私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

白井佳夫 トークショー “阪東妻三郎 田村高廣 永遠の親子鷹” レポート(2)

【映画初期と阪東妻三郎 (2)】

白井阪妻さんのやったことはものすごく…。高廣(田村高廣)さんが書いた阪妻さんについての本があって、父親の部屋の押し入れに本が積んであって、見たら発禁の本で持ってたら罪になるようなものがうず高く積んであったと。社会主義共産主義、部落差別、身障者差別に関する本。『無法松の一生』(1943)の無法松は被差別部落の人ですね。そのことは部落解放同盟の連中も認めています。『王将』(1948)も被差別部落民の話で、字が読めなくて書けないけど将棋だけは滅法上手い。阪妻さんはそういう考えを持ってたんじゃないでしょうか。そうじゃないと『無法松』も『王将』もやるというふうにはいかないね。

続きを読む

白井佳夫 トークショー “阪東妻三郎 田村高廣 永遠の親子鷹” レポート(1)

 『無法松の一生』(1943)などの時代劇スター・阪東妻三郎と子息の田村高廣。この両者の特集上映 “阪東妻三郎 田村高廣 永遠の親子鷹” が阿佐ヶ谷であり、7月に映画評論家・白井佳夫氏のトークも行われた。

続きを読む

上野昂志 × 山根貞男 トークショー レポート・『黄昏映画館 わが日本映画誌』(3)

【上野批評の特性 (3)】

山根「(『黄昏映画館 わが日本映画誌』〈国書刊行会〉では)大島渚について書いた文章は多いですね。でも何本も書いたなら作品や姿勢を支持するのかと思ったら、反感とまではいかなくてもちょっと違うんじゃないですかっていうのもわりあい多い。そこがこの本の面白さですね。山田洋次については4本ぐらいありますが、大変いいんだって書いてるのともう映画をつくらないでくれみたいなのとがいっしょに並んでるんですよ(笑)。上野さんが意見を変えたのではなくて、むしろ山田洋次の映画が初期と後期とで変わっていったんだと。それが見えてくるんですね。野次馬的(笑)。ただ最近の山田洋次はつまんなくても、昔はすごくいい映画を撮ったんだという文章を本に入れないでおこうとはならないですね」

続きを読む