私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

「怪獣使いと少年」についての二、三の事柄・橋本洋二と東條昭平(1)

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 2020年1月初旬、脚本家の上原正三が逝去した。『ウルトラセブン』(1967)や『怪奇大作戦』(1968)、『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)、『宇宙刑事シャリバン』(1983)など幾多の傑作・ヒット作を送り出した巨匠だが、代表作として語り継がれたのが『帰ってきたウルトラマン』(1971)の第33話「怪獣使いと少年」だった。

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対談 別役実 × 岩松了 “2大作家がチェーホフを語り尽くす!”(2004)・『千年の三人姉妹』(3)

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“何でもない時間” を最初に劇の俎上に上げた人

岩松 やっぱりチェーホフは、演劇の流れから言うと、かなり画期的な劇作家になるんですか?

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対談 別役実 × 岩松了 “2大作家がチェーホフを語り尽くす!”(2004)・『千年の三人姉妹』(2)

地下道で暮らす人たちの三人姉妹

岩松 ところで、別役さんは最初から『三人姉妹』がいいなと思っていたんですか? 『かもめ』や『桜の園』ではなく?

別役 『三人姉妹』がいいなと思ってましたね。要するに僕は、チェーホフを翻案したかったんですよ。そのままやると、なんとなく間接体験みたいな感じがあるから、丸ごと日本というか東洋に移し替えて、それによってチェーホフじゃなくなってしまう部分が出てきても構わないと思って。それで、戯曲としては『桜の園』も好きなんだけれども、『三人姉妹』のほうが日本の風俗に移し替えやすいかなと思った。まあ、実際にやってみたら、こんなに翻案が難しい本はなかったわけだけどね(苦笑)。

岩松 僕が以前『三人姉妹』をやったときは “地下道で暮らしてる人たちの話” っていう風にしたんです。戯曲を読んだら、「ここから抜け出すんだ」とか「働かなくちゃ」とか、そんなことばっかり言っていて、これはいわゆるホームレスの人たちの話にしたら、全部納得がいくなと思って。この『千年の三人姉妹』もどんどん落ちぶれていきますよね。しかも千年のスパンで。やっぱり、ずっと前から考えてらしたことなんですか? すぐ思いつくほど簡単な構造ではないなと思ったんですが。

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対談 別役実 × 岩松了 “2大作家がチェーホフを語り尽くす!”(2004)・『千年の三人姉妹』(1)

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 アントン・チェーホフ没後100周年を記念して上演された、別役実作『千年の三人姉妹』(2004)。そのパンフレットに、別役と岩松了の両氏の対談が掲載された。

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別役実 インタビュー(2004)・『千年の三人姉妹』(2)

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——やはりその影響下にはあったと?

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