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中島貞夫監督 × 川地民夫 トークショー レポート・『懲役太郎 まむしの兄弟』(1)

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 今年、“シネマヴェーラ渋谷”にて特集上映“中島貞夫 狂気の倫理”が開催され、2度に渡って中島監督のトークショーが行われた。  

 東大文学部卒業後、東映に入社した中島貞夫は、『893愚連隊』(1966)、『まむしの兄弟』シリーズ(1971~75)、『唐獅子警察』(1974)などやくざ映画や時代劇を多作。一方で、桜田門外の変に始まってさまざまな暗殺事件を描いた『日本暗殺秘録』(1969)、チンピラの悲惨な青春を描いて伝説的な『鉄砲玉の美学』(1973)、サンカ(山窩)の人びとを取りあげた『瀬降り物語』(1985)といった異色作も手がけた。1998年に『極道の妻たち 決着』を撮ってからは一線を退き、大阪芸術大学教授や立命館大学教授を務めるほか、テレビで映画の解説などもこなしている。  

 9月10日、『懲役太郎 まむしの兄弟』(1971)の上映後、中島貞夫監督 × 川地民夫トークショーが行われた。

 中島監督は、さすがバイオレンス映画の作り手だけあって若い頃の写真だと怖そうな印象があったのだが、滑らかな口調で話す小柄の男性で、こちらの勝手なイメージとは異なる印象であった。 

 川地氏は、かつてテレビ『ウルトラマンティガ』(1996)にて、防衛チームの総監役を好演しておられた印象が強い。その後、鈴木清順監督『野獣の青春』(1963)での突然激昂する異常な男の役などをさかのぼって見て、実に幅の広い役者なのだなと実感した。『まむしの兄弟』シリーズでは、兄貴分(菅原文太)を無邪気に慕う二枚目半のコミカルな役どころで、実にうまい人だと改めて感嘆させられる。 

 

 『懲役太郎 まむしの兄弟』(1971)に始まるまむしシリーズは、主人公の政(菅原)と勝(川地)の義兄弟が毎度出所してきて悪と戦い、刑務所に逆戻りするというのがパターンで、他のやくざ映画と比べてばかばかしいギャグ満載なのが特色である。  

 第1作『懲役太郎』では、当初はやりたい放題のふたりだが、只者でない幹部(安藤昇)にあっさりのされてしまう。そこで、その幹部の真似をして竜の刺青を入れてみたはいいものの、雨に降られてあっさり流れ出すところなど、情けなくて思わず笑ってしまう。笑える反面、興味を持っていた女性(佐藤友美)が警察の保護官だと聞いてトラウマを抱える菅原文太が急に態度を硬化させたり、川地民夫がハーモニカで吹くメロディ(「満鉄小唄」)でその悲しい出自が暗示されたり、シリアスな側面も笑いに織り交ぜて巧みに描かれている。

 

【『まむし』シリーズの想い出 (1)】

中島「『まむしの兄弟』の主役を誰にするか、俊藤浩滋プロデューサーと話していて、川地ちゃんの名前が出たので、ええっとびっくりしたんです。川地ちゃんのような日活の青春スターをこんな柄の悪い映画にって(笑)」 

川地「ぼくも初めはびっくりしました。そのころ藤純子さんとテレビの仕事をしてて、そのとき(藤の実父の)俊藤さんにちょっと菅原文太の相手役をしてくれないかって言われたんです」 

 

 俊藤プロデューサーは、池部良中井貴一など二枚目俳優をやくざ映画に引っ張り込むことを好んでいたようである(萩原健一・絓秀実『日本映画[監督・俳優]論』〈ワニブックスPLUS新書〉) 

 

中島「当時は任侠映画の全盛期だったんで、ぼくは逃げてたんです。これだったらやるか、と言われて」 

川地「日活の監督やスタッフは大人しいんです。東映の京都撮影所は、変な人ばっかり(笑)。ほんとに現場監督という感じでしたね」 

中島「特に京都は異質で怖いからね。日活の清純できっちりした作品に出ていた人が、こともあろうに“まむし”(笑)。これは、東映の中でもむちゃくちゃな作品でしょ。日活の青春ものは、ある意味ハイカラで(笑)。逗子や湘南を舞台に上流階級の話でしたからね」 (つづく)

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