私の中の見えない炎

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高橋洋子 トークショー レポート・『北陸代理戦争』(1)

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 4月から6月まで、“ラピュタ阿佐ヶ谷”にて、脚本家・高田宏治の特集上映“鉄腕脚本家高田宏治”が行われている。高田宏治は東映の時代劇、任侠、実録やくざ映画角川映画など多岐にわたるジャンルを手がけたシナリオライターの巨匠で、深作欣二中島貞夫五社英雄大林宣彦などの諸監督に膨大な脚本を提供した。

 5月25日には、深作欣二監督『北陸代理戦争』(1977)が上映され、出演する高橋洋子のトークが行われた。

 『北陸代理戦争』は、『仁義なき戦い』シリーズや『県警対組織暴力』などで知られる深作欣二監督によるものである。

 主人公の若頭(松方弘樹)は、なかなか跡目を譲らない親分(西村晃)を雪中に首まで埋めて、周囲をジープで走り回り引退を強要する(!)という暴れ馬。親分は弟分(ハナ肇)にあいつを消せと相談し、そこへ関西系の暴力団も乗り入れてきて、食うか食われるかの抗争が幕を開ける。

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  この作品の興行的失敗後、深作監督の実録路線は打ち止めとなった。また公開の翌年に、主人公のモデルとなった人物が射殺される事件(劇中でロケに使われた喫茶店が、事件現場になったという)があったのも影響しているのだろう。

 そんな因果な作品であり、完成度は同じ高田脚本 × 深作監督の『資金源強奪』(1976)に一歩譲る感はあるものの、それでも十分見応えはある。主演の松方弘樹にカリスマ性があってかっこよく、地井武男成田三樹夫野川由美子も好演。西村晃ハナ肇そして高橋洋子など東映やくざ映画には珍しい顔ぶれのキャスティングも新鮮に映る。

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 高橋洋子は、NHK朝のテレビ小説『北の家族』(1973)のヒロイン役や映画『旅の重さ』(1972)、『サンダカン八番娼館 望郷』(1974)など、主に1970年代に活躍。筆者は、後年に見る機会があった渥美清主演の土曜ワイド劇場『時間よ、止まれ』(1977)の婦警役が印象的であった。『北陸代理戦争』では、主人公の松方弘樹に同情して結婚するという役所で、気性は激しいけれどもピュアな感じで可愛らしい(「残酷な天使のテーゼ」の高橋洋子さんとは別人)。

 

 上映終了後、後ろの席でご覧になっていた高橋洋子さんが、スクリーン前に現れた。高田宏治先生も、後列でときどき発言されている。聞き手は、この度『映画の奈落 北陸代理戦争事件』(国書刊行会)を上梓される伊藤彰彦さんである。(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや、整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)

 

【『北陸代理戦争』の想い出 (1)】

高橋「(公開された)77年に見たっきりで、三十何年ぶりに見まして、嬉しいやら自分の子どもっぽさに懐かしいやら、不思議な気持ちにつつまれております」

 

 高橋さんは、当時『北陸代理戦争』出演にあたって“自分は陶器だから”というコメントをされたという。

 

高橋「それ以前に文学筋の助監督さんに、“中野良子さんはガラス細工で、きみは陶器だね”って言われて、そのことが頭に残っていて、受け売りです。ちょっとええかっこしいで言ってしまいましたね(笑)」

 

 途中で登場して、主人公と結婚。後半で乱暴した男たちに逆襲するという、なかなかに出番の多い役で、配役は難航していた。

 

高田「あの役は決まらなくて、深作さんとふたりで東映の企画室でずっと女優さんをさがしてた。何であなただったのかな(一同笑)。

 (松方弘樹をじっと待っていて)蜘蛛の巣の中からあなたが出てくるシーンはいいですね。あれやられたら男はね…(一同笑)」

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高橋「(初登場のシーンが)最初の北陸のロケでした。松方さん、ハナさん、西村さん、地井さん、みんなギラギラしていてしかも(個性が)定着した方たちなのに、私だけおぼこみたいで定着していない。どうしようかなって思っていました。

 ハナさんは話し好きでね。“ゴルフでこないだホールインワン出した”ってずっと言いつづけて。ハナさんもこういう映画は久しぶりで、張り切ってたんですね。それでホールインワン出したから、ますますテンション高くなっちゃって(笑)。松方さんも、“ハナさんにつかまったら寝られないから仮眠しとけ”って(笑)」(つづく

映画の奈落: 北陸代理戦争事件

映画の奈落: 北陸代理戦争事件