私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

磯村一路監督インタビュー(2002)・『群青の夜の羽毛布』

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 『がんばっていきまっしょい』(1998)や『瞬 またたき』(2010)などで知られる、ベテラン・磯村一路監督。磯村監督は、インタビューなどで自身の創作を語る機会があまりないように思われるのだけれども、以下に引用するのは数少ないインタビューのひとつである。

 この記事は、『がんばっていきまっしょい』以来の新作となる『群青の夜の羽毛布』(2002)の公開時に月刊誌「TV Taro」(東京ニュース通信社)に掲載されたものであり、インタビューアー(寺本直未)の実力ゆえか短いながらも読み応えのあるものになっている。女性は「撮れば撮るほどわからない」というあたり、常にヒロインに敬愛のまなざしを送る磯村らしい。

 この『群青の夜の羽毛布』の同名原作(文春文庫)はかなりあくの強い秀作であったが、残念ながら映画版はさほど印象に残るものではない。ただし、青春ドラマから一転してダークな内容に挑むあたりはその意気や良し、であろう。

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 山本文緒さんの原作をプロデューサーから勧められて読んだんですが、読み始めたとたん映像が浮かんできたので、これなら映画にできると思いました。『がんばっていきまっしょい』が爽やかな女の子たちの話でしたから、次にもう少し年上の“青春映画”を手がける時には、ひねりのあるものに挑んでみたいという気持ちも。ただし、このヒロインさとるのキャスティングが重要な問題でした

 

 本上まなみさんにこのさとるさんを演っていただけて、本当によかったと思っています。彼女は原作を気に入って、映画に出るならこういう女性を演じてみたいとまで言ってくれて、かなり自分の意見も出してくれたんです。クランクインする前に彼女とはいろいろ話をして、料理のシーンがありますから、料理研究家のところへ習いにいってもらったりも。キャスティングとして次に難しかったのは、さとるとは反対に繊細さのかけらもない(笑)けど、なにか信用できる雰囲気を持っている相手役の男…玉木宏くんの方。これはなかなか見つけられないキャラクターなんです

 

 タイトルに“群青”とありますから、青や緑は、意識的に美しく目に飛び込むような画面作りをしています。ロケハンにはこだわる方で、今回一番苦労したのは坂の上にあるさとるの家探し。肉眼ではすごい坂の上にある家でも、映像に撮るとたいしたことのない感じに映ったりしますから、坂の角度と、坂の下に裾広がりに街が広がる風景は、苦心して探しました。あとは図書館の並木の緑にも。あたかも森みたいな生命力を感じさせる木が映っていますけど、実はその場所は高速道路のすぐ側にあって、とてもうるさくて録音なんかできないようなところなんですよ

 

 ラブシーンも僕はピンク映画の時代から沢山撮っているので、どんな角度からどう撮ればいいか、という方法論はあり余るほど持っているので迷いません。今回出演していただいた藤真利子さんには、“撮るのが速くてびっくりしました”と言われましたけど、現場にいくまでは役者さんとしつこく話し合って、ロケハンも丹念に探せば、そこから先は俳優さんがいいタイミングのところへスムーズにもっていくだけ。現場でのダメだしはほとんどなかったと思います。案外と料理のシーンに日数をかけて撮ったりしていますけど

 

 すでに撮り終えている『船を降りたら彼女の島』という作品が待機中で、そちらでは木村佳乃さんに主演してもらいました。さらにもう一本、新作にまもなく入るところです。もちろん、次の作品に入るまでのんびりしていたいとも思いますけど(笑)、今はプログラムピクチャーの時代みたいにすき間なく映画が撮れる時代とは違いますから、やる時はやらないと。やはり僕から見ると女性というのは永遠に謎で、撮れば撮るほどわからないところが面白いんです

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