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山際永三 × 田口成光 × 井口昭彦 トークショー レポート・『帰ってきたウルトラマン』『ウルトラマンエース』『ウルトラマンタロウ』(1)

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 『帰ってきたウルトラマン』(1971)や『ウルトラマンエース』(1972)などのウルトラシリーズ。SF的な趣向に加えて時代色を強く反映した作品世界は、『ウルトラマン』(1966)や『ウルトラセブン』(1967)の初期作品とはひと味違った独自の魅力をたたえている。

 昨年11月に横浜市にて、第2期ウルトラシリーズ(70年代作品)で活躍した監督の山際永三、脚本の田口成光、美術デザインの井口昭彦のトークショーが行われた。幼いころからウルトラシリーズに親しんでいた筆者によっては神さまのような方々である(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。

 

【シナリオ創作】

 田口成光氏は『帰ってきたウルトラマン』にてウルトラシリーズに初参加。多数の脚本を執筆し、『ウルトラマンタロウ』(1973)、『ウルトラマンレオ』(1974)ではメインライターを務めた。

 

田口「人(脚本家)によって台本に(怪獣が)火を噴くとか細かく書く人もいるし、“格闘よろしく”だけの人もいるし。あんまり(怪獣の)デザインを打ち合わせした記憶はないな」

山際「田口さんが悩んで書けなかったら、すぐ次の人」

田口「1回山際さんのところに朝まで缶詰め。ウルトラシリーズは文明批判が多かったですね」

山際「『帰マン』以降は(当時の)社会問題を入れるってのが当たり前になってて、『エース』では隊員ひとりひとりのドラマがつくれるようになって。隊員も張り切ってくれて、でも宇宙の話ではなくなってきて。熊谷さん(円谷プロの熊谷健プロデューサー)は土着的なことが好きで、そもそも第1期のような宇宙の話がやりにくくなって。予算的にも隊員の話にすれば金がかからない(笑)」 

 『ウルトラマンエース』では市川森一上原正三、田口の各氏のアイディアを結集して企画を練ったという。『エース』の敵は、怪獣を上回る超獣。

 

田口「神楽坂に“和可菜”って旅館がありまして、木暮実千代さんの妹さんがやってて、石堂(石堂淑朗)さんが常連客でその紹介で。上原さん市川さんとぼくと3人で缶詰め。夜になると橋本さん(TBSの橋本洋二プロデューサー)と熊谷さんが見えて、どこまでできた?と。それで合評。誰がどこまで書いたか判らない。まとめたのが市川さんで。ぼくは(円谷プロ)社員で脚本料はもらえなくて。

 超獣ってのはぼく(のアイディア)だと思います。怪人とかと差別化したい」

山際機械的なのも出てくるって触れ込みでしたけど、途中でそういうのなくなって」

田口「市川さんは精魂込めて書く。へとへとになるほど。東映の仕事だと、徹夜で書いて。ぼくが取りに行く。市川さんは渡したって記憶がないくらいへとへとになってたと」

 

 市川森一と山際監督は『帰ってきたウルトラマン』のほかに『コメットさん』(1967)、『シルバー仮面』(1972)、『恐怖劇場アンバランス』(1973)など多数の作品で組んだ。

 

山際「気が合ってたこともあってホンつくる過程で相談して、アイディアを出し合ったりしましたね。でき上がったのいじくっちゃって、市川さん不愉快だったことも何遍かあったかと思うんですが。ホンをよりよくするという方向で直したつもりで、喜んでくれたこともあったみたいで。

 『コメットさん』の時代から4、5年の間、ぼくと市川さんはほんとに親密な関係だったんですよ。ふたりでいろんなアイディア出し合ってやってきた感じですね。彼も『エース』のときから大人番組のチャンスを狙ってたんじゃないですか。

 橋本さんもある種のルーティンになってたところに批判的だった時期でした。

 バキシムは3話目(『エース』第3話「燃えろ!超獣地獄」)で、夕子(星光子)と北斗(高峰圭二)に恋愛感情があってふたりで変身するっていうのが活きてる。でも同じようにやるわけにはいかなくて、あの2人の設定がうまくいかないこともあって、合体変身をやめてしまって。ずいぶん乱暴だなと思いましたよ。夕子が降りるってことになって、この機会に月に行っちゃうことにしようと(『エース』第28話「さようなら夕子よ、月の妹よ」)」 

 『ウルトラマンタロウ』は、当初は主人公(篠田三郎)がボクサーであったが、その設定はいつのまにか消滅。

 

山際「『タロウ』のころはいろんな注文が来てた感じしない?」

田口「業者の入札みたいな感じでした」

山際「熊谷さんのところで(注文を受けて)判りましたと。まかしてたのかな。どうしてもってことはなかった」

田口「これをつくってくれとかはなくて、変身ポーズも現場で決めてましたね」

山際「橋本さんは、こういう設定でこうしようというのはあって。ボクシングが1話目(『タロウ』第1話「ウルトラの母は太陽のように」)で出てくるけど(脚本家は)誰も書かない。大原(大原清秀)さんの話(『タロウ』第10話「牙の十字架は怪獣の墓場だ!」)でそれが出てきて減量する。そこでは活きてますけど、篠田氏とボクサーはとってつけたような感じだなと。最初の思惑に脚本がついていかなかったと。1話目は盛り込みすぎてた。

 (第1話で)中村(中村竹弥)さんの船長の娘と少年がいてにこにこっとするけど、恋愛になるかと思ったら女優さんいなくなっちゃって、ひどいもんですよ。ああいうのは何でなのかな。TBSよりマネージャーが強くなってきたのかな。

 クリスマスやお正月の話が増えていったのも苦肉の策ですね」(つづく) 

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