私の中の見えない炎

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『ふぞろいの林檎たちⅤ/男たちの旅路〈オートバイ〉 山田太一未発表シナリオ集』が刊行

 脚本家・作家の山田太一先生の未発表作品を集めた『ふぞろいの林檎たちⅤ/男たちの旅路〈オートバイ〉 山田太一未発表シナリオ集』(国書刊行会)が10月20日に発売されます。収録内容は『ふぞろいの林檎たちⅤ』『男たちの旅路 オートバイ』『今は港にいる二人』『殺人者を求む』の4本です。

 『ふぞろいの林檎たち』シリーズは1983年から1997年まで継続し、2000年代初頭に前後編のスペシャルドラマとして『Ⅴ』が準備されました。シリーズをずっと見てきたファンは「ええ…」と思うようなラストが待っていますが、過去の作品にさりげなくわずかに伏線的なものが張られています。ご興味のある方は映像を見返したり、シナリオを読み返したりしてみてください。

 『男たちの旅路』は1976年から1982年まで制作され、1979年にレギュラーの水谷豊さんがスケジュールの関係で降板しています。おかげで水谷さんが登場する前提で1978年ごろに執筆された「オートバイ」は当時陽の目を見なかったわけですけれども、新発見により収録することができました。

 その他に “ザ・サスペンス” という2時間ドラマ枠のために書かれた『今は港にいる二人』と山田先生が松竹の新入社員時代に同人誌に載せた『殺人者を求む』も収載されます。

 『松田優作+丸山昇一 未発表シナリオ集』(幻冬舎アウトロー文庫)や『上原正三シナリオ選集』(現代書館)、『岡本喜八お流れシナリオ集』(龜鳴屋)といった先例はありましたが、未映像化の脚本が世に出ることは決して多くありません。野沢尚の没になった?映画脚本が発行されると告知を見かけた記憶があるのですけれども、やはり実現しなかったようです。

 版元の国書刊行会はシナリオ集『笠原和夫傑作選』や『映画監督 神代辰巳』などを送り出しています。今回の英断には感謝しかありません。

 編・解説は『絶望図書館』(ちくま文庫)や『自分疲れ ココロとカラダのあいだ』(創元社)などの頭木弘樹氏です。表紙のイラストは「ビッグコミック」の表紙などの岡田成生氏が担当。装幀は過去のシナリオ集『ふぞろいの林檎たちⅣ』(マガジンハウス)も手がけた山田英春氏です。ブログ管理人も制作にちょっと参加させてもらいました。シリーズのファンのみなさまに愉しんでいただけると幸いです。