http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20111210-OYT1T00254.htm?from=yoltop
毒とロマンティシズム。
無残で味気なくて醜い現実への憎悪。
夢への憧憬と、夢を持つことのおそろしさ。
一筋縄ではいかない作家であった。
「勝つだけが意地じゃないだろ。意地で負けることだってあるさ」(『帰ってきたウルトラマン』「この一発で地獄へ行け!」)
「大きな口は叩かぬことだ。お前がどう善人ぶろうと所詮は気の弱い偽善者ではないか。お前の化けの皮はすぐにでもひんむいてやる!」(『シルバー仮面』「はてしなき旅」)
「勝負がついたと思ったら大間違いだよ(…)お前は勝った。勝った者は生き残り、負けた者は地獄に堕ちる。しかしこれだけは覚えておくがいい。勝った者は常に負けた者たちの恨みと怨念を背負って生き続けているのだ」(『ウルトラマンエース』「ベロクロンの復讐」)
「優しさを失わないでくれ。弱いものをいたわり、互いに助け合い、どこの国の人たちとも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。たとえその気持ちが何百回裏切られようとも。それが私の最後の願いだ」(『ウルトラマンエース』「明日のエースは君だ!」)
「いつ、どこでめぐり逢えるかは、自分でも判らない。ただ、ずっと幼いときから、かなり明確なイメージで、ひとりの乙女が胸の奥底で生きているんだ。名前も知らない、身分も知らない、何処にいるのかも判らない。それでも確信があるんだ。彼女とは、どこかできっと逢えると」(『黄色い涙』〈大和書房〉)
「どんな幸せそうに見える家庭でも、床下や押し入れの底に、ひとつやふたつ怖い秘密が隠されているものです」(『聖母モモ子の夢物語』〈大和書房〉)
「人は生まれ変わるというでしょう(…)綺麗な魂が生まれ変わってこない筈はないから、ぼくは、いまだに待ってるんですよ。いつか、どっかで、あの人の生まれ変わりとめぐり会える気がして」(『夢の標本』〈シングルカット社〉)
「私自身、あまりにも遠くへ来すぎてしまいました。何処でどう道を踏み間違えたのか。少くとも、私は、もっと幸せになりたいと、思うべきでした。私は幸せか? そう問いかけさえすれば、答えは問いかけの隣にあったのです。他人の幸せを願いさえすれば、自分も幸せになれるという単純な答えが」(『ヴェリズモ・オペラをどうぞ!』〈シングルカット社〉)
市川森一さん、やすらかに。