私の中の見えない炎

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寺田農 × 伊佐山ひろ子 × 岡本みね子 × 岡本真実 × 佐藤闘介 × 佐々木淳 トークショー “もっと、岡本喜八を!” レポート・『肉弾』『ブルークリスマス』(1)

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  1128日に新宿ロフトプラスワンにてトークイベント “もっと、岡本喜八を!” が開催された。

 トークイベント「もっと、岡本喜八を!」

 【実施日時】1128(日) 午後1230分開場/1330分開演(終了予定1630分)

 【実施会場】ロフトプラスワン(新宿歌舞伎町)

 【出演】寺田農(俳優)、伊佐山ひろ子(女優)、佐藤闘介(映画監督)

     佐々木淳(「喜八 フォービートのアルチザン」著者・編集者)

     岡本みね子(プロデューサー/喜八監督夫人)

     岡本真実(女優/喜八プロ代表)

 岡本監督は20052月に81歳で死去しており、来年2月に七回忌を迎える。そのタイミングで特集上映などが行われるそうで、今回のトークはそれに向けて盛り上げていこうという意図で企画されたようである。

 ロフトプラスワンはパネリスト席と観客との距離が近く、収容人数も少ないので、なんとなくトークを身近に感じられる(しかも飲食しなければいけないので、お酒も入っていい気分になる)。

 個人的には、お目当ては俳優の寺田農である。寺田は『肉弾』、『赤毛』(1969)などの岡本作品に出演しているほか、アニメ映画『天空の城ラピュタ』(1986)の強烈なムスカ大佐役(声の出演)でも知られているが、筆者は小学生の頃に見たNHKの朗読番組(岡本監督と何の関係もないが)で「なんてかっこいい声だ…」と打ちのめされて(?)以来のファンである。少量の酒を飲んだとはいえ68歳の人を見て泣きそうなほど感激するのだから、われながらどうかと思う(余談だが学生時代の知人で「あこがれの人は、椎名誠」と公言しているさわやか男がいて、内心でつまらんやつだと思ったものの、やはり椎名誠のほうがいいのかも。「あこがれの人は “ゴミのようだ” のムスカの声の~」では…)。氏はテレビなどで見るよりも、血色がよく若い印象であった。 

 司会の人が「きょうのことはブログやツイッターでどんどん書いていただいて、復活の機運を盛り上げましょう」と言っていたので、一応レポートしてみたい(メモと怪しい記憶頼りなので、実際の発言とは異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承下さい)。

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寺田農氏 (1)

寺田EXILEの寺田です(一同笑)。岡本監督では『肉弾』に出まして(主演)。あるときは『仮面ライダーダブル』(2009)の敵、あるときは『ウルトラマンマックス』(2005)のメトロン星人(一同笑)。

 岡本監督の『日本のいちばん長い日』の衣装合わせに行ったとき(スケジュールの都合で結局出演しなかった)やたらと監督がぼくの身体を触るんです。この業界はそっちの人、この近くの二丁目の世界の人が多いので(一同笑)そういうことかと思ったんですけど。

 その翌年、岡本監督のところで麻雀をやる機会があって、当時のぼくは雀鬼と呼ばれるほどだったんで(一同笑)徹夜でやりました。今思えば、これが面接だったんですよ」

 

 その後、すぐに『肉弾』の主役に決まった。以前の衣装合わせで触られたのは『肉弾』で自身をモデルにした役にちょうどいい痩せ形の役者をさがしていたのだという。

 

寺田「「きみは顔もひねくれてるけど、麻雀も相当ひねくれてるね」と言われました(一同笑)」

 

 『肉弾』の翌年に三船敏郎主演の時代劇『赤毛』にも、寺田氏は準主役級で出演している。『赤毛』は、幕末を舞台に三枚目のヒーロー(三船敏郎)がはめられ倒されていくまでを描いた佳作で、あまり知名度はないがなかなかに見応えがある。

 

寺田「『肉弾』は監督の言うままにやったので、毎日映画コンクールの主演男優賞をもらいましたが、あまり感動はなかったですね。むしろ『赤毛』ではいろいろ考えながら演じたので、こっちが助演賞の最終選考に残りながら賞をとれなかったのでがっかりしました。そのとき賞をとったのが、『黒部の太陽』の三船さんだったんです(奇しくも『赤毛』の主演者だった)」(つづく) 

 

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