私の中の見えない炎

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白倉伸一郎 × 小中和哉 × 長谷川圭一 トークショー レポート・『ぼくが処刑される未来』(1)

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 主人公の平凡で気弱な大学生(福士蒼汰)は、ある日突然まばゆい光につつまれて拘束される。

 彼を捕えたのは、25年後の未来人たち。凶悪犯を過去から連行して処刑する “未来犯罪者処刑法”に則り、将来罪を犯すことになる犯罪者予備軍をつかまえているのだった。未来の世界では、中空に浮かぶ巨大な量子コンピュータ “アマテラス” がすべての犯罪を裁く。その “アマテラス” によって身に覚えのない罪で処刑を言い渡された主人公は、謎のハッカー吉沢亮)の力を借りて無実を証明しようとする。

 テレビ『仮面ライダーフォーゼ』(20112012)の主役コンビ(福士蒼汰吉沢亮)が番組終了後に間髪を入れず再度共演する異色のSF映画が『ぼくが処刑される未来』(2012)。 

 東映制作の仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズでは毎年若手男優が主役に抜擢されているのだけれども、番組が終わった後も彼らを育てていこうというのが2012年から始まった “TOEI HERO NEXT” というシリーズで、今回の第2弾『ぼくが処刑される未来』では『フォーゼ』にて主役のライダーを演じたふたりが主演する。

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 12月1日、新宿バルト9にて『ぼくが処刑される未来』の小中和哉監督、長谷川圭一氏(脚本)、白倉伸一郎プロデューサーのトークショーが行われた。急な告知だったのでなかなかレアだからレポートの価値はあるだろう…と思ったら、あ゛~東映のサイトに首尾よくまとまった記録がアップされているではないか。

 http://www.toei.co.jp/release/movie/1200790_979.html

 先を越されてしまったが、でもせっかくメモしたので触れられていない箇所を中心に拾ってみたい。進行役は東映の高橋一浩プロデューサーが務める(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りなので、実際の発言とは異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承下さい)。

 

【企画段階】

白倉「スタッフのトークというおもしろくもないものにお越しいただきありがとうございます(一同笑)。まず建前を言うと “TOEI HERO NEXT” というのは、東映ヒーローの役者さんのネクストステージを用意したいという。

 次に本音を言うと、新しい映画をつくりたいから映画をつくる場をつくるということです。映画をつくるには審議を通すのが難しい。金を出しても口出すなというノー審議では通らない」

 

 ヒーロー俳優が出るなら、自由につくってもお客さんが来てくれるはずという意味であろう。

 

小中「これまで(ウルトラシリーズの)円谷プロの仕事が多くて、東映さんとは初めて。長谷川さんのホンからぼくが声をかけられるという流れです」

 

 『ぼくが処刑される未来』の構想は裁判員制度に触発された長谷川氏が2007年ごろに練り始めたという。

 

小中「5、6年前に長谷川さんがオリジナルで書いたこの企画のために、営業をやったりしたけどお金が集まらなかった。映画って原作がないと、自主企画が通ることはまずない。今回これが実現したのはいまの東映に勢いがあるからだと思います」

長谷川「電話で「好きなものを書いていい」と言われて、冗談だろうと。自由に書いていいって難しい。でも奇跡的な作品です。どうもありがとうございます(一同笑)。

 普通こういう場に出るときは飲んでいて、きょうも飲んだのですがお酒がちょっと醒めちゃった(一同笑)」

 

 “アマテラス” によって、全く矛盾のない管理社会が実現しているかに思えたが、そこには陥穽があるという展開は、長谷川 × 小中コンビが『ウルトラマンダイナ』(1997)の終盤で描いた展開を思わせる。(つづく

 

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