私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

佐藤優 × パスカル・ペリノー × ヤン=ヴェルナー・ミュラー × コリン・ウッダード トークショー “台頭するポピュリズム、危機に瀕する民主主義” レポート (4)

【パネルトーク (1)】

西村政党政治の疲弊というのは、何が原因なのでしょうか?」

ペリノー「第2次大戦の後で代表制民主主義がつくり直された。さまざまな政党や組合、団体がつくられてきました。中間団体と呼ばれる、草の根と国家との仲介を行うものです。20年くらい前から、すべての民主主義では、このような団体は危機に瀕しています。フランス国民の92パーセントがいかなる政党に信頼を置かないと言う。92パーセントですよ。数多くの民主主義国家では、市民とシステムとの間に空隙がある。そのスペースにポピュリストが進出してきています。

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佐藤優 × パスカル・ペリノー × ヤン=ヴェルナー・ミュラー × コリン・ウッダード トークショー “台頭するポピュリズム、危機に瀕する民主主義” レポート (3)

【ヤン=ヴェルナー・ミュラー氏 (2)】

ミュラー「ポピュリスト政権の特徴は、反政府勢力を排除するということです。裁判所やマスメディアが非難すると“いやいや、われわれは国民が選んだ人びとである、あなたは選ばれていない” 。賛同しない者は敵であるという見方です。中立的な主義・政策の解釈を変えていく。われわれは民に選ばれた、だからわれわれの政党が国を乗っ取っていいんだという発想です。また政府を支援する人に恩恵を与えるが、それ以外の市民を排除する独裁主義もあります。真の国民こそが恩恵を受けるべきということです。抗議が起きた場合、合法的な抗議でも、誰かが裏で支援金を出していると解釈します。CIAなどが裏にいると考えます。例えばトルコのエルドアン政権は抗議について、市民の合法的な抗議でなくドイツの航空会社・ルフトハンザが黒幕であると説明します。根底に流れているのは反多元主義です。国民から選ばれた代表者に国民が抗議するはずはない、フェイクか外の力が動いたとみなします。

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佐藤優 × パスカル・ペリノー × ヤン=ヴェルナー・ミュラー × コリン・ウッダード トークショー “台頭するポピュリズム、危機に瀕する民主主義” レポート (2)

パスカル・ペリノー氏 (2)】

ペリノー「何故このような動きがあるのでしょうか。ジークムント・フロイトは、1930年に「文化における不安」というテーマで本を書きました。両大戦間にファシズムが台頭してきたのは、ヨーロッパの文化に不安があるからだと書いたのです。私は現在同じような仮説をもとに考えることができると思います。現代のヨーロッパには不安、居心地の悪さがある。経済的な不安、古き工業社会が崩れつつあるという現状。中心を担った労働者は、ポスト工業社会では占める位置がない。労働者の抗議がナショナルポピュリズムの形をとっています。また文化的な不安もあります。グローバル化という課題に直面しています。政治的なグローバル化EUの政治的統合に巻き込まれている。移民の問題もある。それらの課題を前に、われわれの社会は分裂している。一方は(グローバル化には)メリットがあると主張し、もう一方はうんざりだ、もっと内向きになって場合によっては閉鎖するべきだと主張する。

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佐藤優 × パスカル・ペリノー × ヤン=ヴェルナー・ミュラー × コリン・ウッダード トークショー “台頭するポピュリズム、危機に瀕する民主主義” レポート (1)

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 9月末の“朝日地球会議”にてパスカル・ペリノー(パリ政治学院教授)、ヤン=ヴェルナー・ミュラープリンストン大学教授)、コリン・ウッダード(ジャーナリスト)、佐藤優(作家)の各氏がポピュリズムと民主主義について語り合うシンポジウムが行われた。司会は西村陽一・朝日新聞常務取締役が務める(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。

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梯久美子 講演会 レポート・『原民喜 死と愛と孤独の肖像』(5)

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 遠藤(遠藤周作)さん、祐子(祖田祐子)さんと知り合ったことで、絶望して死ぬのでなくて次の世代に明るさを見出していたのではないか。

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