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山際永三 × 田口成光 × 井口昭彦 トークショー レポート・『帰ってきたウルトラマン』『ウルトラマンエース』(2)

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【演出について】

 山際永三監督も『帰ってきたウルトラマン』(1971)にて初参加。『帰マン』では、監督からプロデューサーに転身した円谷一社長とのやりとりもあったという。

 

山際「隊員たちが本部からドア開けて、ばーっと出てくる。(メカに)乗り込むところまではとてもできない。人間大のでかい飛行機をつくらなきゃいけない。だから乗り込むところはない。そういうのは省略(笑)。何とかごまかして、ぼくは社長からここ削ってくれって言われたことあります。申しわけないけどと、社長直々でした」

井口「『サンダーバード』(1965)がイギリスで流行ってたんですよね。勉強しに行きたいって言って、OKもらったけど(一氏が)亡くなっちゃって」

山際「『帰マン』のときは、一さんがいろんなところに顔出してたけど、『ウルトラマンエース』(1972)、『ウルトラマンタロウ』(1973)ではあんまり見なくなったな」

田口「台本の打ち合わせでもそうでしたよ」 

円谷一―ウルトラQと“テレビ映画”の時代

円谷一―ウルトラQと“テレビ映画”の時代

 

 TBSの橋本洋二、円谷プロの熊谷健の両プロデューサーが一貫して携わっていた。

 

山際「橋本さんと熊谷さんはいい関係でしたね。決定権はTBSの橋本さんにあるけど、熊谷さんのことは橋本さんも買ってました。円谷でやった4年間はいろんな意味でスタッフにも恵まれて、ぼく自身が30分のつくり方に慣れていく時期で面白かったです」

田口「山際さんはカット割りで、そのカットの主観は何%、客観は何%を計算してた」

山際「ぼくなりの映画論をしてるんですよ。本当はもっとみんな考えるべきで、ぼくは厳密にやってました。

 新東宝のエログロの出なんで、中川(中川信夫)さんに影響されましたね。おどろおどろしいのが、映画の基本として好きでしたね」

 

 『帰マン』の第34話「許されざるいのち」では、当時の高校生(小林晋一郎氏)の原案と怪獣デザインによる作品。クライマックスでPYG「花・太陽・雨」が流れるのは、山際監督のアイディアだという。

 

山際「怪獣は熊谷さんにおまかせ。「許されざるいのち」は小林晋一郎さんの投稿があって、熊谷さんもそれを喜んで採用したんですね。もとのデザインとどの程度一致してるかは覚えてない。

 新大久保のアパートに市川(市川森一)さんがいて、同じアパートにショーケン萩原健一)も住んでまして、仲がよくて。市川さんから紹介されたのかは忘れましたけど、「花・太陽・雨」がぴったりだと。許可してもらって。金がかかるから、30秒くらいしか使ってないですけど。他のときにも使ってます(笑)。歌詞がまたぼくらの気持ちにぴったりで、暗い部屋に引きこもりがちの青年とか、心の闇とかね。意味合いがぴったり」

 

 第35話「残酷!光怪獣プリズ魔」は、レギュラー出演していた岸田森の脚本(朱川審名義)。巨大な氷という驚くべき怪獣が現れる。

 

井口樹木希林の元旦那の原稿ですね。中に入ってどうのこうのは止めちゃって。光が弱くて、ちゃんとイメージがみなさんに届かなかったかなと」

山際「ぼくの主観からすると、氷の怪獣で光出すのは、光は熱になるから溶けちゃうだろと、ぼくが理屈言うから、熊谷さんとレーザー研究所の実験室に行って。レーザーなら光が出ても熱はないと。これでいいとなったんですね。置いてあるだけではどうしようもないから動くと」

山際「森さんから特に言われた覚えはなくて、書いちゃうからおまかせと。何かあったかもしれないけど」

田口「本人は(脚本が)書きたくてしょうがなかった」

山際「ただぼくがこうしたら?って言っても、直してくれなかった」

 『エース』第3話の「燃えろ!超獣地獄」には、超獣バキシムが子どもに化けて老人を虐殺するというトラウマ級のシーンがある。

 

山際「第3話は世田谷の外れに藁葺き屋根の家がありましてね。こないだ見たら、あの火事。ほんとにあんなことやってて…。ああ、三角の屋根つくったんだ。それであれだけ大胆に。ロケ先であんなことやってたら捕まっちゃう(笑)」

 

 他の特撮作品と同様に、監督と特技監督というふたりの監督がいる。

 

山際「『帰マン』のときから、特撮のカットについては佐川(佐川和夫)さんと綿密に打ち合わせして。本編スタッフが先に撮っちゃってますから、目線は左とか右だとか打ち合わせして、ぴったり沿うように。必ず特撮監督やスタッフも、本編のラッシュをいつも見に来て。本編も特撮も、お互いラッシュ見て合わせる。こんなにうまく合うんだなと」

 

 「燃えろ!超獣地獄」の空を割って怪獣バキシムが出現する特撮はいま見ても新鮮。

 

田口「空を割って出てくるのは、佐川さんがどういうイメージだと聞きに来ました」

井口「佐川さんは、『十戒』(1956)とか海を割ってる作品があると。当然、合成ですけど」

田口「素直に空が割れるって」

井口バキシムは大きくて、村瀬(村瀬継蔵)さんのスタジオから出なかったと。考えてつくってたのかな(笑)。空の向こう側にいるだけじゃなくて、顔も出してたらもっと迫力あったよね」

山際「熊谷さんも悩んでましたよね。企画通りにうまくいかない、何とかしなきゃって。予算も少なくなるしね(笑)」

井口「高野(高野宏一)さん、佐川さんとやって、あと神澤(神澤信一)とか。飛行機の飛びの技術、あれは佐川さん独特。逆さに吊ったり回したり、面白い撮り方してますよ。ぜひ見ていただきたい」

田口「佐川さんは現場で結構怒鳴るんですよ。高野さんは紳士。白いソックスで、居眠りも多かった。特撮って待ち時間が長かったんですよ」

井口「有川(有川貞昌)さんは朝8時にセットに入ってて、おれたち美術は(前夜に)撮影が終わって12時1時まで作業やって、でも翌日は監督より早く現場に入らなきゃいけないから7時に。これがつらい(笑)。

 佐川さんは、田口が言ったように“井口を呼んでこい!”とか怒鳴る。それで行ってみると、何てことないとか(笑)」

田口「要望は、冬にプールはやめてくれとか」(つづく

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