私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

梯久美子 講演会 レポート・『原民喜 死と愛と孤独の肖像』(5)

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 遠藤(遠藤周作)さん、祐子(祖田祐子)さんと知り合ったことで、絶望して死ぬのでなくて次の世代に明るさを見出していたのではないか。

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梯久美子 講演会 レポート・『原民喜 死と愛と孤独の肖像』(4)

 (自殺前年の手紙)2通に「睡蓮」という詩が書いてあったんですね。原さんの全集にも入っていないもので、完成度は高くないんですが、祐子(祖田祐子)さんのことが出てくるんですね。原さんの中には自分たちは3人グループだというのがあったんじゃないかと思います。

 遺書が出てきたのを知って、祐子さんに会いたいと思ったんですね。「去年の春は楽しかったね」というのは、祐子さんといとこの女の子と、遠藤(遠藤周作)さんがフランスに行く前に4人で多摩川でボートに乗った。幸せな1日だったという想い出なんですね。遺書にも「悲歌」にも書かれています。

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梯久美子 講演会 レポート・『原民喜 死と愛と孤独の肖像』(3)

 「夏の花」は冒頭に広島市内の奥さんのお墓参りに行ってるんですね。私も行こうと思って、原さんの歩いた通りの道を歩いてみたんです。お墓は白島というところにあるんですけど、家はそこの南ですが、本を見るとまっすぐは帰っていないんです。帰った通りの道を行くと、鶴羽根神社があって、何か見たことあるなと思ったら原さんが奥さんと結婚式を挙げた神社だったんですね。お墓参りの帰りに、ご自分では書いてないですけど、結婚式を挙げた神社を回ったんじゃないかな。

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梯久美子 講演会 レポート・『原民喜 死と愛と孤独の肖像』(2)

 この本は書きすぎないことを自分に課したんですね。島尾ミホさんは過剰な人で、書く対象に引きずられると言いますか、私も過剰に書きました。原さんは寡黙な人で、多くを語らない。原さんのことを書くと、原さんっぽい本になりますね。

 

 晩年、亡くなる2年ぐらい前に原さんは神保町に住んでいらっしゃったんですが、「三田文学」の編集部があった文学書林のビルの一室です。遠藤周作さんといっしょにいるときに、近所に住んでた21歳の若い女性と知り合うんですね。遠藤さんは原さんより17歳くらい下で、「三田文学」に出入りしていて原さんと仲良くなる。

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梯久美子 講演会 レポート・『原民喜 死と愛と孤独の肖像』(1)

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 ヒロシマ原爆を描いた「夏の花」で知られる原民喜。その知られざる素顔や生涯を扱った、梯久美子原民喜 死と愛と孤独の肖像』(岩波新書)は作家論・評伝として面白くまとまった1冊である。

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