あやしいメロディー
――「誰よりも君を愛す」、「ウナ・セラ・ディ東京」これはまたどういう観点から。
続きを読む井上 どうしてそういう太平洋戦争、戦争が終わった直後の話が好きかっていうことを少ししゃべりたいんですけど。やっぱり特殊な状況だったんですよね、戦争に負けるとか、物がないとか。それから今までのシステム、いろんな制度、そういうものが一回崩壊して、ルールとか、習慣とか、あの人は目上だとか、あの人は立派な大学出てるとか、あの人は立派な家系の出だとか、そういうことが白紙に戻った感じがすごく興味深くて。
それから特に、それまでは日本に外国から、特に白人系ていうかヨーロッパとかアメリカというところからは、宗教関係や、貿易商とか、旅人とか、政府関係者とか、そういうある種限られた人しか、少数の人しか入ってこられなかったんですけども。あの戦争に敗れて、アメリカ人を中心として何十万人っていう人間が、ま、兵隊が主にドカンと入ってきて。これはもうすごいことだと思うんですよね、日本人にとって。そういうところもすごく興味深くて。
続きを読む――おいくつぐらいの頃なんですか。
井上 これはもう僕が小学校ぐらいの時? ちょっとはっきりしませんけど中学生ぐらいかなぁ。まあそれぐらいのところで。
で、これはもうお分かりいただけるかどうかわからないんですけど、「歌謡曲ぅー」っていう感じで僕ら聴いていたんですよね。それはなんでそういうことかっていうと、もうしょっちゅうテレビで聴くことができましたし、それから西郷輝彦さんは、橋幸夫さんとか舟木一夫さんで “御三家” なんて言葉がね、当時、初めてかどうか知りませんけど、初めてっぽいような感じで。あれからずいぶんまあ御三家っていうのは…。そういう意味でも「歌謡曲ぅー」っていう感じがすごくしてたんですけど。
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