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黒沢清監督 トークショー レポート・『悪魔のいけにえ』(1)

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 吉祥寺バウスシアターなど各地で行われてきた爆音映画祭。今年は丸の内でも開催され、『悪魔のいけにえ』(1974)の上映と黒沢清監督のトークショーがあった。 

 

 アメリカのテキサス州を旅行中の男女5人は、ヒッチハイクの男をワゴンに乗せるが、男は自らの手を切り、さらにメンバーを切りつけてくる。みなは男を車外に追い出すも、そのできごとは地獄への入り口だった。

 

 名作ホラー『悪魔のいけにえ』に黒沢監督は感銘を受け、『恐怖の映画史』(青土社)などで言及してきた。『いけにえ』にてデビューしたトビー・フーパー監督と会談したこともあり、今年8月にフーパーが逝去した際には「映画秘宝」11月号にて篠崎誠監督と追悼対談を行なっている。

 今回のトークは上映前なので極力ねた割りを避けた、ある意味で苦しげなものだったけれども、黒沢監督のフーパーへの畏敬は伝わってきた。聞き手は、爆音映画祭樋口泰人プロデューサーが務める(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので実際と異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。

 

黒沢「さっき楽屋で話したけど、山口県トビー・フーパーの『マングラー』(1995)を上映してたら、怪現象があったんですね」

樋口「8月26日です。山口情報芸術センターにおっきなホールがあって、いい機材がいっぱいあって使っていい。スピーカーを天井と座席の下にも置いて、洗濯機が立ち上がるときはみんなが大爆笑。後で女性スタッフからメールが来て(上映中に)スクリーンの脇で誰かがのぞいてたって言うんです。スクリーンの裏に誰かいた。スタッフの子が言うには、遠くで誰かが死んでそこに挨拶に来たに違いないって。翌朝起きたら、トビー・フーパーが亡くなったと。愕然となりまして」

黒沢「いい話ですね」

樋口「バウスでも上映中に電源落ちたり。2000年ごろですね」

黒沢「爆音のごく初期。創生期ですね」

樋口「きょうも何が起こるか判らない」

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 『恐怖の映画史』は黒沢・篠崎誠両氏の対談集で、フーパーのことも詳細に論じている好著。 

 

黒沢「『恐怖の映画史』ではぼくと篠崎誠とで対談して。篠崎も同じころに『悪魔のいけにえ』に触れたんです。

 1970年代の前半、テレビでこれからやる映画の一部をお見せします、みたいな番組があったんです。予告編じゃなくて、5分くらいの一部分をやるトータル1時間くらいの特番。関東だったらテレビ東京、ぼくは神戸にいたのでサンテレビで見たんですが。映画好きで、篠崎もぼくよりずっと若いですが見ていたらしくて。“これ何!?”って衝撃的な映画で、『悪魔のいけにえ』でした。最初の犠牲者のシーンで5分くらい。他のハリウッド大作と段違いでした。高校生ぐらいで、いまと比べれば映画を見てなかったんですが、全然違いましたね。怖さもあったけど、生々しさがあって品格と怖さが同時にあるような強烈なもの。ものすごく気になったというのが出会いでした。全く何も知らずに突然見たんです。篠崎も小学生で同じ経験をしています。予告編じゃないので、地味と言えば地味。突然殺人が起きるんですが」

黒沢清の恐怖の映画史

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黒沢「樋口さんはいつ見たんですか」

樋口「大学で映研に入ったんですよ。そこの人たちがみんなチェーンソー振り回してて、何だろうと思ったんです。どちらかというとおれは音楽から入って、好きなミュージシャンがみんな『悪魔のいけにえ』って言ってて。多分おれはビデオで見たんでしょうけど、衝撃的なところは先に知ってて、それを確認する。既に(さまざまな)映画を見ていたので品格は感じて、ああいい映画だなと。その後のフーパーの映画も面白く見て、『スポンティニアス・コンバッション』(1990)とか大好きですね」

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 樋口氏は黒沢監督に、『悪魔のいけにえ』の予告編をつくるとしたら?と質問した。

 

黒沢「どうすればいいんでしょうね。ショッキングなところはショッキングですが、静かなところは静かで。起きる前と後、その間が長くつづいたりする。品がよくて、ドキドキもする。静寂も破壊も両方あって、それを予告編にできるとぼくとしては嬉しいんですけど。(つづく

 

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