私の中の見えない炎

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長谷川圭一 × アベユーイチ × 川久保拓司 トークショー レポート・『ウルトラマンネクサス』(3)

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【ストーリー展開と設定 (2)】

 『ウルトラマンネクサス』(2004)の最終話では凪副隊長(佐藤康恵)と孤門隊員も変身する。

 

長谷川「憐編がさわやかで、そのまま最終回へなだらかに行きました。あれはあれでよかった。(短縮がなければ)またダークな雰囲気に戻る予定でした」

アベ「いま最終回を見ると駆け足ですね」

長谷川「あれだけで4話分くらいでしたね」

川久保「副隊長に行くとは、ぼくも思ってなかった。あれも最初から決まってたんだなあ」

長谷川「ちょっと太田(太田愛)さんに申しわけなくて。いろいろ考えててくれてたんだけど、なくなっちゃって。村井(村井さだゆき)さんも。あのUFO研究家(斉藤暁佐藤亮太、野仲イサオ)も活躍する予定がなくなっちゃって。斉藤さんは、実は中国のCIAの人で、ハードボイルドな回想シーンがあったり。アベ監督が撮る予定で、セットもできてて」

アベ「(中止になって)ショックでしたね。

 UFO研究家でなくメインのキャラで、ひとりくらいゆるい人がいてもよかったかな」

長谷川「石堀(加藤厚成)あたりゆるくしたらよかったかな(笑)。ナイトレーダーは副隊長が厳しくて、ふざけられない。

 凪用のジュネッスもあって、空中戦ももうちょっとやりたいとか。何色のジュネッスか決めてないですけど、闇の心にとらわれているから黒かな。

 石堀も詩織隊員(五藤圭子)もメインのエピソードを考えてましたけど。そういうのやると、ラストの衝撃も大きかったかなと。予定では、凪編も1クールあったんですが」

アベ「タイムスリップするとか」

長谷川アメリカのコロラドの事件とか」

アベ「結局コロラドは3カットくらいでしたね」

 

 宇宙生命体・来訪者はクラゲの姿をしている。

 

アベ「クラゲが来訪者って、最初期はなかったですね」

長谷川「美術さんが置いてくれて。村井さんが来訪者はクラゲだと。だから最終回で、CGでクラゲにして。全部決まってたわけじゃなくて、やってるうちにこれがいいだろうと」

 

 短縮によるさまざまな影響があった。放送されずDVD発売のみのエピソードも1本ある。

 

長谷川「路線を変えるというのはなかったです。話数短縮で、路線変更でなく、減らされた中でどう終わらせるかしかなくて。愉快な世界観にするとか、そういうのはなかった。詩織編とかUFO研究家とか柔らかい話も入れていこうとは思っていて、それができずに終わってしまって。

 本で没にしたのは4本。村井さんの2本と、赤星(赤星政尚)さんの詩織と石堀の話とウルトラだから特訓やっとこうみたいな話」

川久保「詩織の話で放送されてないのがありましたよね。あれも覚えてるな。詩織の話以外は(未映像化の)台本も受け取ってないですね」

長谷川「覚えてないけど、ヤバイってことで印刷止めていたかもしれないね。よくない想い出はちょっと…(笑)」

 敵の黒幕はナイトレーダーの石堀隊員であったことが、最終話で明かされる。だが伏線は張られていて、顔が映るシーンもあった。

 

長谷川「『サスペリア2』(1975)で犯人が鏡に映ってるシーンがあって、それに挑戦してみた。意識して見ると普通に判るレベルです」

川久保「最後まで判らなかったです」 

【最終話の想い出 (1)】

 最終話の演出はアベ監督(当時は阿部雄一名義)。

 

アベ「悩んだのは、女性の声かどうか。凪の声でウルトラマンが「ウオー」と言うか。結果的に凪の声になりました。ノアの声はまた別ですね。既に舞台とか先に出てたから、その声とか」

川久保「あの背中の羽が、アクションでは大変だそうです」

アベ「舞台でもピカピカで、カメラも映っちゃう。だからちょっとくすませてる」

川久保「(最終回で)変身するって判ったのは直前でしたね。ぼくはウルトラシリーズでいちばん変身したかったと思うんですよ(一同笑)。でもこれだけ受け取るものが多くて。姫矢は兄貴分で、憐にも伝えるものがあって、変身する意味をぼくも孤門として学んできて。

 新宿では天候不順で1度延期して、その中でまた考えて、変身するときは「行くぞ!」って感じでしたね。責任感を込めて、これを握りましたね」

アベ「曇天でぼよんとした天気で。最後の変身カットを引っぱってきて、これかよと、エキストラも集まってたけど、中止にしようと。それで快晴の日に奇跡のカットが撮れました。いろんなものにありがとうと。あの日がラストチャンスでしたね」

 

 ウルトラマンに変身して退場したふたり(桐島優介内山眞人)や、死んだリコ(中丸シオン)も最終話には登場。

 

長谷川「リコはイメージみたいに書いてたけど、姫矢と憐は尺とかいろいろあって、決定稿では書いてない。アベ監督が撮ってくれて、おれもラッシュ見て「あ、姫矢」って。励ますのは精神体ですね。でも振り向くシーンは…」

アベ「生きてるということですね。

 最終回のクランクアップは、手を握るグリーンバックだったかな? (孤門隊員と副隊長の)ふたりが腹ばいに寝て、風をバーッとやってつかむシーンで撮影が終わった。終わりがこの手っていいですね」

川久保「スタッフ一丸のパワーはすごかった。(終了時は)ああ終わったって感覚が強くて」(つづく)