テレビ『ドラえもん』(1979〜)やその劇場版にてジャイアン役を26年演じた、たてかべ和也氏。たてかべ氏が逝去して1週間以上が経つけれども、喪失感は消えない。以下はたてかべ氏の発言の中で、引用者の手元にいくつかあるものである。
「いつもテレビでは、のび太をやっつけてばかりいるジャイアンだけど、映画になると、やさしいイイ子になっちゃう。実は、そこがモノ足りない。でも、ジャイアンのやさしいとこもあるんだって、知ってもらいたいんだ。
これからも、ジャイアンだけを応援してくれよな」(映画『ドラえもん のび太の日本誕生』〈1989〉パンフレット)
「(原作の藤子・F・不二雄死去の報に接して)僕ら声優にとって、親も同然の方でした。先生が病気で10年も苦しんでいたというのを伺い、何も知らないでいた自分が、とても親不孝に思えます。先生が与えてくれたジャイアンというキャラクターを、一生大切にしたいです」(「週刊TVガイド」1996年10月12日号)
「20年前にこの作品に出会って、こんなに続くとは夢想だにしなかったわけですよ。だから選ばれたことの運の良さと、素晴らしい人たちに出会えた20年だという気がするし。だいたいいつも変な役の系統なんで(笑)。でもやっているうちに、ジャイアンの人気が出てきて見直されてきて」(『20周年だよ!ドラえもんザ・ムービー』〈キネマ旬報社〉)
「「ジャイアンて映画になるといい子になっちゃうんだよね」ってよく聞かれるの(笑)。僕自身も「どうもいい子になりすぎちゃって面白くねぇ。テレビの方がいいや」なんて思ってたんだけど、大きな宇宙の中で皆と力を合わせて目に見えない敵と戦うのも、1年に1回はいいんじゃないかなと、最近は許してるんです(笑)」(同上)
「(藤子・F・不二雄)先生は僕のことを「たてかべさん」ではなく、「ジャイアンさん」て呼ぶんです(笑)。照れくさいような、嬉しいような」(同上)
「僕はこの年令で「若く見える」といわれるけど、これはジャイアンからパワーをもらってるんですね、あいつを僕の親友にしちゃったんだ。20年もこんなに親密につきあった男はいないしね」(同上)
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「僕はちょっと不見識というか、『ドラえもん』というコミックはぜんぜん知らなかったんですね。ただただ、ひたすら仕事をやって、見てもらうほうで、見る側ではなかったので、ああ、こういう作品もあるんだなあと、何の抵抗もなくこのジャイアンの役に入っていけた。しかもここに至るまでに、わりと人気も出たりで、振り返って夢のような感じがしてます…」(「アサヒグラフ」2000年3月10日号)
「初めてジャイアンをやったとき、子供の声でやろうなんて、意識を持つのをやめようと思った。そうすると、だんだん楽に自分の声が出るようになって、いまやほとんど地声に近いんじゃないかな」(同上)
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「(『ドラえもん』の声優交代が決まって)そういう時期に来てるんだな、と割と淡々と受け止めましたね」(「TV Bros」2005年4月2日号)
「本音を言えば寂しいですけどね」(同上)
「僕は新しいジャイアンとお酒を飲みに行こうと思ってたんです。でも14歳じゃ行けない(笑)。それだけが残念」(同上)