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リリー・フランキー × 塚本晋也 トークショー(甦る映画魂 The Legend of 石井輝男)レポート・『盲獣vs一寸法師』(1)

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 『網走番外地』シリーズ(1965〜1967)、『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』(1967)などアクションやサイコ系の映画を多数手がけた石井輝男監督。晩年は『ゲンセンカン主人』(1993)や『ねじ式』(1998)といったインディペンデント作品を撮り、遺作は乱歩原作の2本を組み合わせた『盲獣vs一寸法師』(2004)であった。

 6月に渋谷にて石井監督の特集上映が行われ、『盲獣vs一寸法師』に主演したリリー・フランキー塚本晋也両氏のトークショーが行われた。聞き手は、『異端の映画史 新東宝の世界』(洋泉社)の下村健氏が務める(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。 

 

リリー「鞄を持ったまま来ちゃいました。(場内の)この冷えた感じは、見られたばっかりだから? にしては正気を保たれてる(一同笑)。この映画は判らないことだらけだけど、丹波丹波哲郎)さんが最後に終わりって言えば終わり。

 『盲獣』と『一寸法師』を何で混ぜる?と思った。最初はサンダ対ガイラ(『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』〈1966〉)になるかと思ったんですよ」

塚本「(それぞれ映画化されているが)2本合わせたのはないんだよね」

 

【撮影現場の想い出 (1)】

 この怪作の撮影は2000年暮れに行われた。

 

リリー「石井さんの中でミレニアムって言葉が流行ってて、予告編に手書きで「ミレニアム美女」(一同笑)。

 撮影1週間前に主役が飛んじゃって、それで(主役をと)言われて。ぼくはパンチユーホーくんの役だった。おれ初めて石井プロに行って、初めましてで、その後1週間でクランク・イン。芝居もしたことない。石井さんくらいになると健(高倉健)さん、千葉(千葉真一)さん、丹波さん以外はみんな同じ(笑)」

 

 リリー氏は本作の作家・小林紋三役によって映画初出演。塚本氏は明智小五郎役。

 

リリー「亀戸の倉庫がファーストシーン」

塚本「あの日が最初か。リリーさんと(初めて)遭遇したのを覚えてます」

リリー「スタジオっぽいところで撮った、あれだけ。あと(の撮影)は石井さんの家で」

塚本「普通のうちにタバコ屋さんをつくってる。畳の部屋にいるのも外にいることにして。そういうのいいよね。中学生のとき8mmつくってた感じに似てます。すごくなつかしい気がしました」

リリー「ファーストカットで塚本さんとも初めまして。1発目は塚本さんが部屋に入って盲目の美女(細野佑美子)がいる、あの美女と明智をカットバック。でもツーショットは映さない。バラで撮ってもいいな(一同笑)」

塚本「普通はふたりで通しで芝居して、こなれてから撮る。でも何故かひとりずつ呼ばれて。“まあ”って言ったらそれでカット。バラバラで撮る。1回もふたりを映さない。それで不思議な効果が出てる。かみ合ってない感じが」

リリー「十何年経って、あれ特殊だったんだなと」

塚本「でも当時の巨匠の岡本喜八さん、市川崑さんも同じで、通しは邪道ですよって」

リリー「普通は目線を合わせるのに、それもしない。でも出来上がりを見たら、目線とか杞憂でした。この映画はそういう次元の話じゃない(一同笑)。

 ずっと塚本さんと待ってる時間が長い。撮影も石井さんの家で、午前中に入って8時間待って、夜になって2分ぐらい撮って終わり。その2分は押し入れから飛び降りて終わりとか。石井さんがお金下ろしに行って、帰ってこない(一同笑)。待ってる間に塚本さんから映画の話とか聞いて。お互いうさぎ飼ってたから、その話とか。ティモテをうさぎにするとか。あ、ティモテってもうないね。でもここ、若い人いないから(笑)。

 映画って愉しいと思って、この後も出させてもらって。最初が厭な想い出だったら出なかったです。去年8本出たけど、1本(の撮影が)1日ってのが多い。1日しか出てなくても1本。出散らかしてるみたいで(一同笑)」

塚本「車いっしょに乗って、リリーさん優しくて。その後で、ぼく免許取りました」

リリー「おれ、その後免許なくなった(笑)」

塚本「うさちゃん亡くなった後で、富士山へ埋めに行って。それが哀しい風景で印象に残ってる」

リリー「2匹のうち1匹死んで。埋めに富士山に行くと、小雨降ってて。夜中1時に、ライトつけっぱなしにして掘ってたら、たまに通る車がぎょっとして(一同笑)。かわいいもの埋めてるとは思わない。悲しいと変なことするよね」

 

 本作はビデオ撮影だが…。

 

リリー「ビデオはお父さんが子どもの運動会撮るようなので、カメラも石井さんがやってる。途中でお前やってみろって言われた人が代わってやって、走るシーンでカメラ引き離しちゃって。

 (移動撮影の)レールもないので、石井さんが車椅子に乗って撮って、助監督が引いて。介護なのか(一同笑)。

 (出演者の)手塚眞さんがビデオで撮ってるのをいいように解釈してて、“『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)がビデオで撮ってますよ!”って。石井さんは“へえ、そういうのあるの”(一同笑)」

 

 ロケは無許可のゲリラ撮影。

 

リリー「ロケはここだけ古いってところを撮る。石井さんがあのバス停いらないって言ったら、スタッフがバス停動かす。バスはどこに停まれば…(一同笑)」

塚本「あの年齢の監督が許可を取らない。びっくりでした。警察が来て怒られたり」

リリー「警察が来たら、石井さんがいちばん最初に逃げる(一同笑)」

塚本「後でどこそこに集合って言って。地理も把握してるから最初に逃げる」

リリー「逃げた後で、そのシーンは再撮影してない(一同笑)」

塚本「『鉄男』(1989)で許可取ってなくて、人の気配がすると逃げて、壁と屋根の隙間に…(一同笑)。逃げてつかまって、事務所で許可取ればいいって聞いて、そうか! でも石井さんは80過ぎてそれをしない」(つづく

 

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