TBS史上にマイクの見切れは多々あったけどすべからく上である、下からなんてないと。そこでジッソーは大人しくしときゃいいのに、マイクの見切れに上下なし、みたいなね(一同笑)。余計に顰蹙を買って」

 

 『でっかく生きろ』の映像は現存していない。油谷氏によれば「残し魔の実相寺監督も映像は残せなかった」という。

 

寺田「『でっかく生きろ』は全13本の予定で始まって、当時日テレには『男嫌い』(1963)っていう岸田今日子さんとか女の人が4人出て人気を博してたのがあって、その二番煎じ、男版をやろうと。杉浦直樹さん、岡田眞澄さん、古今亭志ん朝そして私が同じマンションに住んでて、そういう話。3話目ぐらいで降ろされて。

 富士フイルムの一社提供。昔はでかいカメラしかなくて、ハンディキャメラがなかったんですね。でも実相寺のシンパみたいな技術者が、テレビカメラをリュックサックに背負って、なおかつレンズを持って撮る。その人のおかげで全てをワンカットで撮れるってことになったんですね。だからコップのアップから始まって、芝居も全部ワンカットで撮った。そのスポンサーのお偉方が見てて酔って気持ち悪くなった(一同笑)、何やってんだと。それで実相寺は降ろされた。

 おれたちも降りるって出演者4人も反旗を翻して、でも杉浦直樹岡田眞澄は大人で、志ん朝と私は若かったから楯突いて。それで私は8年くらいTBSをパージされて。だからいまでもTBSはあんまりやってないよ。実相寺事件の後遺症かな。

 ジッソーは降ろされたけど、最終話だけ撮ったことは撮ったの。でも自分の名前じゃなくて他の演出家の名が出て。もういい加減な演出で、所詮人の名前だから」

油谷「途中でふっと投げちゃうところはありました」(つづく) 

実相寺昭雄 才気の伽藍 鬼才映画監督の生涯と作品 (叢書・20世紀の芸術と文学)

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