私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

大石静 × 尾崎将也 × 熊谷真実 × 中園ミホ × 羽原大介 トークショー レポート(3)

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【俳優と脚本】

熊谷「俳優さんからクレームがあると。逆に、俳優の芝居でふくらむってあるのかお伺いしたいなって」

尾崎「民放は3話ぐらい書いたところでクランクイン。見ると、ああこういうお芝居かと。それで変わってく」

大石「俳優さんがいいと、物語もこの人が描いてみせるっていう、そのぐらいの人もいる。そんなにいないですけど。その人に教えてもらって書いています」

熊谷「私の場合は、つか(つかこうへい)さんと井上(井上ひさし)先生に一言一句間違えないでくださいって言われて、てにをはを間違うとダメ。そこで育ってきたので、脚本家の先生って言うと、ははーって。でもきょう、立場が弱いって伺って」

中園「同じ職業とは思えない。ある俳優さんで、これ誰が書いた?って。一字も私が書いた台詞じゃない。西田敏行さんですけど(一同笑)。ああなると、あの人のシーンは適当でいい。アドリブの天才で、私が書くよりおもしろい(笑)」

大石「台詞は語尾が命と思っていて、“寒いね”と“寒くね”は違う。若手の人(俳優)は、自分がらくな方に変えちゃう。でも普段は黙ってます」

熊谷「言われた通りにできる俳優のほうが職人っぽい。いい台本だと読み物として風景が浮かんできて、人が動いている。私の台詞がひとことだけでも、ああいい仕事をしたなって。そういう台本をいただきたい」

大石「泣くのは難しい。台本には抱きしめる、くらいしかない。難しいから基本書かないんですよ」

熊谷「役者の生理として、私は個人的に涙はいらないと思っています」

大石「(泣くシーンで)カメラが右から狙ってるから右の顔だけ泣けるって人もいる。これはこれで別の芸みたい(笑)」

中園「泣くより涙が出そうでギリギリ出ないくらいが、みんな好きなんじゃないかな」

熊谷「私も舞台でこないだつい泣いてしまうシーンがあって、17からのマネージャーに“真実はすぐ泣くんだから”って。私個人が泣くだけで(役の)当事者は泣かないかもしれないし。舞台では、ほんとに涙を流す意味はない。未熟で」

 

【プロデューサーと脚本家】

大石「連ドラやってると、プロデューサーとは夫よりいっしょにいる。終わると、いっしょにお風呂入ってもいいくらい(笑)」

羽原「あんまり女性プロデューサーとやっていなくて、男同士。朝ドラは1年半くらいやっていて、連帯感があったけど、終わるとそうでもなくて(笑)」

中園「私は下手で、演出家にパイプ椅子を投げつけたことがあって。3日寝かせてもらえなくて、言うとおりに直したら、“元に戻そう”って言われて。キレるってこういうことか、気がついたら椅子が飛んでて、演出家は真っ青で壁に…。でもこれは力をつけるしかない、向こうを黙らせるくらいおもしろいのを書かないとダメだと。いまは和やかにやるようにしてます(笑)」

尾崎「打ち合わせは愉しいですか。ぼくは愉しくなってきて、新人のころは、プロデューサーは上司で、部下がしごかれるみたいで。でもいまは、いっしょに直しましょうみたいになってきた」

羽原「もう、馬が合うか合わないか。打ち合わせがどんなに長くても、元に戻そうって言われてもいい。ただ一方的、高圧的に来られるとね」

尾崎「相性が悪いのはどんな人ですか」

大石「相性が悪いと、作品が始まらないんじゃない? これはダメだと思ったらやらないな」

尾崎「でも相性よくて、いいねって言ってると、なかなか新しいものが生まれないのでは?」

大石「いいねって言われることはないです。仲がよくても、シビアなことは言いますし」

 

【脚本家の地位向上 (1)】

 脚本家の地位をどう向上させるか、まず中園氏に振られた。

 

中園「いちばん真面目じゃない私が答える…。この間新聞で読んだのが、人工知能囲碁で勝ったって。星新一賞では、人工知能が書いた小説が入賞したと。これはやばい。もし人工知能で脚本をつくっていくと、ここで泣かせるとか。人工知能が脚本を書く時代が、まもなく来る。

 美人をつくるには、100人の顔を混ぜてつくっていくと美人になる。でもコンピューターの美人は綺麗だけど魅力がない。人工知能がやってくれるのは、そういうこと。人工知能が脚本を書くと、個人が二日酔いして喧嘩して書くより、視聴率が取れて万人に受けるだろうけど、ドラマはそういうものではない。人のにおいや手触り」(つづく)