私の中の見えない炎

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庵野秀明 × 樋口真嗣 トークショー(岡本喜八監督特集)レポート・『激動の昭和史 沖縄決戦』『ブルークリスマス』(2)

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【『ブルークリスマス』】

 『ブルークリスマス』(1978)は、岡本監督のキャリア中、おそらく唯一のSF作品。脚本は『北の国から』シリーズ(19812002)や『風のガーデン』(2008)などで知られる巨匠・倉本聰

 世界中でUFOが目撃され、UFOの青い光を浴びた人間は血が青くなって、なぜか心優しくなる。だが得体の知れない人物たち(天本英世岸田森ら)によって陰謀がはりめぐらされ、青い血の人間の迫害が始まった。謎を追う記者(仲代達矢)は、権力によって足止めされてしまう。

 主人公の自衛官勝野洋)は彼女(竹下景子)の血が青いことを知り、衝撃を受ける。主人公は彼女を逃がそうとするが、クリスマスの夜に世界中で青い血の人間の虐殺が起きてしまうのだった。

 庵野秀明監督の『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ(1995~97)で、エヴァが起動する際に表示される“BLOOD TYPE:BLUE”というフレーズは『ブルークリスマス』の副題である。 

 

尚文「初日に千代田劇場、いまのシアタークリエで見ましたけど、がらがらで、800人入る劇場にお客さんは20人くらい」

真嗣「『スター・ウォーズ』(1977)や『未知との遭遇』(1977)のころにこれか? 見ていて1回もUFOが出てこねえ(一同笑)」

庵野「この作品は仲代さんの魅力に尽きる。“青” って言うときの表情」

真嗣大滝秀治さんが無理して足組んでる。すごく深いところから足組んで(一同笑)。

 仲代さんから取材メモを取り上げる、出てくるだけでいかがわしい3人組(笑)。ああいう衣装合わせに立ち会いたい(笑)。

 この映画は、キャストの顔をアップで抜くよね。今福将雄さんが“目的は人ではない”って言うシーンで、ここまで寄るかって(笑)。

 撮影は木村大作さん。よくあんな合わなさそうなふたりが(一同笑)」

 

 木村大作氏は、『日本沈没』(1973)や『駅 STATION』(1981)、『鉄道員(ぽっぽや)』(1999)などで知られるベテランの撮影技師。ライムスター宇多丸が「名カメラマンというより名物カメラマン」と評していたが、そんな気もする。岡本監督とは『吶喊』(1975)などでも組んでいる。

 『北の国から』の倉本聰とUFOをめぐるSFサスペンスは意外な取り合わせのような気もするが、倉本のUFOへのこだわりはかなりしつこく『北の国から』でもUFOを見に行く件りがある。筆者は見ていないが、真嗣監督によると倉本脚本の『うちのホンカン』(1976~1981)にもUFOネタが出てくる(『ホンカン』の主演は大滝秀治)。 

 

真嗣「『うちのホンカン』と(『ブルークリスマス』)は倉本、大滝、UFOつながり(笑)。

 妖精探しをする、是枝裕和さんのドラマ(『ゴーイング・マイホーム』〈2012〉)を最近見て、UFOを思い出した。まあ多分(妖精は)出てこないんだろうなって感じで、倉本さんのトンデモ話みたい(笑)。

 『ガメラ2 レギオン襲来』(1996)のころ、是枝さんが『幻の光』(1995)を撮ったころかな。鴻上尚史が聞き手で是枝さんのところへ行くっていう話があったけど、そのときはあんまり関係ない気がして、おれはいいやと思って(笑)。

 で、岡本さんということになって、是枝さんには会わず岡本さんの家へ行って、舞い上がって、鴻上さんが帰ったあと図々しいことに12時半くらいまでいた(笑)。監督はあまり多くを語らない人で、冷や汗が出たな」

庵野「ぼくは3回くらい行った。あそこのシーンはどうやって撮ったとか、ここは何で7コマ?とか」

真嗣「プロフェッショナルというか、感情よりどうやって成立させるかというのがあるような。システマティック。

 『日本のいちばん長い日』(1967)の絵コンテを見ると、絵も上手で、目線とか描写が全部書いてある。俳優の芝居にカメラがお邪魔するんじゃなくて、カメラに向かって芝居をするんだっていう強烈な宣言です」

庵野「主観の画面が多い。アニメでやると、絵描きにいやがられるんだけど。喜八さんはいいよ、ほんとにいい(一同笑)」 

 

【『EAST MEETS WEST』(1)】

 西部劇に思い入れのある岡本監督が、アメリカを舞台に念願かなって撮ったのが『EAST MEETS WEST』(1995)。アメリカ西部に渡った侍(真田広之)が活躍するというものであったが、撮影現場も仕上げ時もなかなか思うに任せなかったらしい。この作品は公開後も編集作業が続行されていた。(つづく

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